今季最後の試合として開催された、第32回16大学対抗交歓大会(霜月杯)。1部校とアスリート推薦入部以外の選手が出場し、各校の選手が交流を深める大会だ。昨年度は個人出場のみだったが、今年度は加藤(文4)、松長(コ3)、佐久間(コ1)、海老(済1)が男子団体として出場。今季の集大成を、団体2位という快挙で締めくくった。男子個人総合では、平行棒で新技に挑戦した主将・松長(コ3)が2位。期待のルーキー佐久間(コ1)も5位と結果を残した。

〈試合結果〉
・男子団体(加藤、松長、海老、佐久間) 2位
  ・男子個人総合
 松長…2位
 佐久間…5位
 加藤…24位
 海老…48位
・男子個人種目別
松長…ゆか1位、つり輪2位、平行棒2位
佐久間…つり輪1位、跳馬1位、 鉄棒2位

加藤大(文4)
―今日の試合を振り返って
  引退試合なので、練習してきた技をなるべくたくさん入れたいなと。練習で腰を痛めてしまい思い通りにできなかったところもありましたが、悔いは残っていないんじゃないかなと思います。

―一番うまくいった種目
  安定していたのは跳馬と平行棒。腰にも負担をかけないように持っている技も少し控えめにしたので、すごく見映えは良くできた。一番楽しかったのはやっぱり鉄棒とゆかなので、やりたい技を入れて結局失敗しちゃったところもあります。納得はできないけど跳馬と平行棒がまとまったかなという感じです。

―今日一番印象に残っている種目は
  鉄棒です。本当は離れ業を持ちたかったんですが結局落ちちゃって。最後の降り技ムーンサルトもちゃんとやることはできたんですけど、着地で腰の力が抜けて。痛いわりに挑戦して自分のやりたいことやったので楽しかったという意味で強く印象に残っています。

―今日の大会の雰囲気は
  最後なので楽しめるようにチームを盛り上げようと応援に力を入れました。自分の腰が痛くてテンションが下がらないように。周りを応援すると自分の士気が高まるので、ちょっと失敗が多かったりしたのでチームの雰囲気も盛り下げないようにして。応援をメインでやることで楽しめるかなと思い雰囲気作りに力を入れました。

―後輩の演技を見ていて思ったこと
  来年公式戦で使いたい技をバンバン入れていたので、ちゃんと試合にかける技の使い方、演技の組み方をよくわかってるなと思って見ていました。公式戦で使えるように今失敗しているので、霜月杯で結構得点が伸び悩んでもあいつらなりに納得できているので、ちゃんとバネに使えているなと思って安心しています。

―久しぶりの団体出場でしたが
  もともと公式戦は今年度4月から実習とか就活で出ていなくて。9月の同立戦から復帰して。団体としては、楽しく挑戦しながらという霜月杯の立ち位置を変えずに上位を目指せるように皆で練習できていたので、2位っていう結果はすごいうれしい。団体でメダルが獲れるとなんかいいですね。個人だと得点が結局自分のものにしかならないので。団体で出ると貢献してるなっていう感じがあるので、僕は結構団体のほうが好きですね。大会に出る意味を感じるので。

―引退試合でしたが、大会に対する思いは
  もともと出場理由が「3人からでも組めるけど、僕が入れば団体で上位に食い込めるんじゃないか」。後輩の方が得点が出るので、気負って得点をたくさん出そうというよりも楽しく盛り上げて、結果は後からついてくるように皆で楽しめればいいなと。失敗してもいいから怪我だけはせずにちゃんとできればいいかなっていう思いが強かったので、悔いは残らず良かったと思います。

―4年間を振り返って
  部員が少なく個人の出場が途中2年間多かったので…。結局体操を続けてきて良かったなという感じが多いですかね。やるか迷ってはいなかったんですけど、立教自体がそんなに体育大学みたいに力を入れているわけではないし。設備も良いか悪いかで言ったら悪い方なので。でもやってみたら他大学の集まりなどで人脈も増えるし。楽しいな、やってて良かったなって。大学でできたからこんなに楽しいし、ちゃんと大学生活充実できたのかな。続けてきて正解だったな。

