「戮力同心」

春季リーグ戦直前

野球部智徳寮インタビューA


田中誠也投手、手塚周投手


    昨季、投手陣の柱として澤田圭(2017年度卒=現オリックス)、田村(2017年度卒=現埼玉西武)、藤田(営4=県岐阜商)ら上級生が大車輪の活躍を見せる一方、2人の期待の星がデビューした。1年生ながらに神宮の舞台を経験した両腕、田中誠(コ2=大阪桐蔭)、手塚(コ2=福島)。もちろん、今春からは投手陣の大黒柱としての活躍も期待されることとなる。勝負の2年目へ、その胸の内を明かしてもらった――。

◆田中誠也(コ2=大阪桐蔭)◆

――昨シーズン振り返っていただけますか
   1年間を通してリーグ戦のメンバー入りに向けてやってきて、春からメンバーに入ることができたのですが、春はピッチャー陣もすごく豊富だったので登板機会もすごく少なく、チャンスをもらえたら思いっきり投げたい、という気持ちでやっていました。結果としてはあまり投げることはなく、悔しいというかチームのレベルを実感して。そこから少しでも多く投げたいなという気持ちで秋のリーグ戦まで練習しましたね。自分の中でも春のリーグ戦後のピッチングにはすごく手ごたえがある感じだったので、秋は春より投げさせてもらえることが多かったシーズンでしたし、良い経験が1年目からできたなと思えるシーズンになりました。(――優勝争いの中だったと思いますが)そうですね。ベンチで見ることもブルペンで作っていることも多かったので、いい緊張感をもって経験することができました。

――1年生で最速のデビューとなりましたが、デビュー戦のことを覚えていますか
   覚えていますね。法政戦で2アウトから投げたと思うのですけど、相手も自分の高校の先輩の水谷さん(法大3年=大阪桐蔭)というバッターだったのでさすがに少し緊張しました。初めての時は相当緊張したというかすごくドキドキした状態だったのですが、せっかく投げられるので思い切り投げようというか。結局投げているときはいつもビハインドが多かったので、逆に開き直って投げられたのは覚えています。

――1年目で得た収穫、課題はありますか
   収穫といえば、リーグ戦の雰囲気を1年生の最初の時期から味わえたこと、大事な優勝決定戦まで一緒に戦えたという経験ですね。逆に課題としては、投げる場面がないというのが一番の課題で、球速もそんなに速くないので、自分はリリーフの場面で回ってくることが多かったのですけれど、140`を超えるピッチャーが3人ほどいた中で自分がその後投げるというのが、130`中盤くらいの自分はやっぱり球も遅く見えると思うので、どれだけ球を速く見せられるようにするかというか、球速が一気に5`上がることはそう簡単にはないので、どう速く見せられるかを考えた結果、コントロールをしっかりすることと、緩急をしっかりつけることを課題というか良い題材として練習に向かうことができたと思います。
デビュー戦を振り返る田中誠


――同じ高校、大学と共通点の多い澤田元主将がプロの舞台へ羽ばたきましたが
   同じ部屋で生活させてもらったりしていたので、いろいろと私生活から学ぶことはありましたね。(――具体的には)自主練をすごくする先輩だったので、自分はそれに比べたらオフはオフで割り切りたいタイプなので、こういう人は成功するんだなという感じで見させてもらっていました。やるときはやるというか、適当にやるのではなくて、やるときはしっかりやろうという気持ちになりました。(――今でも連絡は取っていますか)邪魔になるかと思ってしまって取ってはいないです。1年生と4年生で3つ歳も離れているので、連絡とるのも緊張しますね(笑)

――新チームの印象はいかがですか
   去年は個々の能力も高くて、一発攻勢だとかピッチャーが完璧に抑えて勝つとか、そういうゲーム展開があったと思うのですが、今はピッチャーがどうにか最少失点に抑えるだとか、守備と一緒に抑えたりするだとか、野手も打撃のワンチャンスをものにできるように練習したりという、やはりチームの方針である戮力同心という言葉の通りに戦っていくチームだと思います。

