※この記事は雑誌「立教」2015年夏号に掲載した記事の転載になります




伝統の再復活


  巧みなフライトの技術とスピードを磨き、日々大空を駆け回っている航空部。昨年は全日本学生グライダー選手権で個人4位に輝いた。この偉業を超えるべく、主将・寺田(観4)を中心としたチームがさらなる結束を深める。ライセンスを取得することではなく、大会で"勝つ"ことを目標に。立大航空部の歴史が、ここから再び作り上げられようとしている。

グライダーの魅力
大空を駆け回るチームグライダー・S2(シェーラ・ ツー)
  大学から始める選手がほとんどであるグライダー競技。機体には、一般的な航空機のようなエンジンが付いていない。風を頼りにして上空を飛び回る、とても不思議な乗り物だ。ウインチと呼ばれる機械を使い、機体につながれたロープを高速で巻き上げおよそ45度の角度で離陸する。離陸した機体は上昇気流を頼りにしながら高度を上げて滞空していくのだ。
  では、競技はどのように行われるのか。1周約24`のコースを速く周回できるかを争うのがグライダー競技。どれだけの距離を飛行できたかを表す距離点と、どれだけ速く周回できたかを表す速度点の合計で順位が決められる。機体の種類や天候によって獲得点が異なるような仕組みにもなっている。
  パイロットのフライトに大きな影響を及ぼすのが気象条件だ。そのためフライトの経験や、気流を読む判断力が競技結果に大きく反映され、知識も必要不可欠となる。空を飛ぶという危険性が伴う中で、状況に適した決断が常に試されているのだ。

"強さ"を求めて
  グライダー競技では六大戦や関東学生グライダー選手権といった大会が毎年行われている。しかし「自家用ライセンス」と呼ばれる資格がなければ、これらの大会に出場することはできないのだ。その資格を取得するには単独でフライトをした回数の一定基準を満たし、最終的に技術的な試験と航空法などの知識を問われる口頭試問をクリアしなければならない。早い人でも3年次の春の取得となり、その道のりはとても険しい。
自らのフライトで部を引っ張る主将・寺田
  昨年度は関東大会にライセンス獲得が間に合わず、誰ひとり選手として出場することができなかった立大航空部。しかし、今年度は既に主将・寺田と主務・斉藤(法4)が3年次に取得済みだ。これまでライセンスを取得するために訓練を積んできた彼ら。今年度は、大会での勝負に向けて訓練に取り組んでいく。また下級生は単独でのフライトを順調に行っていて、早い段階でのライセンス取得が見込まれる。「1週間の合宿も1日も休まずに来てくれて、やる気があって有望」と主将・寺田の期待も非常に高い。
  「立教航空部を復活させて盛り上げていきたい」(寺田)。かつて部員が10人もいなかったような時期には、フライトの知識や技術の継承が途切れてしまっていたこともあった。だが現在、部員が増えていく中で寺田は再び伝統を築いていこうと意気込む。「自分が実際に試合に出て引っ張っていきたい」と後輩たちに自らのフライトを見せることでチームの強化に着手している。
  さらなる高いステージを見据えて、訓練に励む立大航空部。栄光を手にする瞬間はもうすぐやってくるはずだ。
(藤井俊)





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