―4年間やってきて大変だったこと
  部員が少なかったり部の中で練習の方針の差があったり。下級生で強かったり意志の強い子が入ってきたりしたので、練習の内容が変わって、でも初心者もいたり。レベルの差をどう埋め合わせするのか。あと立大は新体操も一緒に練習しているので、両方の部員をまとめるのが難しかったり。他の大学にはないところで大変だったので、体操自体で悩んだっていうことではなく、組織として難しいなというのがありました。

―後輩の皆さんに期待すること
  松長と佐久間は全日本インカレでちゃんと結果を残せるレベルにいけると思うので、体操をこのまま頑張ってほしい。来年度の3人は仲も良いので、とにかく今のままなら体操漬けでやっていけると思うので、全日本で楽しめるんじゃないかな。体操好きだから大丈夫だと思います。

―最後に一言
  せっかく引退試合だから本当はもっと失敗のない演技を見せたかった。ですが、なんだか楽しそうだなって思ってもらえれば良かったんじゃないかな。見てても楽しいと思ってくれる体操が一応僕の目標なので。それができていれば光栄です。それだけでも満足なので。

松長大祐(コ3)
―今日の感想を
  目標は達成できました。とりあえずやりたかった技ができたし、試合の空気でその技をする経験がほしかった。始めて使うのがインカレ予選だと心配じゃないですか。今心配してもいいから、試合のあの空気でやりたかった。

―どの種目ですか?
  平行棒。挑戦したけど変なところで失敗した。でも、予定していた「ベーレ(懸垂前振り後方抱え込み2回宙返り腕支持)」っていう技は一応成功しました。詰めが甘かったのは仕方ないけれど、一応実施できたのはまぁいいかなと。自分が実施したのは歴代で初めてじゃないかというレベルで、インカレとか全日本に出るような人たちがやる技でした。皆にも「松長があれやるらしいよ」って試合前から噂されていました。

―平行棒の演技ではギャラリーから「おおっ」という声が上がっていましたね。
  その感覚はありました(笑)

―今回の種目で一番満足がいったのは
  やっぱり平行棒です。失敗したけど、一番経験になりました。団体2位と個人の2位はおまけみたいなもので。足をケガしているのもあって、平行棒以外結構難度落としたから。ゆか、跳馬もあんまり攻めてなかったけど、そのゆかで一番になってしまったという感じ。だから、「松長はもう出るなよ」って言われますが、ゆかのレベルが高いだけでそんなにあん馬とか鉄棒とかは…。でも来年1年生が入って来たら、団体優勝狙えるんじゃないかな。今日は、本来は海老とかが主役のはずの大会だから。俺がそんなに目立っても。

―佐久間君の5位に関しては?
  あいつは当然です。もっと上に行くはず。来年あたりあいつが優勝してもおかしくないんじゃないかな。俺が衰えていなければ(笑) 今後は大学院を志望していて、体操を続けようかなと。大学としては出られないけど、(非公式戦の)霜月杯なら出られるかもしれない。それだったら来年も含めたら3年間戦力になれると思います。

―今日の雰囲気は
  多少ふざけてるようには見えたかな。でも俺は普段あんな感じ。あんまり緊張してじっとしているのは苦手で、観客の方から手を振られたらちゃんと振り返してあげる、みたいな。

―一番悪かったのは
  平行棒をやって、あとはこなせばいいと思ってしまった。実際の試合ではやらないけど、自分の中でこれやったしいいかなと。結構ケガしそうな技だから、とりあえず生還できたことに安心したので。一人だけ腕に(器具を)はめてたけど、ベーレは本来腕が平行棒にガンってぶつかってあざだらけになる技で、練習とかはもう血だらけになってました。

―次の大会は
  東日本グループ。新入生が入っているかわからないけど、皆個人目標でいいんじゃないかな。個人の頑張りが団体に影響するだけだから。別にチームのことは考えなくてよくて、自分さえうまくなればそれがチームのためになるのだと思います。

