〜「R」のプライドをかけた男たちの挑戦〜

箱根駅伝予選会直前特集A

「実力でチームを牽引する選手たち」
  
近年の立大の箱根駅伝予選会総合成績は2013年が26位、2014年は28位とチームとしての本選出場は遠ざかっている。しかし、個の部分で見ると実力の高い選手が予選会で力を発揮しているのも事実だ。今回はエース格として走りでチームを引っ張る3選手に迫る!


@大西正徳

昨年の予選会では2年生ながら、学内トップでゴールを果たした大西。 「昨年の予選会は思ったよりも走れたなというのが正直なところです。関東学生連合のことなどは何も意識していなくて、走ってみたら意外と(選考に)ぎりぎりのところだったので、もう少し頑張ればよかったかなというところはありました。」 1時間2分57秒の190位と、他の強豪大学の選手とも対等の走りを見せた。そんな彼には今年も期待ができそうだ。2008、2009年に中村嘉孝コーチが走った以来の箱根路もそう遠くはない。 「今年の夏は個人的には去年よりも少しずつ上を目指してやっていくことで結果的に予選会も上にいければと考えてやっていたので、結果的に練習を1つ1つやっていく中で去年よりも良い練習ができていました。これを予選会にどうつなげられるかが大事だと思いますので、残りの過ごし方も考えて調整していきたいと思います」 トラックシーズンから夏にかけて走り込みとスピードを区別して練習を積んできた大西は20`のレースを得意とする選手。出身の宮崎・小林高校の後輩であるの轟木(コ1)が加入したこともあり、先輩としての意地も見せたいところだ。 「日ごろは女々しいのですが、いざ練習が始まったら人が変わったように自分の世界に入っていく」と先輩を尊敬する轟木。そして「自分の目標をちゃんと貫いてちゃんとやれるところはすごい。そういう強さを持った選手」と同期で実力が拮抗する皆川(文3)が称賛するように大西の競技意識は非常に高い。 「指導者がいないので、客観的な視点でどういう練習なのかということを見るのが難しい環境なので、お互いの練習を振り返る中で自分にはわからない部分などあると思います。そういうところをお互いに共有していくことで、自分の弱点や良いところがあると思うので、弱点なら克服するなり、良いところだったらもっと磨くなり、自分の特性というか弱点をしっかり把握して補うことを効率的にやっていけばもっと良くなっていくかなと思います」。 3年生となった今年はチーム全体を見て自らの意見を表明する部分も増えた。そんな彼の今回の目標は「62分を切る。チーム内で1番に帰ってくることが自分の一番の役割だと思うので、チームの目標である立教記録を更新するために、それに貢献できるようにしていきたいと思います。個人としても学連のメンバー入りを目標にしているので、タイムにもしっかりこだわっていきたいと思います」 学生連合を意識しすぎて走るとどうしても早いペースで走ってしまう傾向がある。それを大西は自らできちんと意識したうえで、「周りに惑わされずにイーブンペースで押していけるのが武器」と自らの強さを分析した。  チームの結果にも注目だが、大西個人の走りにも注目が集まる。予選会3度目の走りではチームの筆頭となり、学生連合への選考に絡むことも楽しみにしたいところだ。
A皆川尚人(文3)


