最高のラクロス人生

〜「立教らしさ」を貫いた17人、最後のメッセージ〜


勝利に固執するのではなく、常に自分たちのラクロスを追い求める――。一昨年、FINAL4進出を逃し味わった屈辱を糧に、ULTIMATESが歩んできた1年間。常に全力を尽くして戦い、ここまで這い上がってきた。だからこそ関東準優勝に終わった選手たちの顔に、涙は無かったのだろう。
どん底だった時期を越え、FINALの舞台まで辿り着いた女子ラクロス部。この組織を引っ張ってきたのが、17人の4年生だ。チームの全盛期も低迷期も知る彼女たちは何を考え、何を伝え、どう行動してきたのか。引退・卒業を迎える今、その心境に迫った。
※()内はコートネーム

♯20 主将・鈴木美穂(済4・みほ)
FINALで戦った慶大は、もともと普通にやったら全然かなう相手ではなくて。その中で勝てる可能性はいつも30%だったので、その30%をとれるかって言ったら50:50って佐藤ヘッドコーチ(99年度卒、以下佐藤HC)もおっしゃっていました。3月のころのチームは全然試合でも勝てなくて、そのチームがFINALに来たというだけでも夢の世界だったんですね。でもやっぱり奇跡で来たのではなくて実力で来たのであって、自分たちが続けてきた練習がここに繋がったんだと思います。それが4年生になって改めて分かったことです。今まではアスリート選抜などで戦力が揃っていたのもあって、もともと「立教がFINAL4に行くのが当たり前」というチームだったんです。でも去年FINAL4に初めていけなくてそこで崩れて、勝ち方というのを改めて考えた1年でした。チームをつくるっていう面では勉強になった1年でした。この4年間色々ありましたけれど、この4年間は濃いもの。後悔しないと言ったら嘘になりますが、後悔していない4年間だったなと思います。
私たちは他に比べて人数が少ない学年で。その中でも今リーダー制度をとっていて、リーダーの中からまた主将を選ぶっていう話だったんですね、そのリーダーが今うちの学年で5人、その中で今の主将を決めることになって。この学年はもともと戦力になる人が少なくて、1個下の3年生に頼らなきゃダメという状況の中、私だけが唯一リーグ戦で試合に出ているという改暦は誰にも変えられないと言われて。私自身勝負の年でもあったので、本当にこの1年実力的にも悩みました。でも、チームのために何かできるのは素晴らしいことだと思うし、自分が主将としてチームに貢献できるなら、と思ってこの1年主将として頑張ってきました。何があったというわけではないですが、結果としてはFINALに行けて凄いなと思われるかもしれません。でも本当は全然違って。みんなの気持ちが一つになったからここまで来られたと思っているので、本当に後輩に感謝しています。
3月から負け続けてきてリーグ戦の初戦を迎えて、本当に緊張していました。リーグ戦で相手に負けたことはほとんど無かったのですが、「今まで負けてきた」という入りからスタートして、でもそこで勝ったというのが自分たちの自信になって。今まで分からずに毎日頑張ってきたものがようやくためになったんだな、という瞬間を分かち合えたので、引退の時が一番4年間でやってきて良かったと思えた瞬間でした。
私が4年間この部にいて、チーム作りから学べることが本当にたくさんありました。弱いチームは最初負けていても「何をしたからここまで来られた」というプロセスが本当に大事で。辛かったよね、楽しかったよね、だけで終わる4年間ではなくて、プロセスの大切さが本当にこの1年で勉強になりました。来年はほとんどメンバーも変わらないので戦力の面では本当に心配していないのですが、組織作りやチーム作りというのは来年も一からやっていかなければいけないところ。そこは平行して頑張っていって欲しいと思います。

