みなさんご存知であろうか?立教大学に水泳部シンクロ部門ができたことを―。
  新座キャンパスに3月に完成したばかりのセントポールズ・アクアティックセンターを訪れると、華麗な音楽にのせ、プールを舞う二人の姿があった。水中で様々なポジションを見せ、自由自在に水を操る。迫力ある動きでありながら、身体の先まで神経を研ぎ澄ませた圧巻の演技に思わず息を呑んだ。
  昨年5月、三橋(社3)と朝倉(コ2)がペアを組み発足。今年8月末に行われたシンクロのインカレ、マーメイドカップにおいて6位と見事な成績を収めた。
  今回は、新設されたばかりのシンクロ部門を特集し、今後が気になる2人に迫ってみた。

ハードな演技前の入念な打ち合わせ
シンクロ部門結成
  シンクロを始めたのは小学校高学年という2人。高校卒業とともにクラブチームを引退し、シンクロ人生を終えたかのように思われた。しかし水の神様は、そう簡単に彼女たちを手放さない。大学入学後、彼女たちはシンクロの世界へと再び戻ってきた。シンクロの大会に関わっていた水泳部の安部監督が、2人がシンクロ経験者だという噂を聞きつけ、声をかけたという。お互いの存在は知っていたものの、立大に進学したことは知らなかったという2人。監督の一言が二人を結びつけた、まさに出会うべくして出会った「奇跡のペア」なのだ。

迫力ある動きで観客を圧倒させる
「お互いの足りないところを補えるペア」
昨年の9月末の大会に向けて、春から始動。始めは、手探りだったという。練習を重ねるごとに息が合い、意見も多く交換するようになった。部員は2人だけのため、振り付けなどシンクロに関わることから、連絡を取るなどの事務作業まで、全てを自分たちで行わなければならない。それぞれの得意分野を生かし、1つ先輩の三橋が部のこと主に事務を行い、朝倉は振付や曲の編集と仕事もうまく分担している。
  また、多くのペアは経験の差からレベルの違いに苦しむという大学シンクロ。その中で、一度シンクロを引退するという同じブランクを抱えた2人は、その壁にぶつかることはなかった。技の勢いや高さが強みの三橋と安定した演技の朝倉というそれぞれ異なった持ち味を持つ2人。この長所の違いがバランスの良い演技を生み、立大ペアの魅力となっている。
繊細ながらダイナミックな足技

成果のでたマーメイドカップ
   今年の8月30日に愛知県で行われた、シンクロの大学選手権・マーメイドカップ。
  この全国大会の舞台にデュエットで出場した。3分間の演技を通して、技の完成度・同調性、表現力、難易度の3項目で競われる。
  「すごい達成感がある。」と満足そうに大会を振り返った。昨年は最後まで仕上がらず、思い通りの結果が得られなかった。あれから1年。お互い演技を見合って、アドバイスをしたり、ビデオを撮って意見を交換したりと、日々研究を積み2人で練習を重ねてきた。ペアの強みであるバランスの良さが協調性を生み、実った結果は74.9333点で全体の6位。昨年から順位を上げ、「1回ブランクを経験しているペアの中ではトップだった」と練習の成果を発揮した。

息の合った演技を披露してくれた2人
マーメイドたちの夢
  シンクロをやっているということをみんなに知ってほしい――。新設されたばかりでシンクロ部門の認知度はまだまだといっても過言ではない。しかし、シンクロ部門の設立、シンクロの授業の開講と大学自体もこの新たな競技に力を入れ始めている。また、彼女たち自身も大会だけでなく、イベントのエキシビションなどにも積極的に参加している。彼女たちの活躍の源はこの一言につまっていた。「シンクロの楽しさを知ってほしい」―。多くの人にシンクロの存在を知ってもらい、見て、体験してもらうこと。そして、魅力を伝えることが彼女たちの大きな夢なのである。
  そして、「チームを組みたい。」彼女たちは目を輝かせながら、次なる目標を語ってくれた。4人から組むことができるというチーム。そのためにもまず、シンクロの楽しさを伝えること、そしてシンクロ部門の後継者ができることを目指している。

  水中の舞、シンクロ。美しさの裏にはハードな練習と日々の努力、そしてそれを続けるための夢という大きな原動力があった。スタートしたばかりのシンクロ部門だからこそ、成長の可能性は無限大。立大マーメイドたちの物語はまだ始まったばかりなのである。


(11月27日・編集=野沢香帆)



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