準硬式野球部
悲願の優勝へ 確かな足どり


  「みんなの勝ちたい思いが見えるリーグ戦でした」。春季リーグの全ての日程を終 え、主将・大津留(理4)は振り返る。その試合数はリーグ最多の15。全カードを第 3戦まで持ち込んだ。勝ち点を落とし、涙をのむこともあった。それでも全員で声を掛 け合い、くじけることなく戦い抜いた。7勝8敗で結果は4位。優勝を目指す立大にと っては不本意な結果かもしれない。だが彼らの技術、精神力は確かなるステップアップ を果たしている。

○伸びゆく若手たち
多くの試合で先発、好投した谷
  春を思い返し、特筆すべき事柄の一つは下級生の台頭 だ。顕著な例が投手・谷(現2)。今季は2勝4敗と負 け越したものの、ほとんどの第1戦と第3戦で先発して フル回転。投球回は61。さらに奪三振は49と、いずれも リーグ最多を記録するピッチングを見せた。8勝1敗で 優勝した早大に唯一の黒星をつけた日も谷が登板し、9 回1失点。「本当に立派に投げてくれた」と、大津留は 絶賛。集中力などの課題はあるようだが、来季も田原 (理4)と共に先発の二本柱として立大を引っ張るだろ う。   捕手として全試合でマスクを被った奥山(済2)の活 躍も目覚ましい。突然の先発起用だったが「期待に応え るしかない」と奮闘。同期の谷、加藤章(コ2)とバ ッテリーを組んだときは積極的に声掛けを行い、彼らの 持ち味を引き出した。打撃面でもここぞという場面で安 打を放ち、多くの四死球を選んで得点機を作った。秋へ向けて「盗塁を刺す」と抱負を語 る奥山。ワンランク上を目指して今日も練習に励んでいる。 他にも、主に中継ぎとして多くの試合で好投した加藤章。リーグ初戦で先頭打者ホ ームランを放ち見る者を驚かせた神岡(済2)。堅実な守りで魅せた藤吉(コ2)。対 早大2回戦で代打逆転満塁サヨナラ本塁打を決めた佐々木(コ2)。新戦力ながらスタ メン起用に応えた大井(文1)、榛葉(済1)。…枚挙にいとまがない。それほど若手 の活躍が光ったリーグ戦だった。
内野の守備陣をけん引した副主将・安隨


○「守り勝つ」
  「守ることが大前提の野球をやろう」。大津留が最も力を 入れて取り組んだのが守備の強化だった。昨季まで失策で 点を献上することが多かった立大。だが今季は違った。猛 練習が功を奏し、特に内野陣のエラーが激減。ボールがど こへ行こうが「大丈夫」と、我々を安心させてくれた。 「エラーに対する責任感が変わった」。そう語るのは、3 年生ながら副主将を務める安随(営3)だ。内野陣で唯一 の上級生である彼。「自分がやらないとついてきてくれな い」と、率先して守備練習に取り組み、全試合フル出場。先輩としての立場と、無失策 への強い執着が彼を突き動かしていた。強い意識は選手全員に浸透し、守り勝つ野球を 体現する姿勢へとつながった。ついてきてくれた後輩に「感謝しています」という安 随。彼が見せた背中は堅い守備だけでなく、互いの信頼も生み出した。

主将・大津留。秋もチームを鼓舞し続ける

  少しずつではあるが、立大全員の努力は結果に結びついて きている。残る課題は「得点パターンの確立」と主将は言 う。来た球を打ちあげてしまうのではなく、うまく転が す。スクイズを出せるようになる…。打者一人一人が頭を 使い、技術を身につけることが不可欠だ。そのためには不 調気味の4年生の発奮も待たれる。「春が終わった瞬間、 秋が始まる」(大津留)。いざ16季ぶりの優勝へ。彼らの 秋は既に幕を開けている。
(7月1日・小野錬)





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