♯96 副将・安藤千晶(コ4・ちあき)
FINALの試合は完敗。リーグ戦では勝てたけれど、それは慶大が本来の力を出し切れなかったからであって、実力としては負けていたんだなと実感しました。ただ個人としては全力を尽くしたので満足しています。
4年間を振り返って一番嬉しかったことは、去年のリーグ戦では二枚目(控え)だったのですが、次の試合は一枚目(スタメン)で行ってみるかと言われたこと。その試合が一番うれしかったです。ずっと願っていたポジションだったので任されていることを一番実感できた瞬間でした。
逆に一番辛かったことは、2年生のころ。その頃はずっと辛かったのですが、特に夏合宿が一番辛かったです。Bチームだったのですが、Bチームのメンバーとキーパーである自分の立場の意見が対立してしまってビデオ見の時に集中攻撃を受けて辛かったです。自分自身も全然うまくいってない時期で、もやもやした状態でチームに来ていてメンバーと不釣合いが生じていた。そんな時期もありました。
それでもラクロス部は、自分を変えてくれた存在。2年生の時の辛かったことがあったから、今の自分のプレーだけではなく心の持ちようとか、相手に対する態度の示し方とか、今のままではだめだということに気付いて。そこから自分の全てを変えていこうと思えたのがその瞬間でした。色々なことをやってきて後輩とかもすごく慕ってくれるし、チームの中でもリーダーとして認められているなと感じることができたので。1年生のころからリーダーを目指していていたのでそこにしっかり変えてくれた存在です。
後輩たちには立教らしさをいつまでも失わないでほしい。周りとはちょっと違うこととか周りがやってないことにどんどん挑戦してほしいです。そういうことにずっと挑戦するチームであってください。

♯0 岡村由惟(コ4・ぱい)
FINALについてみんな同じことを言っているかもしれないのですが、勝ち負けとかそういうのではなくベストを尽くして私の中では勝っても負けても絶対泣かない、というのは決めていました。最後こうやって大きな100人以上いる部活の中で代表として試合に出させてもらっているので、自分が出来ることを全部やりつくして胸を張って挨拶に行けるように、と決めていました。
私は大学に入る前、違う競技の陸上をやっていたのですが、大学に入ってどうせやるなら一番強い部活に入りたいと思って。その部活に入ってやっぱり最初の試合には出られないし辛い時もあったし、手術をしたりと大変なこともありましたが、それが今に生きているかなと思います。私は最初下手だったし試合も全然出られない立場だったけれど、自分も最後には試合に出られたのでBチームからでも這い上がって試合に出るところまで行けるよ、と勇気を与えられたらいいなって思います。
私たち4年生で試合に出る人は少なくて、プレーの面ではチームを引っ張っていくことはあまりなかったのですが、組織の中では中心となって、フィールドではない違うところで、私たちが理念に掲げている「社会で活躍できる女性を輩出する」というところでいい上級生になれたかなと思います。 
1番印象に残っていることは、私自身のことになりますが、学年が変わる年にケガをしてしまったときに、先輩が「ゆい(岡村)が復帰するころまでリーグ戦が続いているように、ゆいが復活する舞台をつくるから」と言ってくれて。結果FINAL4には行けませんでしたが、先輩たちの言葉のおかげでケガも乗り越えらました。
最後に、私はずっと試合に出られなくて、それでもチームに貢献できることは他にもあるし、Bチームから這い上がって試合にも出られるんだぞ、後輩たちに伝えたい。どんなに下手くそでも夢を捨てないで頑張ってもらいたいです。

♯2 板野早希(観4・さき)
私たちの学年は個人個人が結構バラバラな性格で、まとまるのがすごく大変な学年でしたが、失敗もしながら年を重ね、ミーティングをしていくうちにどんどんまとまってきた学年だなと感じます。4年目にして、上に立つような学年ではないけれど、組織を盛り上げるのが上手い学年というか。下の学年の潜在能力を引き出す力を一人一人が持っている学年だなと感じます。技術面でチームを引っ張るということは少ない学年だったけれど、組織の面でサポートする側に回って、リーダーシップのある後輩を押し上げる、縁の下の力持ちの学年だったと思います。
学年のみんなには「ありがとう」という気持ちでいっぱいで。それは私たちを支えてくれた後輩たちにも同じ気持ちです。今はまだ4年生が上に入りという気持ちがどこかにあって、抑えている部分も絶対にあったと思う。これからは、自分たちが引っ張っていくという気持ちを徐々に引き出していって、来年のこの時期に自分たちの精一杯の力を出し切って優勝してほしいです。  
女子ラクロス部は私自身が本当に成長できた場所。特にチームプレー、チームワークに大切なものというのを本当に学ばせてもらいました。そして、ただ勝つためにというのではなく、その過程を大切にすること、「絶対はない」ということ。社会人になったら理不尽なことも沢山あるとは思いますが、そういう気持ちを忘れずに、ここで培ったものを生かしていきたいと思います。  
4年生のみんなにも、後輩のみんなにも本当に感謝の気持ちでいっぱい。「感謝」という言葉を、とにかく強調して言いたいです。ほかの部を見ていても、いいなと思う部はたくさんあります。でも、私に合っていたのは女子ラクロス部だったと、改めて思いました。