――新チームの中で投げたい位置にこだわりはありますか
   先発したいですね。(――溝口監督から何か言われていたりしますか)昨年の4年生が引退してからは、先発候補に挙がっているからしっかり考えてくれとか、先発を投げられるピッチャーになってくれとかは言われています。

――長いイニングの登板は得意な方ですか
   そうですね。中学高校とずっと先発でやってきているので、それなりにこだわりというか、先発したいという気持ちはチームの中で負けないと思います。(――HPでは目標に完投を挙げていますが)やっぱりかっこいいというか憧れというか、途中でマウンドをチームとして譲らなければならない場面もあるとは思いますけど、自分がいけるところまでとことん投げていきたいというか、そういう気持ちは強いです。

――先発を争う上で、投手陣内にライバル心はありますか
   自分の中にライバル心というのはあまりないのですが、チームの中で先発を競わなくてはいけないので、手塚(コ2=福島)とかは早い段階でAに上がってきて、一番刺激を受けた投手の中の一人です。去年の秋も手塚がリーグ戦入って、自分と2人で1年生のピッチャーとして入っていたのですが、自分とタイプは違って冷静さというか落ち着きがすごくあったと思うので、見習いたいという部分と、こういう風に投げれば自分もそれなりにやっていけるかなと思って、いい刺激を与えてくれるチームメイトだと思っています。

――仲の良い投手は手塚投手か
   手塚です。普段の練習でよく一緒にキャッチボールしていますね。(――指摘しあったりはしますか)手塚は賢いというか地頭がよくて自分はアホなので(笑)。困ったりしたときは、よくピッチングとかも見てくれているので、「どう?」って聞いたりしていますね。キャッチボールを一緒にしていても、変化球の確認をする時に「どうなってる?」とかしっかりコミュニケーションも取れる相手でもあって、一番聞くのが手塚なので、よく助けてもらっていました。

――宮崎キャンプで重点的に強化した点はありますか
   キャンプは普段とは全く違う環境でやるわけですし、練習時間も全然違うわけなので、当たり前のことを当たり前にするというのを大事なテーマとしてやっていました。フィールディングだとか、打たれてしまうというよりは、打たせて取ったときにどれだけしっかりとできるかということで、ノックであったり、フィールディングの練習を結構詰めてやりました。投内連携というかサインプレーの確認をしっかり取り組んだという感じです。

――悲願の優勝に向けて
   プレッシャーというよりは自分の中ではこれはチャンスというか、上で野球をやるにはこういうところで結果を出さないと、プロであったり社会人であったりで評価されないと思うので、ここがチャンスだと思って闘志むき出しというか、根性で投げたいと思っています。なのでプレッシャーというよりも「やってやるぞ」という気の方が今は強いです。
自身の「根性」を見てほしいと宣言した田中誠


――最後に今季の具体的な目標、そして応援してくださるファンの皆様に一言お願いします
   完投したいということと、何点取られようと勝てれば良いので、チームにしっかりと勝ちを与えられるような先発の役割を果たせるようにしたいです。優勝するという気持ちでやっているので、弱音とかは考えていないです。今年のチームも粘り強く戦うと思うので、そして自分も精一杯投げてチームの勝利に貢献できるように頑張るので、応援よろしくお願いします!

――どうもありがとうございました!

◆田中誠也(たなか・せいや)1997年10月27日大阪府生まれ。コミュニティ福祉学部2年。左投左打/投手/大阪桐蔭/171a65`


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◆手塚周(コ2=福島)◆

――昨シーズンはどんなシーズンでしたか
   ずっと憧れていた舞台に1年生から立てたので、個人的には夢見心地な部分がありました。4年生が支えてくれたので、すごくのびのびしながらできましたし。すごく良いリーグ戦ではあったのですが、勝ちきれなかったので悔しい思いもありました。自分は最後の明大戦で、澤田圭さん(2017年度卒=現オリックス)田村さん(2017年度卒=現埼玉西武)と来て、その後に自分というチームの期待を背負った中で投げさせてもらえたのですが、結果を残せなかったのでほろ苦いデビューでもあったかなと思います。

