勝〜"一"にこだわれ〜F

秋季リーグ戦2015

本田智徳主務、高尾雅之学生コーチチーフ


   2015年度春季リーグ戦5位。昨年秋2位のメンバーが多く残り、戦力は申し分ない状態で春に挑んだ立大野球部はこれ以上ない悔しさを味わった。悲願のリーグ制覇へ。六大学の頂を目指す彼らに、リーグ戦直前の思いを語ってもらった。


◆本田智徳(コ4=高畠)◆

――本来の実力が出せなかったことが一番悔しいですね。前評判が高かっただけに、自分たちが強いんだっていう気持ちがあった分悔しいシーズンでしたね。
   そうですね、いろいろ自分の大学野球が変わったシーズンというか。それまでの4シーズンはあまり試合に出て登板する機会も少なかったので、そういう意味では先発で投げさせてもらえるようになったりとか、そういう今までずっと投げなかったのが投げれるようになって自分の中ですごい転機になったシーズンですね。ずっと先発で投げたいなと思って準備をしてたので、正直本当にやっときたなという感じだったんですけど。でもやっぱりちょっと緊張しましたね。
   (−印象に残っている場面などはありますか)やっぱり早稲田戦ですかね。早稲田にやられて実力の差を見せつけられた場面が一番悔しいシーンでしたね。やっぱり春を通して盛り上がりというか、その面が課題として浮き上がった春でした。試合中のムードというところでは、4年生のリーダーシップをより強固にしていかなければならないと感じました。どれだけ4年生がリードして、それに下級生がついてきてくれるのか。逆に言うと4年生がどれだけ下級生の事を理解しているかが重要になってくるのかな、と思います。

――主務として現在チームをまとめる立場として気をつけていらっしゃることは何かありますか
   幹部同士の話し合いの場はもちろんなんですけど、自分的には補助をしてくれている選手だったりデータ班だったりに良く話をするようにしています。全体に目を向けるというか。試合に出るのはAチームとかBチームの選手なんですけど、やっぱりそれ以外のメンバーを含め全員が同じ方向を向いていないといいチームじゃないかなって思ってるんで。試合に出るメンバーとそれ以外のメンバーの向いているベクトルが違い過ぎないようにするのが気を付けていることですね。主務として、ということにフォーカスすると自分はやはり運営側なので後輩の育成に力を入れてきましたね。リーグ戦運営っていうのは今年だけじゃなくて来年以降も続いていくことなどで、そういう面を大事にしています。主務という立場は、野球部の伝統を引き継いでいかなければならないので、今年の反省を後輩たちに伝えるように気を付けていますね。。

――『伝統』という言葉がありましたが、立大野球部の良い所はどこだと感じますか
   立教の良さっていうと、学年を超えた学生同士の距離が近いっていうところですかね。特に今年の代はそう感じる部分が多いんですけど、住んできた環境も似ていて寮生とそれ以外の垣根が低いと感じますね、グループ分けが薄いというか。全体的に仲がいいというか、こういう話しやすい雰囲気は先輩たちから受け継がれてきた事かなって思います。

野球をやる上での信念として「為」を挙げられた本田主務
――追い求めてきた理想の主務像はどんな主務なんでしょうか
   自分は本当にまだまだなんですけど、自分の中で達成したいなって思って来たのが「優しい主務」っていうのを追い求めてきましたね。本当に難しいところなんですけど、優しさ、っていうのは社会人になっても持ち続けていたいなって思ってます。リーダー役というか、こういう立場って嫌われ役にならなきゃいけない。でも、本当にそこで嫌われてしまったら終わりなんですよ。厳しいことを言いながらも、そこで嫌われないのが良いリーダーかなって思います。一本筋を通して、厳しい中にも思いやりを込められるのが本当の優しさかなって。

――ついにラストシーズンですが、この野球部員として過ごしてきた時間はいかがでしたか
   そうですね、やっぱり自分の場合は凄い長い時間でしたね。特に自分の場合は怒られて怒られて叩き上げられてきた身なので長かったですね。辛い思い出が多かった分、自分の価値観は凄い変わりましたね。選手のままだったら経験できなかったことを経験させて頂いているので、大人の世界に一歩踏み入れているというか、僕自身の子供さを見つめ直してきた期間だと思いますね。

――ラストシーズンに懸ける意気込みをお願いします!
   去年の秋優勝争いしてから今年の春の結果を受けて、一番「こんなはずじゃなかった」と思っているのがウチだと思います。その分一番「勝ちたい」って思ってるのが立教なので、一番勝ちにこだわってやっていきたいなと思います。

――ありがとうございました!

◆本田智徳(ほんだ・とものり)1993年6月16日山形県生まれ。コミュニティ福祉学部4年。右投右打/野球部主務/高畠/171a73`





◆高尾雅之(営4=明善)◆

――春季リーグを振り返って
   オープン戦のときからチームの調子が良くて、法政の第1回戦も結構大差で勝って、自分たちの実力はこんなもんかなと思ってリーグ戦に入ってしまったので2戦目、3戦目で第1カード落としてそこでチームの雰囲気が沈んだ状態を立て直せなかったっていうのが春の課題で。あの法政の勝ち点落とした時点でかなりチームとして雰囲気が悪くなってしまったので、そういう部分で実力を出せなかったかなっていう印象です。

――学生コーチという立場から春見つけたチームの課題はどこですか
   もちろん勝つためには個人個人の野球の能力が必要っていうのはあるんですけど、監督さんが常々仰っている「チーム力」っていうもの、誰かが調子悪いときに誰かがカバーする力であったり、目には見えない部分っていうのをどうしたらチームが全体として発揮できるかっていうのは春から課題に感じてて。それをメインに秋のリーグ戦に向けて取り組んできました。