♯4 細山美咲(文4・みさき)
FINALでは、「勝っても負けても何も変わらない」と佐藤HCには言われていました。私は見守る形にはなってしまったのですが、自分としてはすっきりしました。以前はこちらの雨の準備がしっかりしていたこともあって勝てたのですが、今度は慶応が本領発揮してきた感じですね。
この4年間を振り返って、毎日が充実していて、全力でやってきたことや同期や後輩と練習してきたことが本当に大切だったと思います。逆に辛かったことは、ケガをしていてなかなかラクロスができなかったこと。チームに貢献できなかったことが辛かったです。
私にとって女子ラクロス部は成長できる場所で、同じ考えや目標を持った仲間と一緒に成長できました。周りからの影響も受けて自分の考え方が洗練されていくことも多かったので、自分を高めることができました。体だけでなく心も成長できたと思います。
一人一人の個性も違って試合に出られる人もいれば、出られない人もいるのがこの部活。でも、自分がどのようにチームに貢献できるかを考えて、後輩たちにはプレー以外でも頑張ってほしいと思います。 
この4年間で私を一番に支えてくれたのは、やっぱり仲間。特に同期が支えてくれたのでやってこられたのだと思います。感謝の気持ちでいっぱいですね。ケガしていたのでラクロスができない立場であっても受け入れてくれたのは本当に感謝しています。
立教の女子ラクロス部を一言で表すのなら、願いを込めてという意味も含めて「一流」です。これからも一流の組織を目指していってほしいです。

♯9 AC・高橋未来(観4・みく)
春のころは全然勝てなかった中で、最後はFINALまで進めてよかったです。
チームが強くなった要因は、自分なら選手からコーチに転身したこと。一人一人の決断がチームに良い影響を与えたと思います。私がコーチに転身した理由は、日本一になるために、自分がグランドに立っているイメージがなかったこと。でも、ラクロスの知識に関しては誰も負けない自信がありました。どんな形であれチームに貢献したかったので、アシスタントコーチになりました。コーチのやりがいは、選手と話すことや選手のモチベーション。それぞれの選手に合わせた話をすることであっという間だったと思いましたが4年間長かったです。辛いことの方が多かった4年間。一瞬一瞬を全力でやったから。4年間で1番の思い出は最後のFINAL。4年間の中で、現役として次がない場面がなかったから。
立大は、いい意味で変なチームだと思います。他の大学やチームでは考えられないようなことを行っているから。若いチームであることには変わりないので、これからも常にチャレンジャーの精神で行ってほしいです。これは今代表に入れていない人に伝えたいことですが、自分で限界を作らないでください。限界は周りがつくるものだから。

♯15 竹内千恵(コ4・ちえ)
今まではチームプレーというのをしたことがなかったので、それをするということが自分の中で1番大きく変わった4年間だったなと思っていて、その大切さやそこでしか学べないものをたくさん考えていたらいつの間にか引退!という感じですね。辛いことのほうが多かったから、中身のない4年間ではなかったし、辞めたいと思ったこともあった。でもどんなに辛いことが多くても学べることのほうが大きかったから、全部ひっくるめてとても楽しかったです。立大はちょっと他の大学とは違っていて、特に今年は「絶対に勝つぞ!」ということを言わず、目の前のことを空っぽになるまでやっていくというのは、試験などで結果を考えずに全力を出すことにも繋がって。チームがそう言い続けてきたから自分もそれを出来たのかなって。今は全力をつくすということを日常の中でも考えるようになりました。  
私たちの代は一人ひとりの個性が強くて、みんなで何かをするというよりは、それぞれが個性を出しての16人でした。そんな同期が本当に大好きだし、一緒にご飯に行くこともたわいのない会話をすることも全部私にとってかけがえのない思い出。私は困ったときにはいつも同期に助けてもらっていたから、卒業してもそれは変わらないと思います。同期は本当に宝物です。引退することに後悔はありません。  
佐藤HCもこの前言っていたのですが、4年生がいなくなっても立教は立教のチームのままで変わることはありません。後輩たちには新チームになったから、というのは考えずにやってほしいです。私は後輩のことが大好きなので、誰か一人でも後輩の成長を卒業後にちょっとでも見られたら本当にうれしい。この部にいる限り頑張っていない人はいないんです。  
女子ラクロス部は宝、誇り。本当に劇的な4年間で、自分がこんなに変われるとは思わなかった。この部に入れたことは私にとっての誇りです。これからもずっと。

