洋弓部

冬の蓄え

  12月のフォーミッション戦を最後に全体での活動を終え、オフ期間に入った洋弓部。オフ期間とは言うものの、毎年この時期は自主トレーニング期間となり、選手の自主性に委ねるスタンスで練習が行われてきた。しかし練習体系の見直しが図られた今年、彼らにまとまったオフはない。極寒の富士見で弓を引き続けることで彼らが得ようとしているものとは何なのか。知られざる、彼らの冬に迫る。

  「このままでは1部で一生勝てない」。50期主将小木曽(法4)の言葉はしっかり彼らの胸に突き刺さっていた。昨年、彼らが感じた1部校との差は、何と言っても30メートルでの粘り強さ。50メートルでは良い勝負をするにも関わらず、30メートルで大きく差を広げられてしまう。ショートハーフ制のリーグ戦では致命的となるこの弱点を克服すべく、週3回以上をノルマにオフ期間も練習を義務化。 12月、1月は30メートルだけを練習し、フォームも徹底的に確認してきた。また、技術方面での指導に偏りがちだった昨年の反省からトレーナー役職の活動も再燃してきており、女子部太田(文2)を中心に部全体で活発化。アーチェリーショップの店員から情報を仕入れてオリジナルのメニューを作成するなど、ショートハーフ1試合分をしっかり引ける基礎体力作りにも意欲的に取り組んだ。こういった取りきめはすべて52期主将窪田(法2)を中心とした1、2年生が考案し、3年生が決定している。まさに部全体が一つとなってこの冬に懸けているのだ。技術・体力面はもとより、彼らがこの冬一番蓄えているもの、それは練習に打ち込む姿勢や自信といった精神面での栄養だろう。

  2月からは、練習を一日も間を空けずに行うことを目指して、週5日制が組まれている。10時の練習開始から13時までの3時間、集中して射を行うのだが、週4日、午前午後で練習を行っていた昨年に比べると、時間自体は週に半日程度減ることになる。このように効率良く質の高いトレーニングを行うことも心掛けている彼らだが、16日から静岡で始まる合宿では、みっちり撃ち込みを行うという。「合宿では基礎を徹底したい」(窪田)というチームの意向だ。また合宿後の3月には東京理科大学、東洋大学、学習院大学など1部復帰を目指す立大にとって負けられない相手との練習試合も組まれた。「合宿後にはGT(グランドトータル)であと200から300は最低でも上がっていないと厳しい。3月の練習試合は失敗できない。」そう語る51期主将大河原(法3)も毎日のようにリーグ戦前の最終調整の重要性を全体に言い聞かせており、この合宿が彼らにとって大きなターニングポイントとなることは間違いない。

  2011年6月26日、1部リーグ残留を懸けて戦ったあの入替戦から早8ヶ月が過ぎようとしている。リーグ戦まで残りあと1カ月半、休むことなく彼らは射場に立つだろう。寒さ厳しいこの冬の蓄えが笑顔に変わることを信じて。洋弓部の春はもう、すぐそこだ。

(2月15日・田中大志郎)


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