再起を誓う2年生ビッグマン伊藤勇太


   「勝って当たり前」という言葉。彼は3部で試合を重ねる度に口にしていた。その勝利へのあくなき執念はチームに対し良い意味で刺激をもたらしたに違いない。去年、1年生として入部してから即戦力としてスタメンに定着。リバウンドと得点能力の高さからチームを勝利に導くプレーも何度も見られた。そうした本人の実力が「勝つ」という意識の高さに繋がったのだろう。


  伊藤(済2)は埼玉県に位置する正智深谷高校出身。U-18では日本代表になるためのメンバーに名を連ねる事もあった選手。高校ではインターハイベスト16を経験するなど実績も十分だ。
  そんな順風満帆なバスケット人生を歩んで来た伊藤だったが、今年2月下旬。一つの転機が訪れる。足のケガだ。足のケガは思った以上に大きく、3月下旬の六大学戦、5月に開かれるトーナメントの出場も絶望的。本人も表情や言葉にはあまり出さないが、
落ち込んでいるのは私でも分かった。
  しかしながら、今年から一人暮らしを始め、料理にも精を出すなどといった新しい刺激も受けている。唐揚げやカレーなど、作る料理も多種多彩だ。試合でのアグレッシブな姿とは裏腹にそういった家庭的な一面も持ち合わせている。それが伊藤の魅力でもあるに違いない。
  彼の復帰は6月の新人戦。「1年生にはセンターで良い選手が入って来たようだが、自分は本来3、4番(フォワード)。むしろこれで自分のやりたいプレーが出来る」。そんなコメントも飛び出した。昨年素晴らしいプレーを見せていた5番(センター)はむしろサブのポジションであったというから驚きだ。
  今は充電期間。伊藤のバッテリーには3ヶ月分のパワーが蓄積されている。それが爆発することで、平良(済2)や木村(営2)、そして期待の新人たちと生み出すプレーは立大を更なる高みへ運んでくれるに違いない。

(6月10日・川村亮太)





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