――春が終わってから高尾さんがチームのここをこうしたいと思って具体的にやってきたことはなんでしょうか
   その春終わってみて、春はどちらかというと自分であったり、監督さんが指示を出して選手が動く感じだったんですけど。神宮で力が出るか出ないかっていうのは、自分はベンチ入ってるんですけど、何もできないっていったら過言ですけど自分が能力を発揮しても試合に勝てるとは限らないので。選手がいかに野球に対して考えて取り組むかっていうのが課題に感じて、春終わってから選手主体のチーム、4年生であったりキャプテン、副キャプテンはもちろんですけど、選手に発言の場をいっぱい持たせて、言われたことをやるんじゃなくて選手が自分で考えて選手でやっていくってことは特にやってきました。

――3ヶ月の間にあった山形での初めてのキャンプは
   自分は就職活動もあったので途中からしか行ってないんですけど、場所が変わって環境は変わったんですけど、そんなに野球の練習で困ることはなかったので良いキャンプになったかなと思います。
   (−キャンプでのチームの目標は)個人個人の目標はもちろんあったと思うんですけど、具体的な数字でいえばバッター陣が1試合で4点以上と先発ピッチャーが5回までに2失点でその後のピッチャーが1点以内で合計で3失点以内っていうのを目標に取り組んできました。それをどうやったらその点を取れるかっていうのであったり、抑えられるかっていうのをみんなで考えていく。先発が点取られたらあとは何としてでも絶対に0に抑えるってことで。4点、3点っていう目安でキャンプから帰ってきてもオープン戦まで取り組んできました。

――選手同士話し合いの場はどれくらい設けたのでしょうか
   もちろん野球外でのミーティングっていうのも今までもやってきたんですけど、特に一番変わった部分は各練習でどういったテーマで取り組むかっていうのを選手から練習前に聞いて、練習後の反省でも選手同士で反省し直して、それを次の日の練習であったり試合に繋げていくっていうのを繰り返していました。

野球をやる上での信念として、「謙虚」を挙げられた高尾学生コーチチーフ
――春、「監督と選手の架け橋でいたい」ということを仰っていました
   もちろん監督さんと選手たちとの関係はもちろん自分が取り持っていかなくてはいけないし、取り持つというかそこは最終的に自分が責任をもっていかなくてはいけないと思うんですけど。でも方針が変わって選手が主体とんってやっていくという中で、監督さんの立場としても選手がやろうと言ったことであったり、実際にやっていることを厳しい目で見てくださっているので、そこで監督さんが仰ったことを選手が理解してなかったら、「こういう意図だと思うよ」ってそういったことはやってますし、もちろん監督さんもこうしていきたいという考えはあるんで、そこをきちんと浸透させるってことは春と変わらず自分の役割ですね。

――4年間連れ添ってきた同期はどんな存在でしょうか
   特に最終学年になってから、1軍じゃなくてもチームをどうしたいかであったり、どうやったら優勝できるかっていう(ことを考える)同期がかなり多くなってきたのでそういった部分で別にどこにいようが自分にとっては頼りになる存在になってますし、自分が結構辛いときには飲みに行ったりしてっていう仲になってるんで、かなり心強い同期です。

――これまでの7シーズンはどうでしたか
   自分が1,2年の時は裏方としてしか関わっていないんで思い入れがなかったといったらあれなんですけど。なかなか結果も出ていなかったシーズンだったので悔しい思いを時はあったんですけど、特に学生コーチになってから去年であったりは「絶対に優勝してほしい」という気持ちで見ていて、なおかつ去年に関しては来年自分が上に立つうえでどういったことをやっていけばいいかっていうのを考えながら見てるシーズンで先輩たちが去年の秋にああいう結果を残してくれて期待された春がああいう結果になってしまったので、7シーズンの中で一番春が悔しかったシーズンだと思います。

――ラストシーズンである秋に向けての意気込みをお願いします!
   優勝するっていうのは最終的には全員がしたいと思ってるんですけど、狙って優勝するっていうのはなかなか難しいことだと思うんですけど。その中でも一試合一試合目の前の試合をどういう試合になるにしても全員で戦って、スタンドにいるやつも神宮に立っているやつも同じ気持ちで戦って最後優勝できて終われば最高なんですけど、もし、残念な結果になってしまったときも4年生が全員満足して追われるようなシーズンにしたいなと思います。

――ありがとうございました!

◆高尾雅之(たかお・まさゆき)1992年6月22日福岡県生まれ。経営学部4年。右投右打/学生コーチチーフ/明善/180a78`


ついに2015年度秋季リーグ戦が開幕する。群雄割拠の東京六大学リーグ。その中でも、立大のリーグ制覇の可能性は十分にある。リーグ制覇にあと一歩届かなかった昨秋。そして辛酸を舐めた今春。全ての雪辱を果たすのは、まさにこの秋だ。スタンドを埋める大勢の応援団。支えてくれる家族。そして何より自分たちの野球が一番であることを証明するために――。 野球に全てを懸ける男たちの戦いが、幕を開ける。



このインタビュー特集は今回が最終回となります。ご覧いただいた皆さま、どうもありがとうございました! また、いつも快く取材を受けてくださる野球部の皆さまにも厚く御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
次回は 勝 〜"一"にこだわれ〜 「慶大戦展望」 です。お楽しみに!



(9月11日 取材・赤津亮太、唐澤大、荒木地真奈/編集・唐澤大)





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