大西同様にチームでエース格となっている皆川。チームや部員一人一人に気を遣う性格で、真面目で面倒見が良い選手である。  そんな皆川の昨年の予選会での走りは満足のいくものではなかった。 「去年の予選会は少し目標がちょっと大きくなりすぎてしまいました。レースのペース設定も速すぎてしまって後半で落ちる(15`から足が攣ってしまう)という展開になってしまった」とレースを振り返る。しかし、3年生となりチームを引っ張る立場となったことで意識が変化。それが充実した練習につながっている。 「学年が上がったので、去年よりも「結果」というのにこだわって走っていきたいなと思います。去年の夏の練習は量を稼いでいくだけになってしまいました。今年は練習の中でも何のためにやっていくのかという目的意識を持ちながら走るということもできていたので、また全体的に去年よりも走れていたので、そこは予選会に向けて自信になりました」  実は皆川も箱根駅伝の学生連合を狙っているが、部内の2次選考であった大東大ナイター記録会では10000mで32分44秒56と記録が不調。選抜への目標からは遠ざかる形となったが、「立教記録の更新のために自分は予選会では63分台で走らないといけない」とプライドを高く持ち続ける姿がそこにはあった。 「強くなるためには、指導者がいないから自分で考えて練習をやっていくという習慣を1人1人が身につけていかないといけないのかなと思います。何のための練習で、いつの試合にちゃんと合わせていくのか、そういうのをきちんと考えられるようなチームになっていかないといけないのかなとは思います」 自分のこと、そしてチームのことに現状を踏まえ、正面から向き合う皆川。ここにも上級生、そしてエースとしての自覚があったのだ。 「(皆川さんは)自分自身のコントロールがちゃんとできている」と轟木が評するように、今年はそれをいかに本番で発揮できるかが問われるところだ。 「チームは立教記録を1年間目標にしてやってきたので、そのために自分としては63分30秒を切ることを目標にやっていこうと思います。今年はとにかく去年の反省を生かして20`の中でも後半で走るというのを練習で考えてやってきたので、20`の中でも後半で粘れる持久力が武器になってくれれば良いなと思っています」  夏に得た自信は予選会で発揮するために得た自信。チームの好成績には彼の好走が欠かせない。


B轟木亜門(コ1)
立大にとって今年、貴重な逸材が入ってきた。それが全国高校駅伝常連校である宮崎・小林高出身の轟木だ。春のトラックシーズンでは5000mでは14分47秒84と自己ベストを更新し、箱根駅伝常連校の新入生とも対抗できるような実力を備えている。「1年目ということで、舞台が変わったと大げさに言えばそうなるのですが、結果的に大学に入って早くチームにも慣れて吹っ切れた部分もあってベストが出た前半は良かった」と振り返る轟木。1年生ながらAチームで練習をし、大きな活躍が期待できる選手だ。「小林高校出身の2人はポイント練習を外さない」と共に練習をする皆川も大西とともにルーキーを絶賛している。 そんな轟木は大学生としての初めての夏をこう振り返る。 「2次合宿が10泊11日と長くて高校時代には経験したことがなかったです。トラックからロードへの移行ということで、ロード走やポイント練習を外さないように練習できたのはよかったと思います。夏合宿はジョグだけではなくて動き作りの部分も入れて、股関節の可動域なども広げてとにかく故障しない体づくりをしようと考えていたので、結果的にそれができてよかったかなと思います」  しかし、順調にいっていた夏とは裏腹に、大学における長距離の難しさを感じていた。 「この前の大東大ナイター記録会の10000mを経験してトラックの5000mと10000m、20`は別だと感じました。最大の目標は学連選抜なのですが、今の状況だとそれも到底できないので、まずは来年につながっていくようにうまく先輩たちを利用するというかうまくついていって最低限の走りができれば良いと思います」 予選会で走る20`は大学生でないとなかなか走ることのない距離だ。轟木にとってはチームで上位の走りをすることも求められるが、下級生として経験を積むことも大切になってくる。 「1年生だが先輩とも分け隔てなくコミュニケーションを取って、しっかりと意見が言える」と大西、皆川が評価するようにエースとしての自覚が轟木にはある。 「予選会は20`という未知の距離で、タイムでは63分30秒を目標にしています。レース内容としては前半にガツガツいくのではなくてラスト5`で前の選手が落ちてきたときに、そこで前の選手を越していけるかを自分の課題にしていて、ラスト5`から勝負していきたいと思っています。自分の武器はペースメイクが神懸っているので、考えたペース通りに予選会はいければ良いなと思っています」 1年生らしさを見せながら、エースとしての自覚を持つルーキーの活躍に目が離せない。

次回は「「最後の予選会に臨む4年生」です!


(10月12日 インタビュー・編集=藤井俊)



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