革命F

春季リーグ戦2016

溝口智成監督


   今シーズン優勝への思いが強いのは選手だけではない。立大野球部のOBとして、チームの指揮官として、闘志を燃やしているのが溝口智成監督(90年度卒)だ。3年目の春、立大野球部が33季ぶり、悲願の優勝を果たすために、監督が選手に期待することとは・・・?


◆溝口智成監督(90年度卒=湘南)◆

―昨シーズンを振り返っていかがでしたか
   苦しかったですね。澤田圭(コ4=大阪桐蔭)がなかなか上手くいかず、1戦目を投げざせないこともありましたし。守備と攻撃の歯車がかみ合わない感じが、序盤・中盤まで続いたので、勝ち点が本当に取れるのだろうかという危機感を持つくらい厳しかったですね。

―去年は3日目まで行って勝ち越せなかった試合が多かったように感じますが
   それは去年だけではなく、私は就任3年目なのですが、3日目まで行って勝ち越したことが本当に少ないですね。優勝争いをした時(2014年秋)も、最初は2戦で勝っていて、1勝1敗になり始めてからは全部負けてしまいました。竸った中といいますか、もうひと踏ん張りというところで、力や気持ちが保ちきれていないと感じています。いいところまでは行く、というのはここ数年ずっと言われてきています。そこから1勝を取るための壁を破らないといけないなと感じています。
―勝ちきるために必要なこととは何でしょうか
   これは特効薬があるわけではないので、本当に日々の練習の積み重ねだと思います。日々の練習をいかに厳しい状態で力を出すために行っているか。プレッシャーのかかる状態で成功したり、いつものパフォーマンスができるための練習ができているか。その積み重ねが継続して出来ているか。それに限ると思います。これがいつも勝っているチームで、2・3年優勝できていないのであれば話は違いますが、立教は長らく優勝から遠ざかっている。その様なチームが優勝するためには何かを踏み越えなければいけないので、何かを踏み越えるためには日々の練習の積み重ね、本当の意識の高さの継続などそういうことからだろうなと思います。

―新チームの印象はいかがですか
   やはり4年生が変わるとガラリと変わりますね。今年はいろいろ「個」を持っている感じがします。良い悪いは別として、「色」を持っている。主将、副将が澤田圭、佐藤拓(コ4=浦和学院)、田村(コ4=報徳学園)で、彼らは三人三様ですしそれぞれ個性も強い。アウトプットも良くします。そういう意味で言うと、彼ら三人の「色」がチームに浸透しますし、でも彼らだけでなくその他の4年もしっかりと自分を持っているので、今年のチームは個人個人が責任を果たすことに対しての意思を持っているように感じます。

―チームのまとまり具合はどうでしょうか
   チームは開幕に向け割りとまとまってきているように感じます。対話も多いですし、ダメなことにはダメと言える雰囲気になってきています。まだまだですが選手間の厳しい話も出るようになってきているので、仲良しクラブではなくなってきていますし、勝利に対して厳しい姿勢にはなってきていますね。

―監督から見た澤田圭祐主将は、どのような主将でしょうか
   いわゆる、世の中にあるキャプテン像とは少し違うなと感じています。常に先頭に立ったり、中心にいるわけではないのですが、野球を見る厳しい目と、自分のプレーと取り組みで選手を引っ張っていくタイプだと思います。

―他の5大学の戦力分析をお願いします
   投手はよくわかるのですが、総入れ替わりしているので、野手が読めないです。投手で言えば早稲田大学のピッチャー陣はまるごと残っているので手強いですね。またどこのチームもエース級と呼ばれる選手が残っているので、1戦目は厳しい戦いになると感じています。一方捕手は東大以外全て変わっているので、どんな感じになるかはうちのチームも含めて分からないですね。野手は立教が一番多く残っていますが、それは一人、二人の話なので…。一昨年から去年になる時よりも読めないというのが今の状況です。

―では、キャンプの話に移りたいと思います。キャンプで課題としていたことは何ですか
   とにかく実践の中でどれだけパフォーマンスを上げられるか、実践で出てくる課題をどれだけ潰せるかということを課題としていました。オープン戦の結果には一喜一憂せず、内容を重視してきたので、宮崎では内容のある良いキャンプができたとは思っています。

