立教スポーツ編集部

背中で引っ張る
～新主将・原田豪～

「背中で引っ張る。自分がやることでみんなが『おれがやらなければ』という雰囲気にしたい」。立大準硬式野球部の新主将・原田（コ３）は来季に目を向けている。彼は一体どのような男なのか――。


的確な打撃。果敢に「攻」める

原田と野球との出会いは小学校３年生の時。父親の勧めで遊びに行った少年野球チームの練習が楽しくて野球を始めた。兄が上智大硬式野球部の主将を務め、双子の弟は早大準硬式野球部で投手として活躍している野球兄弟の次男が野球にのめりこんだのは必然だったのかもしれない。

その後、当時甲子園で活躍していた桜美林高のユニフォームにあこがれ、桜美林中に入学し桜美林高に進学。高校では現立大硬式野球部のエース・小室（済３）とも対戦経験があり、４打数２安打と打ち込んだ。また、現中日の高島（当時帝京高）にも４打数１安打と互角に渡り合った。２年秋には驚異の打率５割６分をマーク。それでもレギュラーには定着できなかった。そんな苦悩と葛藤を抱え立大に入学した。


体勢を崩してもしっかり返球できる「守」り

  準硬式野球部へ入部した理由は「野球をしっかりやりたい、楽しみたい。自分自身で野球がやりたかった」。明確な目標を持った彼が部にとって欠かすことのできない存在になるのに時間はかからなかった。

  １年次から出場機会に恵まれ、２年秋のリーグ戦からは１番・センターのレギュラーポジションを獲得。「辞めたいと思ったことはもちろん、嫌になったことも一切ない。先輩との壁が無く、色々言い合えて接しやすい。楽しい」と語っていた通り、のびのびとしたプレーが目を引いていた。２０１１年の春季リーグではリーグ打率２位に輝くなど、リーグを代表する選手にのし上がった。

  スポーツウエルネス学科の同級生である友人として、筆者から見た彼は決してわかりやすいリーダータイプではない。彼が次期主将候補という話を聞き意外とさえ思った。それは単なる勘違いだったのかもしれない。

  友人数人で話している時に彼は話題を引っ張るわけではなく、話題を理解し鋭く突っ込むタイプだ。多くは無いその口数の中で的確な発言で場を盛り上げる。そこから笑顔が生まれ、場の雰囲気が良くなる。それは時に「考えすぎてしまう」という持ち前の深い思考から生まれた結果。わかりやすく目立つタイプではないが「背中で引っ張る男」だ。

   また、バック宙ができるという抜群の身体能力を誇り、体育の実習授業では大活躍。「おれ、アスリートだからさ」とさらりと言うように、どんな種目にもいち早く適応し常に高いパフォーマンスを発揮している。


相手のすきをうかがう「走」塁

   彼の野球選手としての持ち味は高い身体能力と野球技術だ。50ｍを６秒２で走る俊足と体勢が崩れてもしっかりと返球できる強肩。さらに優れた選球眼と高いミート技術をいかした打撃。守備範囲の広いセンターとして、確実性の高いトップバッターとして。走攻守全てにハイレベルな１番・センターとしてチームに貢献し続けてきた。

  性格を一言で表せば「まじめ」。野球の話に常に一点のよどみもない。好調時はもちろん、不調の時であっても思いを包み隠さず語る。応えにくいであろう質問からも逃げることは無い。いつも真摯に野球に向き合っているアスリートの姿がそこにある。

  そんな彼が率いる立大準硬式野球部が、来季大輪の花を咲かせる瞬間が楽しみでならない。その姿を追い続けたい。

  豪、思い切りがんばれ！！

（２月11日・野口一郎）