日本学生陸上界を支えた男

緒方 信也


  今年度の陸上競技部では岡田(社4)の関東インカレ、全日本インカレ・女子10000b競歩の4連覇。長谷部(営3)の関東インカレ男子2部・110bハードルで3位入賞などの輝かしい成績が数多く生まれた。そんな表舞台での活躍の裏側で大きな活躍をした男がいた。それが陸上競技部マネージャーで関東学生陸上競技連盟(通称:関東学連)常任幹事であり日本学生陸上競技連合(通称:日本学連)幹事長の緒方信也(観4)だ。今回は学連での活動を中心に彼の4年間の道のりに迫った。


学連とは
  大学の陸上の大会を運営しているのは主に学連の方々である。関東学連は関東地区の大学の大会を運営していく組織であり、関東インカレや箱根駅伝などはこの組織が中心となって運営していく。日本学連は全国を飛び回り全国規模で行われる大会を運営していくのだが、それぞれの大会の主幹の学連と密に連絡を取り合い進めていくことも日本学連の仕事である。学連は、休日主に行われる大会に加えて基本的に平日も毎日活動をしている。「日本学連はそれほど大会が多くないので忙しいときと忙しくないときのメリハリがあったのでまだ良かったんですけど、関東学連はどちらかというと厳しい組織でいつも忙しい感じで進むのでそれを12か月続けるのは厳しくて、なかなかまとまった休みもないのでみんな帰省くらいしか休みってないのかなって思いますね」と緒方が話すくらい学連の仕事が大変だったことが伝わってくる。大会前の学連の事務所は緊張感が走り、本当に忙しいときは夜遅くまで仕事をしてほとんど睡眠をとらず朝早くから大会の運営をすることもあった。

学連に入ったきっかけ
  まず緒方が学連に入ろうと思ったきっかけは高校でインターハイまで進んだものの最後の選考会で負けてしまい陸上に区切りをつけられなかったところから始まった。そこから「大学では観光の勉強をしたかったので観光学部に入ったのですが、さあいざ何をやろうかと考えたときに元々陸上が好きだったのでそういう裏方も楽しいのではないかと思い入ったのが一応きっかけです」と陸上への思いを語るのと同時に「元々(学連を)知るきっかけになったのが箱根駅伝で、小さい時からずっと好きだったので毎年朝早く起きて見ていました」と箱根駅伝を運営する憧れからも学連に入ろうと決心した。

箱根駅伝
  緒方が小さい頃から興味を持っていた箱根駅伝。今年で90回を迎え今や正月の象徴として表されるほどにまで大きな大会となった箱根駅伝だが、この大会は関東学連の学生たちが中心となって運営しているのである。その箱根駅伝に携わった4年間を振り返ってもらった。
  緒方の運営側としての箱根駅伝は関東学連選抜のマネージャーから始まり、選手の合宿に参加してマネージャーをしたり当日は運営管理車に乗車したりなどめったに経験できないことができたそうだ。「選抜チームのマネージャーということでチームの一員として参加させて頂いたが運営管理車から見ていてすごいなって本当に思いまして、多分こういう形で乗る機会って一生に1回あるかないかって思います。先輩方に良くして頂いて1年生であの体験ができたっていうことは僕が学連を続けてこられたっていう中でも本当に大きな意味がありましたね。あの先輩たちに立派になった姿を見てもらいたいなっていうのもあって今まで頑張っていた部分もあったので、本当に(この経験は)大きかったと思います」。緒方が4年間学連を続けてこられたのもこれらの経験があったからであることは間違いない。
  翌年はスタート・フィニッシュ班を担当したが、それ以上に大変な仕事があった。それが報道という仕事である。「報道を担当するのは広報委員会っていう委員会で主に協賛の読売新聞社さんですとか日本テレビ放送網さんとかも委員会のメンバーとして入っていて学連の先生方と一緒に色々やり取りをされるんですけど、やっぱり企業の方で仕事もすごい方々ですのでその方々と一緒に仕事をするっていうのは本当に緊張もあったし怖かったです」と自分の仕事の大きさと責任感を感じたそうだ。緒方は4年間の中でこの年が1番大変だったと振り返った。
  そして4度の箱根駅伝の運営を終えた今、「警察の方々もそうですし協賛の方々などの後援がないとできないと思うんですよ。本当にいろんな人たちの支えで出来ているなっていうのは箱根駅伝とかは特に感じますね。本当に大きなものをやっているんだなっていうのは改めて感じることが多いです」と学生主体で運営はされているが、さまざまな人の協力があるからこそできる大会が箱根駅伝なのであることを実感していた。「(学生主体でやっていることを)知ってもらうというよりかは自分たちが一生懸命がんばることによって出場する選手含めていろんな人たちが箱根駅伝というものの中で幸せとか楽しさや嬉しさを感じてもらえれば本当に良かったなと思います」。選手を第一に考えながら大会を運営していたのが学連であり緒方であったのだ。

4年間学連で活動してきて

  「余裕がなかった」と言うほど4年間学連の活動に情熱を注いできたできた緒方だが、忙しさの中にも楽しさがあったそうだ。日本学連の活動で全国を飛び回っていた緒方であるが、「いろんな人と関わることができたというのは学連をやっててよかったなと思う点です」と知り合いに各地を案内してもらったり同級生や後輩が泊めてくれたりすることもあった。「学連はデスクワークみたいな仕事ばかりするんですけど、その中でいかに仕事を楽しくやれるかですね。同じことをやるにしても気持ち次第で結構変わる部分って大きいと思うんですよね。なのでいろんな楽しみ方を見つけるということでやっていましたね」。

  緒方は今後の学連について「関東学連に関してはやっていることが本当にすごいことだと思うので、是非今後も続けていってほしいというのと箱根駅伝というのが注目されつつあると思うのですが、やっぱり関カレにしたってレベルが高いですよね。箱根駅伝だけではなくてそういう大会があるっていうことを多くの人たちに知ってもらうことを目指してほしい」と思いを寄せ、「日本学連については今までにやっていないことを是非やっていってほしいなと思います」とさらなる飛躍を期待していた。

立教大学陸上競技部
  学連の一員であり立教大学陸上競技部の一員である緒方は「陸上競技に対してストイックになってきていて意識が上がってきているかなって思う」と今後の陸上競技部へ大きな期待を寄せていた。「最近附属生の台頭がすごいなと思っています」。主将の長谷部や中距離パートチーフの鹿島(社3)などの活躍に注目を向けた。そして「立教という名前が全国に有名になればいいなと思います。全国的な活躍が出来ているなとも思っていますので相乗効果でどんどん強くなっていってほしいなって思いますね」と長距離女子の全日本大学女子駅伝への出場などにも期待を寄せていた。来年度の陸上競技部の活躍にも目が離せない。


  終始笑顔でインタビューに応えていた緒方は4年間を「一言でいうと忙しかったなっていうのはあるんですけど、何もしないよりかは忙しくてこれだけの経験ができたっていうのは本当に大きなことだった」と振り返りつつも「(色々な)人たちと縁あって色々な形で出会えたので是非その縁とかを大事にしながらこれからもうまく頑張って陸上競技っていうものに何かしら自分なりに貢献できたらなっていうことを考えていますね」と今後の人生の地図も描いていた。卒業後は公務員として新たな舞台で活動をする。彼の今後の活躍にも期待したい。4年間お疲れ様でした。
(2月11日・編集:藤井俊/聞き手:長田優太、櫻井遥、藤井俊)



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