―来年の目標を
  とりあえず、うまい人の仲間に入りたいです。まだそんなにインカレで目立てるような選手ではないので、少しでも「立教に強い選手がいるな」って言われるようになれればいいなと。入賞のレベルはグループ予選までには難しいと思います。だから団体が組みたい。

―以前も「個人じゃなくて団体で目立ちたい」と仰っていたが?
  OBさん方もたぶんそう思っていると思います。団体で強いっていう印象を与えたほうが、それを見ている下の子も立大に入りたいと思ってくれるだろうし。部員がちゃんといるというアピールにもなるので。

佐久間湧雅(コ1)
―今日を終えて率直な感想をお願いします。
  新人戦からあまり時間がなく、技もあまり入れられたりしていないのですが、新人戦でも今回もあん馬が通ったので、万々歳です。

―団体2位という結果はどうですか?
  団体組んだのは立教で初めてでした。1位にはなれなかったんですけど、ほかの大学と団体で戦ったことがなかったので、団体としてはすごくいい雰囲気でできたのかな。

―個人5位という結果については
  ミスが多かったので満足はしていないです。順位は気にしていないので。自分の内容がよければいいと思っています。つり輪とあん馬が良かったのでいいです。でもゆかと、まだまだあん馬には課題は多いです。ただ、今回はあん馬は万々歳です。

―各種目ごとにふりかえってどうですか?
  最初の跳馬はアカピアンという技なんですが、インカレで失敗していて不安もありました。でも新人戦の時も成功したし、大丈夫だなと思っていったら少しラインオーバーがあったので、審判長が言っていたように綺麗さを求めて着地まで意識していきたいなと思います。平行棒はみんな見ててすごく緊張していました。いつも失敗しないところで失敗してしまったので、メンタル弱いなと。平行棒は技をいっぱい入れられるのでインカレまでに入れていきたいなと思っています。
  今日使った鉄棒は普段の鉄棒と違って柔らかいんです。自分たちが練習で使っているのは固くてしなり度合いや感覚が全然違いました。降りがいつもより全然できなかったので、試合はやばいと思っていました。けれど試合はきちんと着地できたので良かったです。技はだんだん増やしていきたいです。ゆかは新人戦から構成を変えていました。けれど結局最後三回ひねりは立てないので、立てるような構成にしていきたいなと思います。
  あん馬は万々歳です。最後のつり輪は(ほかの競技がすべて終了していたため)皆見ていて、大トリで緊張もしたんですけど、平行棒で失敗していたのでここはやってやろうという気持ちが大きかった。一つ一つ丁寧にやったら着地まで収められたので良かったです。明治につり輪がとても強い人がいて、その人には卒業までに勝とうと思います。

―団体として出場してみてどうでしたか
  団体は初めてだったのでどんなものなのかと思っていたんですけど、皆緊張感持って、かつ楽しく雰囲気も明るくいけました。インカレだと団体は4人からでちょっと人数がきついので、来年1年生に入ってきてほしいです。団体でインカレに行きたいと思っています。

―来年の目標をお願いします
  5月のグループ大会まで日数がかなりあります。冬の補強が大切だと思っています。

―具体的にどんなことを?
  今回世界選手権で日本が団体優勝したのですが、なぜかわかりますか? 日本選手が美しい体操をするからです。僕も日本人なので美しい体操を目指しているし、美しい演技をしなければならない。今日の男子審判長も仰っていたように、やはり難易度が高い技ができても汚いと点数が出ません。綺麗さを求めて、ジャパニーズクオリティを高めていきたいと思います。団体が組めたら、しっかり立教大学として貢献していきたいです。

海老絢介(済1)
-今日の試合を振り返って(跳馬)
  ツカハラという技を飛んだんですが、ずっと前の試合で成功してから飛んでなくて急にできなくなって。跳馬とゆかが普段練習しているところであんまり練習できないんです。会場でぶっつけ本番でやるみたいな感じで。やってみて調子いいなと思って、アップやらずに本番臨んだら手をついてしまって、もったいなかった。それだけで1点引かれて、不完全燃焼で終わってしまった。

