自転車競技部
―主将・渡辺 インカレは「集大成」―



    昨年から目覚ましい活躍を見せ、大きく成長を遂げているのが自転車競技部である。本紙「立教スポーツ」にも掲載される回数は増加しており、今後とも目を離すことができない部の1つだ。活躍の舞台裏にあるものは、まさしく部員たちの日々の努力に違いない。自転車競技は個人競技の側面が強く、一人一人の頑張りが部の躍進を支えている。しかし、そんな彼らを先導し、まとめ続けているのが、主将・渡辺洋平(社3)である。「チームみんなで頑張ることができると(力を)底上げできる」。そう考える渡辺は「個」だけではなく「チーム」としての努力を大切にしてきた。そして、8月末に行われるインカレが、彼にとってもチームにとっても1つの節目となる。今までの努力の集大成を見せる時が、刻々と近づいてきている。


○「全部勝ちたい」 強さの理由
  渡辺が「立教スポーツ」の1面に取り上げられた号(187・188合併号)を覚えている読者も多いだろう。全日本学生トラックのスクラッチの部で優勝した時のものだ。その後も各レースで大きな活躍を続けている彼。その強さを支えるものはこの思いだ。「出る試合は全部勝ちたい」。  「勝つ」。渡辺の言うこの言葉の意味はすなわち「優勝」である。「優勝」だけを常に目標として持ち続けていると言っても過言ではないだろう。例えば3月に菖蒲町(埼玉県)で行われたRCSのオープン戦で、彼は惜しくも2位という結果だった。その時のインタビューで、彼は「悔しい」という言葉を何度も口にし、「勝ちたかった」とうつむいた。5月に境川競技場(山梨県)での東日本学生選手権で結果を残せなかった時も、「自分に足があれば」と反省。負けた時は悔しさをかみしめ、敗因をしっかり考えている。それが彼の自転車に対する姿勢となり、日々の努力を重ねさせている。 「3年生のインカレが集大成みたいなもの」。先日の取材で、渡辺はインカレに対する思いを語った。思えば彼は去年から「インカレのポイントレースは(勝ちを)狙って行きたい」と、年に1度の大舞台を意識し続けていた。そして渡辺は、今年のインカレに全てを懸けるつもりでいる。今シーズン、彼はまだ「勝って」いない。強い思いを力に変え、大舞台で最高の走りを見せてほしい。


○「刺激を与える」 主将としての目標
  「日頃刺激を与える立場になりたい」。主将として、渡辺は自身のリーダー像をこう表現した。個人競技ゆえに、今までは「自分が良ければいい」という空気が部にあったと言うが、渡辺はそれを否定した。「積極的に(皆を)刺激して頑張って行きたい」と、チーム全員で頑張る道を彼は選んだ。そのやり方は着実に実を結んでいる。小菅(法2)は「この代で(部に)入れて良かった。すごい刺激になる」と、メンバーを尊敬しており、佐々木(法2)は「同期も先輩も優しくて温かい。練習しやすい」と、部の雰囲気を語る。主将としての渡辺の存在は、部にとって絶対欠かせないものとなった。
  立大自転車競技部は今、インカレへと向けて1カ月に及ぶ合宿を敢行している。長野で8月4日から12日まで、鹿児島で15日から9月までの間、彼らは自転車漬けの日々を過ごす。「自転車はどれだけ乗ったかが勝負」。チーム全員で強い自転車の選手の体になるために、あえて厳しい環境に身を置くことを決めた。その合宿で克服したい点として、彼は「走れる人と走れない人との差が激しい」ことを挙げた。練習量だけでなく自転車に対する姿勢にも差が出てきている。だから合宿を通して「意識を高めていく」という。ここにもチーム全体で高みを目指す主将の姿勢がうかがえる。インカレでの目標は「ロードで学校対抗5位以内」、「チームパーシュートの部内記録更新」、そして「トラックで学校対抗ポイントを取る」こと。去年の結果を凌駕(りょうが)するつもりでいる。そのために、この夏は全員で本気で挑まなくてはならないのだ。

  「インカレ頑張ります」。渡辺に意気込みを聞くと、彼は笑顔でそう答えた。このシンプルな言葉の裏には今まで積み重ねてきた努力や強い思いが詰まっている。ここまで来たらもう最後まで走り抜くだけ。渡辺自身にとっても、チームにとっても、今までになく暑い夏が幕を開けた。

◆文部科学大臣杯第68回全日本大学対抗選手権自転車競技大会◆
8月30日〜9月2日
トラック:鹿児島県根占自転車競技場
ロード:鹿児島県肝属郡錦江公道周回コース

(8月13日・小野錬)





Copyright (C) 「立教スポーツ」編集部, All Rights Reserved.