♯24 藤田優(社4・ゆう)
引退が決まったときは終わったという実感がなくて、「一瞬で終わっちゃったな」という感じでした。でもすごく濃くて、毎年全然違うチームで学ぶことがあって、ただ淡々と過ぎた日々ではなかったなと思う。思い出すと本当に濃い四年間だったなという感じです。
私がこの部入ったきっかけは、チームがかっこいいと思ったこと。その時に、「何かしらこのチームに貢献できる人になりたい、このチームのために何かをやりたい」と思って。それは4年間忘れずに突き通せた。まぁ体育会本部もやったりと凄く忙しくて大変だったんだけれど、それだけは貫けたなと思って。
チームが始まった春は本当に全然勝てなくて4年生もあんまり試合に出ていなかったりとか、凄く若いチームだった。本当に入れ替え戦に行くぐらいのレベルだったけれどここまで来られて。一試合一試合が本当に必死で前しか見てなくて。今思うと予選の青学大戦とか猛暑の中やった学習院大戦とかは言われて思い出すような感じ。ここまで無心に一戦一戦戦ってこられた事は自分たちの代のサマーステージ(1年生大会)とすごく似ています。一戦一戦本当に必死で気づいたら決勝。振り返ると、一瞬で駆け抜けて終わったなっていう感じです。
立大はある意味本当におかしなチームだと思う。普通は「負けるかもしれない」とか「自分たちは弱い」とかそういうことを試合前に言うのってタブーだと思うんです。そういう意識を持っていること自体が本当は悪いはずなのに、それをちゃんと自分たちの弱さを認識していて、その上でできることを持ってやっていて勝っても負けても変わらない、と言えるチームは他にはいない。他のスポーツも通してだけど、勝たなくていいわけじゃないし、誰よりも勝ちたいという気持ちは強いんだけれど、それでもその欲は出さずに全力を出すというのが立大。そこは誰にも負けない。
戦力で考えると本当に今年はスタートの年で、4年生があまり出ていなかったりと本当に若いチーム。だから今年がスタートで来年再来年に大きなチャンスが巡ってくると思うから、絶対に逃さないでほしい。4年生になって認識するけど、卒業してもOGも含め、PM、親御さんも含めみんなでひとつのチームだな、と実感しているので、その年によって結果は色々あるけれど、それでも毎年続いていくチームっていうのを忘れずに1年1年を大事にしてほしいです。

