陸上競技部 三将インタビュー



〜受け継がれるバトン〜


  大学陸上界の一大イベント、関東インカレ。五輪選手の活躍、大会記録更新…数々のドラマが繰り広げられるこの大会は、立大陸上競技部にとっても思い入れが深い。最終日に全競技を終えて、4年生から3年生へ幹部交代が行われるのが伝統だ。1年間主将、副将として部をけん引してきた4年生3選手の心境に迫った。

主将・長谷部高正(営4)

  男子2部110mH、200m、4×100mリレーにエントリー。初日の110mHでは準決勝2位のタイムで決勝進出を決めていたが、1走で出場したリレーで足に軽傷を負う。今後を考え、その後のレースをすべて棄権。優勝が期待されていただけに悔しい大会となった。

――関東インカレを振り返って
優勝してこの4年間の集大成を飾りたかったのですが、結果的に叶わなくて非常に辛い関東インカレでした。でも同期の活躍や後輩の活躍を見ていると自分が出なくても選手として走っている気持ちになれて、一体感のある大会だなと改めて感じることができたかな。辛かったんですけど非常に楽しくてすごく充実した大会でした。

――関東インカレへの思いは強かったですか
選手としてももちろん、今年は主将としてチームを引っ張ってきて、その中で関東インカレは部の目標でした。そこで結果を出さなければならなかったのですけど、出せなかったことは反省していますし悔しいです。けがを押してでも出て活躍するのか、そこを抑えて万全の状態で全国の舞台で活躍するのかを天秤にかけた時に、関カレの予選、準決が終わって全国で活躍できると確信したので、悔しいんですけど棄権をして。全カレと個人選手権に懸けて、そこで部員たちに感謝の意と元主将の意地を見せられればいいかなと思います。

――4年生で自己ベストを出した選手が多かったですね
4年間一緒にやってきた同期が自己ベストを出すのは嬉しくて、実際今日も(佐藤)太一が円盤投で自己ベストを出したときは正直うるっときてしまいましたね。やっぱり太一はずっと入賞していたので最後は表彰台に立たせてあげたかったなと思って…4位入賞は太一の次ぐらいに僕が悔しいんじゃないかなと思うくらい。そのくらい悔しくなれた同期がいるってことが素晴らしいことですね。僕が棄権するときは同期に相談したのですけど、僕の真剣な思いにしっかり応えてくれたので、本当に感謝しています。

――昨年に代替わりをしてから主将として何を意識してきましたか
何よりも変革、強い立教をつくるという思いと共に頑張ってきました。その中で部員と衝突もあったりして、幹部のわがままというか少し我を強く通してしてしまう部分もあったのですが、やはり根底には部を強くしたい、関カレで男子を1部に上げたいという思いがありました。幹部が一丸となって強くしたい、この代を後世の記憶に残るような世代にしたいっていう思いを持って、僕達の代しかできないようなことをやろうと思ってこの1年やってきました。

――監督に長谷部さんがすごく頑張っていたと伺いましたが
そんなことはないですよ。本当に僕の力じゃ限界があったし、監督やOBの方々、部員や後輩がいて、先輩方が応援してくれているからこそ自分が結果を出して恩返ししたいという部分があったので本当に感謝したいなと。今まで支えてくれた人に恩返し出来ればいいなと思っていて、それをする場所が試合だと思って努力してきたので、監督がそう感じてくれているのはすごく嬉しいです。

――今後の目標は
全カレでは13秒82を出して表彰台に上がりたいと思います。同志社大に同期で同じハードルで同じ主将の人がいて、そいつのほうが僕より一枚も二枚も上手なんですけど、そいつと「全カレで戦いたいね」と話を1年の頃にしていて、それがようやく果たせるときがきたので決勝で戦ってなおかつ勝てれば最高ですね。もちろん個人でタイムを出したいっていうのもあるんですけど、ライバルとのバトルっていうのをしてみたいですし何より楽しまなければ一番意味がないので。もちろん勝負にこだわるのも大事なんですけど最後の日本インカレを4年生としても一競技者としても、部員たちの思いやプレッシャーを背負いながら楽しく走れたらいいかなと。そこに向けてあと4ヶ月頑張っていきます。

