※この記事は雑誌「立教」2015年春号に掲載した記事の転載になります




真の"チーム"を目指して


  2016年で創部80周年を迎える立大自転車競技部。これまで個人の特長を最大限に生かすことを重視し、チーム意識は二の次だった。しかし、昨年度の東京六大学戦ではロード、トラック部門共に最下位。結果を出すためにはチーム力の強化が不可欠だと痛感させられた。

支えたい
さまざまな舞台で活躍する高木(左)
  立大には頼れるエースがいる。それが高木(理3)だ。全日本大学ロードレース・カップ・シリーズで総合3位を獲得。その後も埼玉県代表として国体に出場するなど目覚ましい活躍を見せている。そんなエースを擁しながらも、周りの選手が彼をサポートしきれていない。個人種目と思われがちな自転車競技だが、本来は自分を犠牲にしてまでもエースを勝たせるチームスポーツ。レースでは風よけとなるため前を走ったり、ライバルとなる選手をマークしたりとエースをアシストすべきだが、できていないのが実状だ。さらに、立大は他の強豪校に比べ部員数が少なく、レースにおいて劣勢な場面が多い。そのため、高木は試合を重ねるたびに「チーム底上げ」の必要性を強く感じてきた。
  このような状況下で、新主将・阿部(済2)が掲げた目標は「チームで勝つ」。競技面ではもちろんのこと、阿部が特に力点を置くのが精神面でのチーム力。「マネジャーも含め、チームとして戦っているという雰囲気を常日頃からつくっていきたい」。試合に出る、出ないにかかわらず、メンバー同士で良い刺激を与え合えるような関係性の構築を目指す。実際にプレーでアシストできなくても、せめて精神面で力になれないか。孤軍奮闘するエースを何とかサポートしたいと考えた。

底上げ
  最下位に終わった昨年度の悔しさを胸に、よりチームを意識して臨んだ今年度の六大学戦。高木の優勝や期待の新人・関谷(観1)の活躍もあり、得意のロード部門で見事1位を獲得。苦手とするトラック部門では思うような結果が出なかったものの、チームとして勝つためには誰がどの種目に出れば良いのか、エントリーから戦略を立てて試合に臨むようになった。
気持ちで部を引っ張る主将・阿部
  だが、チームの底上げはまだ始まったばかり。普段の練習は個々に任せており、部全体で練習できる時間には限りがある。平たんな道が得意な選手もいれば、山登りが得意な選手もいる。団結することが難しい分、みんなで集まれる日には、実力や年齢に関係なく全員がライバルとして競い合う。共に走り、互いの目標やコンディションを知ることが、チーム力強化への第一歩となる。
  部の中心である主将の阿部は大学から競技を始めたばかりだが、チームへの思いは人一倍熱い。歴代の主将のようにプレーで部をけん引することは難しいかもしれない。それでも、目標達成のために自らが先頭に立って引っ張っていく。来年、再来年へとつながるチームを目指して――。
  「これまでの名だたる先輩たちを越えていかなければいけない」。1人では成し遂げられなかった勝利を"チーム"の力でつかみ取る日はそう遠くない。
(平野美裕)





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