♯62 田邊みゆき(コ4・べっきー)、♯88 永井紫織(営4・まこと)
――今年を振り返って
永井:この1年間を振り返って、ほんとに私たちの学年は問題児で2年生の時から迷惑をかけて、1個下の学年年にも迷惑をかけて。それで代替わりになるときに「私たちの代、という発想は捨てよう」となって。私たちは未熟者だし今まで本当に迷惑をかけてきたから、「1年生から4年生まで協力して新しいチームを作っていこう」とやってきて。FINALの試合を見ていて本当にそういう風に終われたなって感じて、本当にいいチームが作れたなって思っています。「今年は○○の代」とはならない新しいチーム作りができました。その中で私や田邊とかは準リーグを任せてもらっていたのですが、4年生ということで後輩もすごく伸びてきたし、上手い子たちも沢山入ってきた。その子たちがどうやったら上手くなれるか、上手くプレーできるかというフォローに回りました。本当に上手くなってきた子たちが15人選ばれて出るということに対してうれしい気持ちでいっぱいです。準リーグの最終戦で審判を務めるのですが、私は1年生のときに、田邊は2年生で審判資格を取って、「それが私たちの有終の美みたいだよね」と話はしていました。振り返ると自分たちに与えられた仕事、どうしたらチームに貢献できるかっていうのは果たせたと思います。
田邊:技術とかでここまで残れるチームではなくて、やっぱりチーム力。今年1年はそこが育ったからここまで戦えたのかなって思っています。そこは組織の一員として誇りに思っている部分で、今年は雰囲気も良かったです。あまり、1年生、2年生、3年生、4年生ってならないでチームを作れたのが今年は成功だったのかな。4年生はあまり強くなくて足を引っ張っていたけれど、後輩に支えられながら何とかここまで来られて、チーム作りのイメージとして、今年は良いモデルになれるかなと思います。
永井:本当に今年は新しかったと思う。今までは4年生がメインでやってきたけれど、今年の代は人数が少ないし、それでもメンバーに入れなかった子たちも一人一人が役割を持ってやってきました。
田邊:だからこそ来年が楽しみで。チーム力もあると思うし、技術力もあるから来年に期待しています。
――4年間を振り返って
田邊:本当にこの部活ですごく成長させてもらったと思います。
永井:挫折の連続で1、2年時は私たちの暗黒時代と言われていて。備品ミスをするわ遅刻するわ学年のまとまりはないわ…という感じで本当に大変でした。私は税理士を目指しているのですが、今まで税理士の資格を取った人がいないということで前例になれれば、という感じで3年生のときから資格メインの勉強を認めてもらっていたので、本当にいろいろな体験ができて。1、2年生のときには係りをやらせてもらって、3,4年生ではまとめる側になって色々な見方ができたと思います。
田邊:たしかにラクロス以外の面で結構学んだことが多かったです。あとはチームで自分がどうやって貢献していけるかとか、チームへの関わり方がそれぞれあるということで「レギュラーだけではないんだよ」って思えて。レギュラーの人たちもそういうところを認めてくれました。
永井:認めてくれるし感謝もしてくれるし、尊敬もされていると思います。それが伝わってきます。
田邊:だからこそやって来られたのだと思います。
――1番の思い出は
田邊:私はやっぱりあの暗黒時代だと思います。
永井:本当に底の底まで落ちて、駒沢での試合が終わった後、お店で「私たちこのままじゃやばいよね」という話にもなって。どうしたら再起できるかっていうのを内密に話し合いました。それが結構思い出かもしれないです。暗黒時代があったからこそ、そこから辞めた人はいなかったです。そこを乗り越えた人たちが今ここにいて、いっぱい失敗したけれどその分そこから色々なことを学ばせてもらいました。
――他大にと比べて立大でよかったなって思うこと
永井:FINAL後にアンケートがあって、"ほかのチームだったら今のままやっていますか?"に"いいえ"とつけました。多分立教でなかったら4年間やってないと思う。第一に佐藤HCの存在は本当に大きくて。本当に佐藤HCがいるからこそチームの雰囲気とか目指す目的があって。「社会で活躍できる女性の輩出」と「ずっと強い立教」が理念で、前者を考えたのも佐藤HC。色々なことにチャレンジさせてもらったし、そういうのは他大にはないみたいで。リフレッシュ休暇も他大にはないみたいで。私は沢山使っていたから本当にある種おかしい変なチームですが、体育会の古い風習もなく伸び伸びやらせてもらいました。
田邊:佐藤HCの作り出している基準とかがこれから社会で活躍していく中で使える価値観を育ててくれているから、例えばチームで試合に出られないから腐っちゃうのではなくて、「じゃあ違う関わり方すればいいじゃん」と言ってくれる。
永井:私とかはそんなに上手くなかったけれど、「お前ならここを伸ばせばいいよ」とか、ちょっとした小さいことでもすぐに見つけてくれて、それをちゃんと伝えてくれて、「そしたら活きるんじゃない」と言ってくれて。ラクロスに関しても本当によく見てる。あれだけ凄いコーチを見るのは今までの人生の中で初めてで、本当にありがたかったです。感謝。
田邊:本当によく見ていたと思います。不公平がなく、平等でした。
――後輩に望むことは
永井:私みたいにはならないでほしい。
田邊:同感です。悪い見本でしかなかったから。
永井:本当にこの部の後輩たちはしっかりしている。上とか下とか関係なく尊敬しています。凄く仕事ができて、その特性ごとに係も委員会もやっているし。望むことは、今言っている「わくわく、ドキドキ」っていう話があって。佐藤HCの哲学で新しい分野として「わくわく、ドキドキを毎日感じよう」というのがあるんです。そういうのを感じながら、ここで色々な経験をしてもらって、社会に出た時もキラキラした女の子になってほしいです。

