慶大撃破!
〜準硬式野球部〜



   「初戦の慶應さえ勝てれば…」――。
3月のオープン戦で選手がこんな言葉を発した。


一回戦・大田スタジアム
 

1

2

3

4

5

6

7

8

9

立教

1

1

0

1

1

0

0

0

4

8

慶大

0

0

2

0

0

0

0

0

1

3


左腕エース・田原
三種の神器
  慶大バットがくるくる回る。当たっても内野手のグラブにピタッと収まる。そんな印象を受けた試合だった。打者の力が抜けてしまうような緩いカーブにフワッと落ちるチェンジアップ。緩い球が輝きを見せていた。早いカウントで打者を追い込むと、最後はタイミングを完全に崩すチェンジアップ。「(今日は)振ってくれるところにいくようになった」と田原(理3)自身も語るように慶大打線を封じ込めた。それに加え、2シームも襲いかかった。ボール球になるように、はたまたバットの芯を外すように鋭い変化を見せていた2シームに、彼は「とても良かった」と満足げの表情を浮かべた。






ぶち壊した壁
  実は、冒頭のフレーズには前置きがある。
  「初戦の増田さえ打ち崩せれば。初戦の慶應さえ勝てれば…。」 慶大が誇るエース・増田が過去幾度となく立ちはだかっていたが、この日は違った。初回、先頭の佐野(現3)がスライダーをセンター前にきれいに弾き返すと、すかさず盗塁、三進と決める。増田投手相手にわずか6球で一死三塁と絶好のチャンスを作ると、3番・茅野(理3)が2球目をレフト前へ叩き返し、開始早々1得点。その後もコツコツ得点を重ね、終わってみれば8−3と  すかさず二盗した佐野 順風満帆の出だしとなった。






2回戦・早大東伏見グラウンド
 

1

2

3

4

5

6

7

8

9

慶応

1

3

0

0

7

2

0

1

0

14

立教

0

0

0

0

0

1

0

0

0

1


「今日も楽しくやりましょう!」
  球場に足を運ぶと、立大円陣から元気のよい声が聞こえた。1回戦の勢いそのままに、初回からダイビングキャッチが飛び出るほど、幸先の良いスタート。しかし、相手打者に粘られ、毎回ランナーを背負う展開に。初回こそ最小失点に抑えるも、なかなか調子が上がらない。気付けば14得点と大きくリードされていた。

それでも止まぬベンチの声
  しかし、この日はベンチからの声が象徴的だった。守備についている選手へ・守備から帰ってくる選手へ・打席に立っている選手へ…とたくさんの声援が飛んでいた。「次集中!」、「○○さんナイスでーす!」、「次、真っ直ぐ来るよー!」――。得点差こそ開いたものの、ベンチからの声援は止むことがなかった。

「昨日があったから明日がある」
  土井良監督は「昨日勝ったからこそ、明日がある。明日のポイントは、いかに自分たちの形でゲームを作っていくか。」と前向きに感想を口にした。


3回戦・早大東伏見グラウンド
 

1

2

3

4

5

6

7

8

9

立教

0

0

0

0

0

0

3

1

0

4

慶応

0

0

0

0

0

0

1

0

1

2


  この日も初回からランナーに苦しむものの、要所を気迫の投球で三振に切って取る。5回まで粘りの投球を続けていた田原だが、6回、左中間席へとソロアーチを浴びる。直後の7回表の攻撃、打順は5番・会原(コ4)へとまわってきた。

2つのリベンジ
  「初球から積極的に振っていこう」と打席に立った。その初球、内角真っ直ぐを豪快に弾き返すと、球はぐんぐんと伸びていった。「こすったかな」と言う打球だったが、左中間にきれいなアーチを描き、見事、スタンドへと吸い込まれた。これで流れに乗ったか、後続も連打でこの回3得点。勢いそのままに、回は8回へ。
会原を盛大に迎え入れるベンチ
  見かねた慶大ベンチは投手を増田から郡司へとスイッチ。前日の2回戦で打ち崩せなかった好投手を相手に4球目。この回先頭打者の文字(済3)は、変化球を見逃さずアジャストすると打球はまたもや左中間方向へ。"ストーン"とスタンドに落ちた球は、貴重な追加点となるソロアーチ。本塁打で始まり本塁打で締める立大打撃を見せつけた。



「うっわ」―笑顔No.1 7回表の攻撃―
左中間へヒットを打つ大津留
  回は7回表の立大の攻撃。会原の本塁打で流れに乗った立大は、無死一塁の場面。打順は7番・大津留(理3)へ。カウント1−1からの3球目。バントした球はコロコロ転がり、ファールゾーンへと飛び出た。彼は"うっわ"といわんばかりの表情を浮かべた。3バントするのか――。すると、強気にバントの構え。しかし、彼はすばやくヒッティングに切り替えた。キーンと音を立てて飛んでいった打球を追うと、遊撃手の頭上を越えて左中間を真っ二つ。会原の同点弾に大津留の逆転適時二塁打、と7回の立大ベンチは大きな歓声が飛び交っていた。

気持ち
3日間のインタビューで頻繁に出てきた言葉、それが"気持ち"だ。なかでも1回戦の試合後、原田(コ4)主将が興味深いことを言ってくれた。

―今日の収穫は?
野球は実力の比べ合いではない、と(わかった)。気持ちが強い方が勝つ。

勝利のカギはこれだったに違いない。

「初戦の慶應さえ勝てれば…」
おなじみのこのフレーズ。さらに続きがある。「初戦の増田さえ打ち崩せれば。初戦の慶應さえ勝てれば…優勝できる!」 ついに実現性を帯びてきた。旋風を巻き起こした立大は、優勝へと突き進む。

(金田優哉)


優勝へまっしぐら!




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