フィールドに響く声が一日一日と力強くなる―――
  昨年関東1部リーグTOP8から降格し、まもなく始まる秋シーズンをBIG8で戦うことになった立大RUSHERS。TOP8復帰を目指し、主将・杉山(法4)を中心として日々鍛錬を重ねている。今回は開幕まで約20日、厳しい夏合宿を乗り越え初戦への準備を進めている富士見グラウンドで今の想いを熱く語ってもらった。

NO EXCUSE ――― 監督 中村剛喜(90年卒)
   監督就任から3度目の秋を迎えた。就任1年目の2013年シーズンは関東1部リーグBブロック2位へ導き幸先の良いスタートを切る。より上を目指した昨年は故障者が相次ぐなど厳しいシーズンとなりBIG8降格。再び日本一を目指す土台を作る監督・中村の決意は固い。聖地・清里で行われた夏合宿で、中村は選手を集めた。
   「NO EXCUSE」 ただそれに尽きる。100人を超える選手、スタッフを前に意識の改めを伝えた。
   「相手のある競技だけど、結局自分がやるかどうか。自分が選択をどうするかで変わってしまう」。勉強をしなければいけない、練習地が遠い、忙しい。言い訳は自分にいくらでもできる。ただ言い訳したところで何も変わらない。日本一を再び目指して、言い訳は無用と語った。加えて中村はチームに貪欲さを求める。いい子なんだけど、どこかが足りない、それが立大選手の特徴だという。富士見でできて当たり前、本番でもどこまで貪欲に相手に立ち向かえるか、秋シーズンでのチームの成長を強く望んでいた。

何が悪いのか、どうしたいのかをどれくらいできるか ――― HC 市瀬一
   指導の最前線でチーム作りを考えるHC・市瀬。昨季までチーム内で薄かった、「自発的行動」を選手に強く求める。「自分で問題意識をもって行動して結果を出すということが自分の責任だと思っている奴が増えた」と語るも、望むレベルへはまだまだだという。主将や副将をはじめとする幹部選手と密に話し合い、チームの方向性を考える。その中で、選手の主体性が強まっていくことがベスト。自らアクションを起こし、練習や試合で個々が空気を作っていくことをこの秋も求める。「昨年の負けた悔しさ考えたらもうどの試合も負けられない。上から落ちてきたうちをどのチームも狙ってくると思うので、それを認識してより強くなることだと思います。大事なのは俺たちはこうするんだ、と意志が見えるようなプレーをしていくことだと思います。」

本当に勝つだけです。昇格します、必ず。――― 主将 杉山慶多
   主将となり半年、チームを考える杉山の表情はより真剣で引き締まっていた。チームをまとめていく中で「立大らしいフットボールのチームとはどのようなものなのか」を常に考えている。推薦の多い他大のようにはいかない、それでは立大が日本一を目指すにはどうすればいいか。これは今後も課題だという。その中でもチームの一体感は春と比べ上がってきたと語る。特に合宿ではとにかくプレー数を多く、全員が一丸となりスキルアップを目指し経験をつんだ。その結果チームとして成長でき、有意義な時間となったようだ。BIG8降格後の主将として、背負うものは今まで以上に大きい。自分の目指すチーム、誰もが望むチームに近づくには前進しかない。「本当に勝つだけです。昇格します、必ず。降格するチームって翌年に昇格しないとチームが腐ってしまうと。80年という歴史があるこのチームの第81代で新しい時代を作れるチームになれるように本気です。秋はもう勝つのみです」。

初戦が鍵 ――― 副将 春木恭人(営4)
   春のオープン戦でも攻守の鍵となりチームをけん引した春木。オープン戦を振り返り、「接戦を勝てたところからもチーム力が物になってきた」と語った。入れ替え戦を想定して臨んだ京大戦では接戦を制したRUSHERS。チームが一つになり、自分たちで試合を最終的につくれたのは大きな収穫だ。オープン戦では3年QBの2人、田中(観3)と栗原(済3)が頭角を現し、次世代を担う両選手の力が大きいとも語った。「信頼される、ここぞというときに投げられる選手であったり、この人だったらとってくれるっていう選手にはならなきゃいけない」。プレーへの妥協は一切ない。まもなく始まるリーグ戦へ、彼は真摯に自分と向き合う。



もっと上を目指さなければいけない ――― 副将 山田浩己(観4)
    「近大、中京大、京大のように競った試合をものにできたのは収穫。それでもまだまだ日本一を目指すチームの実力はもっと上を目指さなければいけない」。普段は和やかな雰囲気を纏う山田だが、自分たちのフットボールを語る彼の表情は真剣だった。オープン戦でも確実なディフェンスで相手を捉えていたが、それでも決して満足のいくものではなかった。「京大戦でゲームを終わらせられるところで終わらせられなかった、決定的に試合を決める、勝たせる場面で自分の勝負強さや存在感が自分には足りない」。自らの勝負強さの不足を厳しく指摘。ストイックに自分と向き合う。「1試合も油断できる試合はない。その中で1試合1試合最高の準備をして勝つ、それだけです」。リーグ戦でもDBの要として立ち向かう彼のプレーは見ごたえのあるものとなるはずだ。

声は力になる ――― 副将 堤惇(理4)
   「準備不足での自爆、自分たちに勝てていない。ミスでペースを乱し、弱さが出たシーズン」。冷静にチームを分析した堤。丁寧な姿勢、様々な視点から見渡すことのできる能力が高い。自分のことだけでなく1年生の指導も欠かさない彼は今のRUSHERSに欠かせない存在だ。「春とミスするところが変わらない。もっと言えればいいと思う、そこが反省だ」。一対一で後輩に問いかけながらチームの問題を見つけていく。その中で彼が声を強めたのが流れが切れた時の弱さだ。好調な時のチームはとてもいい流れになる。しかし、一回悪循環になると抜け出せない。そこで立て直せる力を持った存在になる、そう語った。他の主将、副将とは違うタイプの指導や分析。TOP8復帰へ彼の力は大きくつながるであろう。



  運命の秋がやってきた。81年目のシーズン、目線の先には昇格の2文字しかない。春のオープン戦では沢山の反省点を見つけ、自分たちのフットボールを厳しく見る姿勢は昇格への第一歩である。昨年のBIG8はチャレンジマッチを賭け大混戦となった。今年は立教を含め、強豪校が記憶に残る試合の数々を繰り広げられるに違いない。全戦全勝、チャレンジマッチ必勝、昇格。フィールドで激しく戦う選手たちに、最大限の声を送ろう。

(9月10日・取材=伊藤太一、清水千悠/編集=伊藤太一)





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