♯74 長田奈七海(異4・うみ)
このチームで良かったな。私は代表チームに入れるか入れないかという位置。だから様々な立場でチームを見ることが出来ました。
この部で学んだことは、気持ちの面など自分の出来ることをやり続けること。調子に関わらず。声を出すとか、コミュニケーションをとるとか、技術面では貢献できないときでも常に前向きに取り組み続けること。
本当に貴重な4年間を送れたと思います。入部するときに佐藤ヘッドコーチから「どんな4年間を過ごしても最後は「良かった」と思う。最後になると自分を肯定するけれど、良い思い出よりも辛いことをどのように乗り越えたか、今後に活きることを経験したほうが思い出に残る。それが違うんじゃない?」と言われました。今思うことも思い出も残りますが、苦しい時にどのように乗り越えたか、周りの人のプレーや行動をどう参考にしたかを考えたことが印象に残っています。
正直、こんなにへんてこりんな組織に入ったのは初めて。特異なチーム。夏合宿を無くしたり、練習の自由度をある程度上げたり。それは選手たち自身が考えたこと。チームのため、勝利のためにポジティブに考えた結果なんです。
4年間で1番の思い出は、3年生時の新歓係。責任のある立場をやりたい。自分が頑張るだけでなく、みんなで協力してなること。どうすればみんなが協力してくれるのか。一人一人に適材適所がある。適した役割を与えること。それを、身をもって感じました。
後輩たちに伝えたいことは大きく2つ。ひとつはこの部は柔軟なので、自分の思ったことを信じて行動するということ。部のため、でも良いけれど、私は自分のために行動して欲しいです。自分の行動を信じて、チャレンジしていって欲しいです。2つ目は伸び伸びやれる一方で辛いと感じている人も思うけれど、苦しむこと自体はマイナスではないということ。それでも分からないけど考え続けること。諦めない粘り強さを持ってほしい。人生はゲームだと思ってやること。失敗しても死にやしないし、それぐらいの気持ちでやってもらいたいです。

♯87 赤川華子(コ4・はな)
最初は憧れで入った女子ラクロス部。色々なことがあって、今になってみると全然違う自分がいるなと思います。具体的には、すごく人見知りだったんですけど、それがなくなったりという内面的なものもありますし、あとは行動力が目に見えて変わって。自分でもわかるくらいに。今になると結構分かりますね。
今年度を振り返って、最初は試合に出たいと思っていましたが、時間が経つにつれてそれは叶わないのかなと思って。でもその中でも後輩がいい意味でたくましく助けてくれたので最後まで楽しくラクロスを出来ました。後輩には本当に感謝です。
4年間を振り返って1番の思い出は?と聞かれても特にこれ!というのはなくて。日々の練習がすごく楽しかったので、その積み重ねが一番大きいかなと思っています。仲間が一番大きくて、仲間がいなかったらここまでやってくることは出来なかった。
私は今までもずっとスポーツやってきたんですけれど、すごく目先の勝利とかそういうのが目的になっていたので、組織力とか新しいことに挑戦したりとか日常にとらわれない新しい目線でいろいろなことに取り組むということがここで教わったことです。それが身に付いたのもあるかなと思います。
これから後輩たちは係りの仕事なども含めて色々な立場になると思うけれど、どんな役割にでも辛いことはあると思う。それを乗り越えて続けていってほしいです。

♯99 伊藤友梨(コ4・ふる)
FINALの試合は普通に負けたなというのが感想です。惜しくもなく普通に負けました。リーグ最終戦でも試合に入る前の段階から、実力的に言えば私たちの勝率は3対7で、100回戦ったら70回は慶応が勝つだろうということは分かっていました。雨の中のアップだったり応援の準備、グラウンドが狭い状況とか色々な準備して臨んでその少ない30%を引き寄せたところがリーグ最終戦の良かったところかなと思います。あと向こうが本当に不調だったので。特にゴールキーパーの方は。こうした色々な要因が重なって、リーグ戦では勝てたんだと思います。この30%を引き寄せられるかは五分五分だと思っていて、今回は引き寄せられなかったですね。
この4年間を振り返って、私は青春が好きなので、毎日が楽しかったです。全員で一つの目標に向かって、みんなが何らかのアクションを起こしているのが好きで、楽しいなと思います。スポーツというものは上手くいかないことのほうが多いと思っていて、そういう意味では辛いことがあるのは当たり前だと思います。常に辛かったといえば辛かったけれど、それ含めて楽しかったことのほうが多かったです。朝練の時間帯が早すぎて、私が一番部の中で寝坊しているので朝起きるのが辛かったですね(笑)
私は今までほかの部活を中学、高校でやってきて、部活というのは私にとって生きがいに近いのかなと思います。それを通して成長していけると思っているので、この女子ラクロス部も自分を成長させてくれる場所だと思っています。
私達は「ずっと強い立教」を掲げているので、後輩たちにも代々受け継がれているULTIMATES魂を引き継いで10年後、20年後やおばあちゃんになっても応援に来られるチームになってほしいなと思います。

