お盆真っただ中で行われた全日本学生弓道選手権。強豪大学が集う中で、立大は団体においてはあと一歩のところで決勝トーナメント進出を逃し、予選敗退。個人戦においては全日本という大舞台で緊張してしまった選手が多く、誰一人として上位進出はできなかった。しかし、主将・佐藤(法4)は「目標を達成できなかったのは一番悔しい」と口にする一方で「部全体としては得るものは大きかった」とこの大会を通して多くの収穫があったと感じ、敗戦を前向きに捉えていた。
  今年の立大弓道部の武器は何か。リーグ戦での"昇格"を目指す彼らの今に迫る。


下級生の成長
   男子の団体戦は1チーム5人の編成で1人4射の計20射を争う。立大は結果こそ12中であったが、大前を務めた中里(コ2)が公式戦初出場で皆中(4射全て的中させること)を叩き出した。
  「全関が終わってから練習試合で高い的中を出すことができ、そこからいろんな人から意見をもらいより高いレベルの技術を習得することができました。」
  立大弓道部は1年生の技術指導を主に3年生が行う。大学から弓道を始めた中里は佐藤ら現4年生に昨年教わった基礎が今の結果に活きていると実感。主将・佐藤も「今まで試合に出ていなかったような選手が非常に成長してきてくれて、それはメンバーを組む側としては非常にうれしい」と部員の成長を感じ、さらに強いチームを目指すことに意気込んでいた。

  一方、女子でも下級生の力がチームに大きな支えとなっている。1チーム3人の編成で1人4射の計12射で競う女子団体戦。全関東では決勝トーナメント進出を果たした女子チームであるが、全日本大会は7中で予選敗退となってしまった。「初立を当てることができなかったのがすごく悔しい」と反省する一方で、「緊張してしまっていつも通りの射ができなかったりするけれど、今回は割といつもと同じような感じで臨めていたので、そこはすごく良い面だった」と女子チームを率いる徳田(現4)は振り返る。
  「今までは4年生主体のチームが多かったけれど、これまで当たりがよかった4年生がちょっと崩れてきた中で2年生が当ててくれたので、チームとしては全関より確実に増した」(徳田)
  今大会で大前を務めた藤田梨(営2)が今回下級生の中で唯一、全日本の大舞台を経験。
「上がってきていた調子をそのまま出すことができた」
と団体戦を振り返る。彼女の力は今後、チームの鍵となっていくはずだ。

全員で当てる、そしてリーグ昇格へ
   主将・佐藤はチームの状況をこう分析する「今年の全関の頃までは一部の選手だけが当たるというチームだったのですが、そこから練習を重ねるにつれて選手層の厚さという全員が当てるようになってきた」
  立大弓道部は大学から始める選手も少なくはない。そのため、どうしても上級生の力に頼りがちなチームになってしまう。しかし、今年は若手の戦力も充実しているのだ。
  昨年から全日本の舞台を経験している杉岡(文2)も
  「前の年とは違って皆で当てて勝つ形になってきたので、チームの底上げができています。その水準をもう少し高くできれば確実に昇格できると思っています。チームの底上げは2年生なりに考えてやっていきたい」とチームの層が厚くなっている実感は上級生から下級生まで浸透している。


  女子チームも    「今回全日のメンバーで遠征に来た人たちは少なくとも本番への強さができていたと思います。今回得た本番でも緊張しないような気持ちを維持していきたいです。」(徳田) 「今年は1年生もうまい子が入ってきて、絶対昇格するという一昨年降格してしまった悔しさをみんな理解していて全体的に士気も高くなっています。同期も含め皆すごい仲良く、真剣にリーグに向けて練習を続けてきているので、このチームで昇格していきたいと思います。」(押阪=社4)
  元々の実力が備わっている女子チームも部員の昇格への意識の強さ、そして全日での収穫を得てリーグ戦で戦う準備はできてきている。


   一昨年、男女共にW部へ降格してしまった弓道部。"今年こそは昇格"と誰もが思い、日々練習を続けてきている。合宿を経て9月から始まる平成28年度東京都学生弓道リーグ戦。昇格の的を目指して戦いに臨む彼らの矢はまっすぐ放たれるはずだ。

(8月24日・インタビュー=岡村章秀、藤井俊/編集=藤井俊)





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