―具体的に良かったポイントはどこでしょうか
   打者はしっかり強く振るということができたのと、足を使った攻撃をしていこうと決めていたので、それがだいぶ形として出来たことです。投手陣は澤田圭と田村についてはさらに上の段階を期待していましたが、それに続くピッチャーどれだけ出てくるかということが課題でした。宮崎キャンプでは一年生も含めて数人ローテーションの目処が立ってきたので、それが成果ですかね。

―キャンプを踏まえ新戦力として期待されている選手はいらっしゃいますか
   やはり4年間遊撃手の座を任せていた大城(滉二=現オリックス・バファローズ 15年度卒)が抜けたあとの後任、おそらく熊谷(コ3=仙台育英)なのですが、彼がどこまでやってくれるか。大城と同じプレーヤーになって欲しいとは思いませんが、絶対的な遊撃手・1番が抜けた訳で、そのあとに入る熊谷がどれだけやってくれるかというのは期待を持って見ています。

―多くの選手が、今年のチームは「勢い」に乗ったら強いとおっしゃられていました。その「勢い」に乗るために必要なことはなんだと思われますか
   「勢い」というのは雰囲気だと思うのですね。その雰囲気作りをどうするかだと思います。例えばうまくいかないときにでも、きちんと重要な声が出ることであったり、落ち込まず必要な雰囲気作りがベンチで出来ていることであったり。調子に乗っているときや、点数を沢山取れている時はもともと勢いがあると思うので、竸っているときや上手くいきそうでいかないときに、いかにチーム、ベンチ、個人が高揚した感じでいられるか、良い雰囲気を持っているかということだと思います。

―チームが「革命」を起こすために必要なこととはなんでしょうか
   革命というのは大きな目標が実現した時のような感じがしますが、それを起こすためには毎日毎日の革命の積み重ねだと思います。毎日の革命は何かと言うと、今までの練習方法が正しかったのか見直すことであったり、ダメであった時に変えること。そして、変えた後に日々それに向き合っていくこと、その積み重ねが大きな革命につながると思うので、これをやったら革命できるとかではなく、意識の積み重ねが必要だと思います。

―就任当初から「徹底」ということを重視されていますが、3シーズン目を迎えるにあたってそれが実ってきていると感じますか
   自分では実っているとは思えないです。やはり徹底は難しいですね。どこまでを徹底できたと言うのか、徹底できているなと思ったらそれで終わりになってしまうので、私自身は徹底ができているなとはあまり思ったことがないです。もっと上をと思ってしまいますね。これは監督の仕事をしているうちは終わりがない事だと思います。

―昨年は新人戦で春、秋共に優勝しました。何かプラスに働いているところは感じられますか
   僕自身にプラスしようとは思ってはいないのですが、彼らの中ではやはり新人戦という同じ年齢層の選手の中で連続優勝しているので、それは自信を持っていいことだと思います。立教大学が新人戦2期連続優勝なんてあまり考えられないことなので、それも力があったからこそ出来たことだと思うので、過信しすぎてはいけないですが「同等以上に戦えたから」という思いはもって良いと思いますね。

チームのアピールポイントを『勢い』と挙げられた溝口監督
―最後に今シーズンの意気込みをお願いします
   ファンからの期待も年々上がってきていますし、このように学校が環境を揃えてくれたおかげで人工芝のグラウンドができ、体育会のシンボルとして野球部の活躍が望まれている。近年の戦い方からすれば、本当に惜しい戦いや実力差はなくなってきている戦い方ができてきているのと思うので、今年こそ皆様の期待に応えたいです。そしてその期待に応えるためにはやはり壁があるのですね、それをなんとかもう一越え、乗り越えたい。それを乗り越えるイコール優勝なのですが、一度やはりこの春に一皮むける戦いをして本当に優勝したい、優勝したいですね。



―ありがとうございました!

ついに2016年春季開幕戦を迎える。今年の東京六大学野球はどの大学が優勝してもおかしくない状況だ。立大野球部にももちろん大いに期待がかかる。優勝するためには、選手の力も必要だが周りの応援も欠かせない。今まで足を運んだことのない本学学生は神宮球場へぜひ足を運んでほしい。応援席の勢いが、きっと選手やチームの勢いにもなるはずだ。行け、立教健児!33季ぶり悲願の優勝に向け、我等のゆく手に敵ぞなし――。


このインタビュー特集は今回が最終回となります。ご覧いただいた皆さま、どうもありがとうございました! また、いつも快く取材を受けてくださる野球部の皆さまにも厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。 次回は 革命 「法大戦展望」です。お楽しみに!



(4月1日 取材・入江萌乃/編集・入江萌乃)





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