FC 並木梢(こずえ)
今年であしかけ五年目で去年留学していたので今年四年生をもう一回やり直して、今同じ代が全員卒業してしまって。やりにくい環境の中で下の子たちには仲良くしてもらって感謝しています。私に「留学したい、成長したい」と思わせてくれたのがこの女子ラクロス部。規定で選手としては出ることは出来なかったけれど、少しでも力になりたいなと思って1年生のコーチとして戻ってきました。
一番印象に残っていることは、今年のチームが凄くいいチームだなということ。今年の初め新チームとして始まったころは沢山試合に負けて、入れ替え戦筆頭候補なんじゃないかとか、と言われていたくらいのチームなんです。でもみんなチームの子たちが謙虚に「自分たちは弱い」ということを受け止めながらしっかり練習に真摯に取り組んでここまでこられたことが、今までにはない感じの凄いチームでした。チームとして成長しているところを見られたことが嬉しかった。
立大が他と違うところは色々あると思いますが、今年の特徴としては「勝ち」ということにこだわるのではなくて、「自分たちのベストを尽くそう、話はそこからだ」とやっているところは他大とは違う、立大のいいところだと思います。
今年入った一年生、二年生をはじめ、若い子たちの実力がすごくレベルが高いチーム。今年はFINALで負けてしまいましたが、来年再来年はもっといいところにいけるように頑張ってください。

MG 櫻井優実(法4・ゆみ)
引退が決まった直後は、正直「終わった」という実感が全然なくて。気持ちが追い付いていない状態でした。去年や一昨年とやってきたことはそこまで変わらないですが、今年は特にマネジャーとして、自分がやりたいケアではなくて、選手がどのようなケアを必要としているのか、という選手目線のケアを心がけるようになったかなと思います。選手が活躍しているのを見て、もちろん自分も一緒に戦っているという気持ちはあります。勝ったらうれしいし、負けたら悔しいし。でも、どこかで傍観者として試合を見る立場でもあるのがマネジャーだと思います。  
同期である4年生の選手に対して思うことは、「感謝」の一言に尽きますね。この4年間自分自身がやってこられたのはこのチームだったから、この同期がいたからというのが本当にすごく大きくて。だからシーズンが始まる前から、「私をここにいさせてくれてありがとう」という気持ちは大きかったです。  
私にとって女子ラクロス部は、大学時代を捧げた存在。高校までは自分自身がプレーヤーをしていて、マネジャーになる予定もなかったんです。ただ、何か新しいことを始めたいなと思って出会ったのがこの部で。今では自分の人生の中で本当に大きな存在。この部に出会っていなかったら、今の自分は全然違っていたと思います。マネジャーとしての技術だけではなく、疑似社会としての役割や体験に出会って一生懸命頑張れたということが、自分にとってすごく大きなことでした。  
女子ラクロス部に入って4年間を過ごして、後悔だけで終わる人って絶対にいないと思うんです。辛くても楽しくても、何かしら得るものが必ずあると思うので、興味が少しでもあったらぜひ女子ラクロス部に入ってください!