副将・藤ノ木詩織(文4)

  女子1部1500m、10000m、5000mに出場。10000mではその日2本目のレースとなり疲れが残る中で、自己ベスト・立大記録を更新する力走を見せた。

――10000mでは自己新でしたが納得のいくレースになりましたか
同日に行われた1500mで、1年生6位、2年生5位、3年生9位で、今年も入賞を目指そうと思っていましたが予選で落ちてしまってすごく悔しくて。10000mに出ても、練習みたいな感じで終わってしまわないかと出るかどうか迷っていました。でも、ここで出なかったら何も残らないなと思って出ようと決めました。最低でも自己ベストは出したいなと思って走って、時計を見ながらラストは必死に走って更新できたので、秋の駅伝に向けても10km走れたということは良かったかなと思います。

――次週の5000mでは、レース後に出水田さん(コ1=女子1部5000m2位入賞)と並んで退場される姿が印象的でしたね
今まで同じ学校の中に自分より速い先輩も後輩もなかなかいなかったので、自分がゴールした時に先にゴールした仲間が迎えに来てくれたことはすごく嬉しかったですね。「こんなに速いのに遅かった私のところまで来てくれるんだ」っていう感動がありました。

――1年間副将を務めてきて
今までの歴代の副将は関カレで表彰台に上っている先輩が続いていて、私は決勝にも残れない結果だったのでプレッシャーもあって1年間本当に大変でした。でも、競技成績は駅伝で残すということで、また頑張りたいです。

――9月の関東女子駅伝では全国出場が期待されていますが、意気込みは
1年生のときから全国出場を目指してやってきて、でもなかなか叶わなくて。やっとメンバーもそろって1年生も速い子が入ってきてくれたので、今年こそは狙えるチャンスだと思います。下級生に頼るんじゃなくて私を含めて4年生が4人いるので引っ張っていけたらいいですね。

副将・佐藤太一(法4)

  男子2部ハンマー投げ4位、砲丸投げ6位、円盤投げ4位と出場した3種目すべてで入賞を果たす。さらにすべてで自己ベストを更新した。

――関東インカレを終えて
疲れましたね。今年の冬は練習を結構していたので、悔しい気持ちが大きいです。やっぱり4年間表彰台に挑戦してきて4年間で4位を5回取っているので、あと一歩届かなかったことが悔しいですね。自己ベストが出るような状態に仕上げたので、ベストの中でももう少し記録が欲しかったって言うのが正直な感想ですね。

――昨年代替わりしてからこの1年間を振り返って
実力のある4年生が幹部にそろったので、その競技力を武器に後輩たちを引っ張れたかなと思いますね。また、この1年間はかなり練習に時間をかけることができたと思います。そういう姿を全面には出してこなかったですけど、時折見てくれる後輩たちがいたんじゃないかな。自己ベストも更新し続けてきたので、そういう点からもいい刺激が与えられていたらいいなと思います。

――後輩たちに託したい思いは
グラウンドが新しくできるので、練習にのめり込んで欲しいですね。我々の競技はやっぱり体をいくら鍛えても技術で活かせないと記録が出ない種目です。体を鍛えるのは当然ですけど、それを技術的な部分で出していくトレーニングには、さらに決められたノルマよりもより練習が必要だと僕は思うので、練習にのめり込んでほしいなと、そう思います。具体的には、フィールド競技で5人関東インカレに出れば立派です!期待しています!

  部員が100人を超え、ますます大所帯となった陸上競技部。来年度の関東インカレでは、さらに多くの選手がスポットライトを浴びることが大いに期待される。長谷部、藤ノ木、佐藤太から、新主将・内田(済3)、副将・角名(社3)、水野(理3)を中心とする新チームへ、バトンは引き継がれていく。
(取材=大島佳奈子、櫻井遥、添田美月、竹中進、永野伽那子、藤井俊/編集=櫻井遥)





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