【2部優勝記念】
Wエースの夢


笑顔の石川


   "悲願"という言葉では表しきれない、約40年ぶりの2部優勝を成し遂げた立大ソフトテニス部。その最大の勝因は、1番手を任された石川(現2)・安藤(済3)ペアが4勝1敗、そして2番手の佐藤(コ2)・土井(文1)ペアが全勝賞を獲得したことに尽きるだろう。後衛の石川と佐藤は2年生ながら立大の絶対的Wエース。千葉監督(昭和48年卒)が試合前に言った「石川と佐藤は全勝するつもりでいけ」という言葉に見事 に応えてみせた。この記事は、そんな同学年エース2人の物語である。


声をあげる佐藤


   「俺と(佐藤)春生で立大を引っ張っていく」(石川)。「自分が勝たないとチームが勝つことは絶対にない」(佐藤)。2人のインタビューでは当たり前のように聞く言葉だ。自分たちの勝敗がそのまま立大の命運を左右する。その重責を十分に自覚している。

   両雄の実力はまさに拮抗。校内戦では必ずと言っていいほどファイナルゲームまでもつれる。先日のミドウ杯で実現した直接対決(準決勝)もファイナルゲームまで戦い、最後はポイント12―10で石川に軍配。まさしく大激闘だった。「すごく良い刺激だよね」(石川)。
トップ打ちを仕掛ける石川。最近はロブも多用し     
戦術の幅が広がっている


   力量はほぼ同じ。だがプレースタイルが好対照だから面白い。「そもそも同じ土俵ですらない」(佐藤)ほど違うのだ。石川は絵に描いたようなハードヒッター。球の速さで石川に勝る者は関東にもそうはいない。良い意味で"あまり考えない"気質で、ときには相手が驚くほどの速球を叩き込む。一方、佐藤は"頭を使う"タイプの後衛。石川のような豪打はないが、相手の数手先の動きを読み、寸分狂わぬ制球力で相手の陣形を崩していく。





佐藤はこの1年で打ち負けることがほぼ無くなった

   そんな2人の興味深い話を佐藤が教えてくれた。 「練習相手に石川という、身近に豪打を打つ奴がいる。彼と毎日乱打をすることで、僕は速い球を打ってくるタイプに対処できるようになってきた。一方で石川からしても、僕みたいに展開を作って(左右に)振り回してくるタイプには相当強くなってきている。それでお互いが強くなっているんです」。
  好対照な両エースは、何気ない日々の乱打を通して、お互いがお互いを強くしているのだ。

   そういえば昨年3月、入学前の春合宿。後の両エースは密かにこう約束した。「俺ら2人で立大を1部に上げるぞ」。1部の最高峰でプレーがしたい。その夢が、目の前まで迫っている。そしてその夢は、もう2人だけのものではない。選手、コーチ、監督、OB。立大ソフトテニス部に関わってきた全ての人々の夢を、2人は背負っているのだ。


(5月13日/取材・編集=栗原一徳)


【取材後記】
   思い起こされるのは、私がまだ新米記者だった昨年の春季リーグ戦。それは、同じく当時1年生だった石川選手、佐藤選手のデビュー戦でもありました。そんな2人も今やチームの大黒柱。同学年として、やはり感慨深いです。いつも取材に快く応じてくれる2人に少しでも礼を尽くせたら――その想いで、微力ながら筆を執らせていただきました。


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