戮力同心E

第66回全日本大学野球選手権

戮力同心で、いざ日本一へ


   5日、東京ドーム、神宮球場で第66回全日本大学野球選手権が始まる。日本一を決める戦いには、全国の大学野球26連盟の春季リーグを制した27校(九州地区大学野球連盟は南部と北部から2校)が出場する。六大学を1999年秋以来18年ぶりに制した立大。春の優勝は1966年以来であり、今大会は51年ぶりの出場だ。前回出場時は初戦敗退だが、遡ると1953年に初出場で優勝。1957年には長嶋茂雄氏(1957年度卒)らを擁し制覇すると1958年も優勝し、連覇している。2017年、再び名を刻むことはできるのか―。

チームメートに胴上げされる
主将・熊谷




   あと一歩のところで六大学優勝を逃した昨年。澤田圭(現オリックスバッファローズ)、田村(現埼玉西武)、田中和(現東北楽天)、佐藤竜(現Honda)など、タレント揃いのチームだった。彼らが一気に抜け、今季リーグ戦前には監督がこう漏らしていた。「下馬評は高くない」。エースは?外野は?誰がチームを引っ張るのか―。そんな危機感が、選手たちを突き動かした。練習からチーム全員のミーティングを徹底。OP戦でも、攻撃前には円陣を毎回行った。心を一つに、力を一つに。意識は徐々に浸透し、結果にも表れていった。

全国の舞台での奮投が期待される
エース・田中誠

   貫き続けた信念で、栄冠を掴んだ。リーグ戦は法大から始まった。1回戦、9回二死から山根(営4=浦和学院)が起死回生のソロを叩き込み、引き分けに持ち込む。すると2、3回戦と右腕手塚(コ2=福島)、左腕田中誠(コ2=大阪桐蔭)が連続で完投勝利し、最初の勝ち点をもぎ取った。Wエースが誕生したカードだった。続く慶大戦は4回戦までもつれる大接戦の末、最後は競り負けた。それでも、彼らは一戦一戦、目の前の敵に集中した。底力を見せつけたのは、そこからだった。東大戦は、2回戦に4番笠松(コ4=大阪桐蔭)が2打席連続弾を放つなど、2戦合計29得点で蹴散らした。早大戦では初戦を落とし迎えた2回戦、9回に代打大東(社4=長良)のサヨナラ打で勝利。3回戦は田中誠、手塚のリレーで勝ち切り、勝ち点3とした。そして、明大戦。これまで、目の前に立ちはだかってきた相手だ。1回戦、まさかの完封負け。苦い記憶がよみがえる。だが、今年の立大は違った。2回戦は山根が2発放り込むなどし、圧倒。そして3回戦、勝てば優勝へ大きく近づく一戦だ。9回、土壇場で同点に追いつかれ、さらに11回には逆転を許す。その裏の攻撃、先頭の代打井上(コ3=履正社)が安打で出塁すると、熊谷(コ4=仙台育英)、飯迫(社3=神戸国際大附)も続き一死満塁。これ以上ない好機を演出する。この場面で4番笠松のフルスイングした打球が左中間で弾み、ナインは狂喜乱舞。劇的な逆転サヨナラ打で最終戦に勝利した。勝ち点4で終え、優勝の行方は1週間後の早慶戦に委ねられることに。早慶戦1戦目、2本の満塁弾などで慶大が勝利する。2回戦、慶大が勝てば優勝、負ければ立大が優勝の大一番。中盤までは互いに譲らない接戦となるが、7回に早大が一挙5得点し、勝負あり。観衆3万人の神宮球場で、早大が勝利した。その瞬間、立大は1999年秋以来、35季ぶり13回目の優勝を決めた。主力、控え関係なく皆が束となり、今世紀初の偉業を成し遂げた。

   今大会、立大は2回戦からの登場。初戦は7日、富士大(北東北大学野球連盟)と戦う。3回戦以降は8日、10日、そして決勝が11日と、最大5日で4試合の過密日程となる。だが、今季東大戦以外のカードすべてで3試合以上を戦ってきた彼らにとっては、そう難しくはないはずだ。 リーグ最多勝のWエース田中誠、手塚の両腕が命運を握る。加え、1年生ながら10試合登板のサブマリン中川がブルペンで待機。監督も、投手陣は「田中、手塚、中川の3人で行きます」と絶大な信頼を寄せる。左から、右から、下から猛者を迎え撃つ。 一方、打撃陣はリーグ1位のチーム打率.292を残し、打撃10傑に4人が名を並べた強力打線が再び火を噴くか。共に20安打越えのテラサコこと寺山(社3=神戸国際大附)、飯迫やベストナインに輝いた笠松、山根など、硬軟自在のしぶとい打線で投手を援護したい。


     相手は1試合をすでに戦っているだけに、流れに乗っているだろう。対して、立大は明大3回戦からは2週間も間が空く。また、初対戦の相手は、入りから気を引き締めねば一気にやられてしまう。そこで、鍵を握るのが、田中誠、笠松、峯本(コ3=大阪桐蔭)、山根、高田(コ4=浦和学院)ら甲子園優勝の味を知る男たち。大舞台を幾度も経験し、力を発揮してきた彼らに期待大だ。

   V戦士たちは、明大戦後から全日本を見据え練習を続けてきた。監督は「こんな、日本一を目指す機会はめったにないから、本当に日本一を、本気で目指そうぜ」と闘魂注入。4日の記者会見では、「リーグ戦通り、全員がキーマン」と話し、チーム一体で挑む覚悟を示した。主将も、「六大学の代表として責任をもって戦いたい。自分たちの野球をやれば勝てる。なんとしてでも優勝したい」と気合十分で臨む。半世紀ぶりに掴んだ、日本一への挑戦権。全日本でも、戮力同心で、テッペンとろうぜ。


◆さあ、東京ドームへ行こう!◆
6/7(水) 対富士大 11:30〜 (開始予定)

(6月6日 浅野光青)





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