戮力同心D

春季リーグ戦2017

―明大戦展望―


    昨年、春、秋ともに優勝を阻まれた相手が明大である。今季は、4カードを終え首位に立つ立大。立大にとっての最終週で、因縁の明大を倒し、最高の形で優勝を決めたいものだ。「紫合戦」といえば、両軍ともに満員のスタンドの下で、白熱したプレーが連発されるのが例年である。今春は、どのような名勝負が繰り広げられるのか――。自分の目で確かめる必要がある。この記事で見所を確認し、是非今週末は神宮球場に応援に来て欲しい。

明大の「11」を背負う齋藤。彼をいかに
攻略するかが、勝ち点獲得に向けカギとなる

   昨季は柳(現中日ドラゴンズ)、星(現ヤクルトスワローズ)ら、多くの4年生が主力となって春秋2連覇を成し遂げた明大。その4年生の穴を今季はいかにして埋めるかに注目が集まっていた。2枚看板の抜けた投手陣を引っ張るのは齋藤(4年=桐蔭学園)である。今季はここまでリーグ3位の防御率2.40を記録するなど、明大のエース番号である「11」を背負うにふさわしい投手としての信頼を勝ち取った。他にも、U−18日本代表経験者である森下暢(2年=大分商)など投手陣は層が厚く、プロの門をたたいた偉大な先輩の穴を下級生がカバーしているという状況だ。



   一方の立大。ご存じの通り、こちらもプロ野球に3人の選手が旅立ち、中でも投手陣は絶対的な柱が抜けた。そんな今季、成長が著しいのは下級生の活躍である。特に注目したいのは1年生。このカードを迎えるまでに3人の1年生が神宮デビューを果たした。サブマリン中川(コ1=桐光学園)、琉球トルネード比屋根(営1=興南)、そして最速147`誇る中ア(観1=立教新座)。タイプの異なる1年生が、果たして優勝をかけたカードでどのように起用されるか。「中川は大事な場面をよく投げてくれている。比屋根と中アは、あまり無理はさせたくないですが、貴重な戦力です」と監督に言わしめた彼らの、ブルペンでの準備から注目するのも面白いかもしれない。

今春は1番打者として定着し、
存在感を出し続けた寺山

   では、投手が抑えれば優勝ができるのか。それは、違う。「戮力同心」のもと、全員で得点して全員で守る。今年の立大野球は、そうして勝ち点を1つずつ積み上げてきた。先にも述べたように、齋藤、森下暢の2枚看板の先発が予想される今カード。左右の好投手をいかに打ち崩すか、最終カードの今週はぜひ、寺山(社3=神戸国際大附)に注目してもらいたい。

   彼は今季全試合に1番打者として出場した、立大の新しい斬り込み隊長である。そのプレースタイルは、俊足を生かした走塁(盗塁数リーグ2位)に加え、ミートセンスの良さから次々とボールをヒットゾーンに運ぶ(打率リーグ3位の.373)俊足巧打タイプである。中でも突出しているのは初回の出塁率で、全11試合の初回の先頭打者を務めているわけであるが、5度の出塁で3得点を記録している。1番打者が初回に出塁し、得点する。これほどにチームの流れを呼び込める理想的な攻撃の展開はないだろう。最終カードとなる明大戦。果たして、寺山は初回に出塁できるのか。出塁した際には、全力の応援で彼をホームまで返してあげるべきである。


     早大から勝ち点を獲得したため、明大に2連勝(2勝1敗での勝ち点獲得であれば、翌週の早慶戦に優勝決定は持ち越し)することが最速の優勝条件となる立大。早ければ、日曜日の明大2回戦で、今世紀初の優勝が決まるというわけだ。「惜しかったで終わるのは、昨年までの話」(溝口監督)。今季こそ。いや、今季、タテジマの歴史に新た1ページが刻まれる。歴史の証人になるには、神宮球場に足を運ぶしかない。選手も、ファンも、戮力同心で優勝を掴む瞬間が訪れるまで、あと4日だ。



◆さあ、神宮へ行こう!◆
5/20(土) 対明大 10:30〜
5/21(日) 対明大 13:00〜 (開始予定)

(5月17日・川村健裕)





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