MG 金子祐美(済4・かねごん)
今シーズンは、1番自分たちが主体となって動かなければいけない年でした。でも私たちが就職活動の時にチームをまとめてくれた2、3年生がいて、同志になってくれた1年生がいて。後輩たちに支えてもらってチームが成り立っていました。みんなまとまっていて良い組織だったなと思います。
私は男子ラクロス部から転部したのですが、女子ラクロス部に入り直す時も、男子ラクロス部の人からすごく応援してもらいましたし、女子ラクロス部も受け入れてくれました。大学でも部活をやることを選んで良かったと思える組織だったなと思います。マネジャー=雑用というイメージもあると思うのですが、このチームはマネジャーも一部員として受け入れてもらっているのでやりがいもあるし誇りもあります。直接勝利には貢献できないけれど、その中でも日本一のマネジャー陣を目指してやってきて今がある。モチベーション維持がすごく難しいんですけれど、またやり直すとしても私はマネジャーをやるのかなと思います。
同期とは、チームがどん底の状況にまで落ちていったところからみんなで協力してチームを作ってきました。最初に思い浮かべるのは同期たちの顔だし、これからもずっと一緒の仲間になっていければいいなと思います。
この部で、「一流」ってなんだろうというところをいつも模索してきました。絶対に勝つとか絶対に負けないとか気持ちに左右されることなく、コンスタントに一流の準備をすることがモットーだったので、それが出来ているのが他とは違うところ。いろいろな所で意識はすごく高かったのかなと思います。
この部活で得たものは、色々な人との繋がり。縦横の繋がりも得たし、なにより自分が4年間部活をやり続けたことがこれからの自分の自信になると思います。たくさん負けてきたしたくさん落ちてきました。その中で立ち上がる術を学んできたので、社会に出てもそれは応用できると思います。
後輩には自由にやってもらいたいです。自分たちが正しいと思ったようにやって欲しいですし、自由にのびのびと先輩のことなんて気にせずにやってほしい。これからの活躍に期待です!

MG 関根悠紀子(済4・ゆっこ)
FINALのときは、このチームで決勝戦に行けるとは最初思っていなかったので、みんなが浮き足立たないように、チームが平常心でいられるようにマネジャーとして気を付けていました。慶大と戦うのは2回目でしたが、みんなで話し合うという機会はあまりなくて。みんなが多分思っていたことは、前回は雨で、向こうは準備してなかったけれどこちらは準備をしていて勝てた試合だったので、次は晴れているから向こうは万全な状態であるということ。私達が挑戦者なので、どうやって臨んでいくかを考えました。
女子ラクロス部での4年間は、一言でいえ言えば「波乱万丈」。私は実はずっとマネジャーだったわけではなくて、1年生の時はプレーヤーだったんです。でもケガをしてマネジャーになって、実質2年ちょっとマネジャーでした。色々な変化をしていても、この部は私を受け入れてくれるし、そんな女子ラクロス部が大好きだったから、どうやったらチームが日本一になれるかというのを常に考えていました。
ケガをした時も、「逃げたくない」という気持ちが大きかったので、やめるという選択肢はなくて。プレーヤーとして後悔はないくらいまでやりきった後に、次の選択肢としてマネジャーをやるという気持ちでいたので、本当にすっきりして次のステージに行けました。
立大はとてもにぎやかなチーム。でもけじめをつけるところはつけられるすごく素敵なチームだったなと思います。今年1年間最初は自分たちが引っ張っていかなきゃと思っていましたが、だんだん1年生もしっかりしてきて、このいい状態のまま続けられるかというのをうまく後輩でつなげられるかなという気持ちでやってきました。
4年間やりきるというのは本当に大変なことだけれど、それでも得る部分はたくさんあるし、胸を張って私はこの部活をやり切りました、と言えるチームなので最後まで頑張ってほしいです。

終わりに
決してこの4年間は平坦な道のりではなかったはずだ。挫折や葛藤に直面した日も、屈辱を味わった日もあっただろう。しかし、どんな時にも側には同期、後輩、監督コーチ、OG、家族、友人…沢山の人の存在があった。何度壁にぶつかっても、多くの人たちの支えがあって立ち上がってきた。そんな周囲の人との繋がりが、彼女たちを技術的、そして精神的に強くした。
 4月からは17人それぞれが、別の場所で新たな道を歩み始める。「社会で活躍できる女性の輩出」――。これは女子ラクロス部が掲げる理念のひとつだ。4年間で培った多くのエネルギーや経験は、立大を卒業してからも彼女たちを後押しするに違いない。





 

Do your best, and it must be first class.
〜最善を尽くせ、そして一流であれ〜


 これからも、何事にも全力の素敵な女性でいてください。4年生の皆さん、ご卒業おめでとうございます!

(編集・高橋里沙、高宮明日香、古川香菜子/インタビュー・稲垣万、高橋里沙、高宮明日香、古川香菜子、高山統志、都丸小百合)



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