――初登板の感想は
   投げている感じがしないというか、自分を俯瞰して見ているような感じで。他人の試合を見ているような感じでしたね。(――緊張はしましたか)いや、緊張はあまりするタイプでは無いのですが、本当にいつも以上に自分を離れたところから見ていると言うか。バッターも有名な人ばかりですし、「すごいなあ、(自分が対戦して)いいのかなあ」みたいに思いながら投げていました。

――同期では最速で公式戦初勝利を挙げました
   あの試合はずごくミラクルがいっぱいで。それこそ自分で良いのかなみたいな感じで。試合終わってから澤田さんからボールをいただいたのですが、春からずっと頑張ってくれていた(田中)誠也(コ2=大阪桐蔭)に申し訳ないなと思いましたね。自分がぱっと出て、そのまま初勝利を獲ってしまったので。この春は前が誠也になると思うので、自分がしっかり投げて勝ちをつけてあげたいなと思います。

――卒業された先輩から学んだことはありますか
   存在がとても大きかったですね、本当に身近にいてくれたので。それぞれの個性は澤田さんにも田村さんにもあるのですが、お二人とも私生活からすごく管理をなさる方々で、野球以外もすごく勉強になりましたし、技術も聞けば教えてくださったので、もっと聞けば良かったなとは思うんですけど(笑)それでもいてくれただけですごく勉強になりました。

先輩方から学んだことを話す手塚
――自身にとって、プロ入りした2人の投手はどのような存在ですか
   田村さんはいつもすごく温和な方なのですが、グラウンドに入ると武士という感じで(笑)。命がけでやるという感じで、味方でも怖いくらいの気迫というか、そういうタイプです。澤田さんはどちらかというと冷静にと言うか、支配者というか、そういったオーラのある方で。戦う上での抜き方を知っていて、ゲームの作り方を知っていると言うか。すごく経験のある方なのでそういうことができるんだなって思いましたね。自分が言えるようなレベルでは無いので、すごいなあって思ってました。(――他にすごいなと思った選手は)正直どの選手もすごいので、毎試合毎試合戦っている中でも勉強しています。

――チーム内にライバルはいますか
   A軍にはいなくても良い選手はたくさんいますし、実戦で出ているのは自分とか誠也とかですが、本当に皆に刺激もらったりと言うのがあるので。試合になれば誠也との助け合いというか刺激のしあいが多くはなっているのですが・・・でもあえて挙げるならば誠也ですかね 。

「ただ優勝へ」。何よりも今季の結果を見てほしいと宣言した手塚
――自分はどのような投手であると考えていますか
   このボールが良いというボールが無いので、いかにバッターを観察してチームの皆で打ち取っていくかという投球をすると思っています。そこに入っていかないことには戦っていけないので、バッターの観察を怠らずにしっかりキャッチャーの要望どおりのボールが投げられるようにということをすごく意識しています。

――他大学に対戦したい選手はいますか
   バッターでは無いのですが、法政の菅野(法大3年=小高工)は中学時代同じチームでやっていたので、やはり良いピッチャーですし、また一冬超えて成長しているのだろうなというのはすごく興味があります。連絡を取ったりは、ちょくちょくしますね。リーグ戦期間中は結構あります。(――お互いの近況を)そうですね。結構隠していることも多いと思うのですが(笑)でも声かければ応えてくれる仲間ですね。

――今シーズンの目標はありますか
   とにかく優勝したいです。秋は皆、4年生も死にものぐるいで来ると思うのですが、春は意外と抜けている選手も多いと思うので、しっかり立教は優勝。全員がスタンドも一体となって優勝に向かえるように、まずは自分たちが先頭に立って頑張りたいなと思います。

――最後に応援してくださるファンの皆さんに一言お願いします
   ファンいないと思うんですけど(笑)でも、とにかくずっと応援してくださる方々は優勝を待っていると思うので、なんとか自分たちがその思いに応えたいなという気持ちは強いので頑張ります!

――どうもありがとうございました!

◆手塚周(てづか・しゅう)1996年5月28日福島県生まれ。コミュニティ福祉学部2年。右投左打/投手/福島/180a75`


第3回は、松崎健造選手(文3=横浜)、小野大成選手(文2=横浜)です。お楽しみに!



(3月24日 取材・入江萌乃、久保田美桜/編集・川村健裕)