(平行棒)
  平行棒は最近倒立がはまらなくて、本当に嫌で、すごく恥ずかしくて演技するの嫌でした。入りは前よりも難度上げて棒下懸垂っていうB難度にしたんですけど、やっぱり倒立がはまらなくて。

(鉄棒)
  鉄棒は元からあんな感じで。無理やり7つから10点として数えられるんですけど、普通に数えたら僕6つなんです。7つ目どうするかってなったんですけどどうしてもないんです。ちょっと高校だったら技だったかもしれないみたいなフットサークル(鉄棒の上に乗ってサークルする)っていう技を入れてみて。でも要求っていうグループが揃ってなくて、技の難度点とかすごく低くなってしまったんです。もっと普通に練習してればどんどん上がって行けるのかな。

(ゆか)
  普段練習している場所(立教新座高校の体育館)では、ジュニアとかが使っているので本当に練習できなくて。高2からやっていることが変わらなくて、しかも安定度が落ちてる。今日は終末技が後方一回ひねりなんですけど、横から落ちて技として数えられてなくて、2点くらい引かれてて、本当にやっているのが恥ずかしかったです。でも、今度からジュニアがいない月曜日は練習できることになったので、ゆかをすごく強化したいと思います。ゆかって本当は一番点数出るんですよ、なのに一番点数低いので。

-いつも練習あまりできていない影響もありますか
  いつも会場だけの練習でつらいです。ゆかも本当にやるの嫌で、一応ひねれるのに立てないのももう飽きたので。ちゃんと練習したいなって思います。

(あん馬)
  最悪でした。僕基本下手なんですけど、いつも大事にして頑張って毎日練習もしてたんです。でもゆかのショックが響いちゃって。すごい集中はしたんですけど、2回落ちた。1回目は普段練習でも落ちないところで、2回目はまともなところで失敗したんです。3回目嫌だなと思ってその技を飛ばしたんですけど。いつも頑張って点数稼いでるのに今回一番低くなっちゃって。本当に悔しい。帰ったらめちゃくちゃ練習すると思います。

(つり輪)
  今回頑張ったはずなんですけど点数出なくて。グループ要求っていうルールがあって、グループ1つにつき技4つまでなんです。あとで聞いたらなぜか6つ入っていたらしくて。なんかやり損でした。霜月杯ってすごくうまい人はそんなにいないんです。だから頑張って見えなくても似せて色々したんですけど、あんまり点数に反映されてなくて、しかも普段よりちょっと低くなってたんです。

-全種目通してあまり満足はされてないか
  何も満足はなかったですね。

-次に向けての課題は得られたという感じか
  新人戦から3週間くらいありました。1週目は今までの技を安定させるんじゃなくて、色々技増やしたくてたくさん練習してたんです。2週目は風邪ひいちゃって。3日間くらいやって霜月杯に来たって感じです。体が最初重くて、でもそれを言い訳にしてはいけない。やっぱり僕は来年のインカレに本当に出たいので、あまり成長してないから嫌だなって今回思いました。

―次のインカレに出るためには
  まずグループ予選があって。去年の結果を見たら64点くらいで通っている。それなら上げられるんじゃないかなと。まだまだなんですけど。一気に点数伸ばすために、とりあえず要求を揃えたいです。

―来シーズンにむけて
  技を増やしたいです。(体操を始めた)高校の時からやっている技が変わらなくて嫌なので、色々な技に挑戦してとりあえずDスコア(技の難度)を上げたいです。Eスコア(技の美しさ)はそのあと調整していければいいと思うので、とりあえずDスコアを上げたいです。




  好成績を残した彼らだが、同時にそれぞれ課題も残った。霜月杯はあくまでも一つの通過点であり、到達すべき目標は来夏行われるインカレだ。練習環境や部員数など、器械体操部を取り巻く状況が厳しいものであることは否めない。しかし、彼らはそれを言い訳にすることなく努力を続けていくはずだ。最高の舞台で必ずや輝いてくれるだろう彼らに、心からエールを送りたい。

(取材:梶原伊佐子、百瀬早紀、添田美月、島崎まりん/編集:島崎まりん)



Copyright (C) 立教スポーツ編集部, All Rights Reserved.