六大学戦総括
〜求められる絶対的エース〜


   上島HC(09年卒)就任による改革初年度となった昨年の立大男子ラクロス部。1部昇格は逃したものの、「接点」をコンセプトとした攻撃的ラクロスを存分に見せつけてくれた。悔しさを胸に臨んだ今春の六大学交流戦では、スローガン「BITE」を体現するが如く1部格上校に肉薄。例年ダブルスコアをつけられる相手と互角に渡り合う姿には、昇格への大きな希望を抱かせられた。だが、勝てない――。接戦の末、あと一歩のところで負けてしまう。「4、5人のエースが必要」(上島)。指揮官は局面を打開できる“突出した存在”を熱望した。本特集では攻撃陣においてその候補となりそうな選手を紹介していこう。

六大学交流戦スコア ※()内は昨年度のスコア

スコアを見れば昨年度からの成長は一目瞭然だ。学生王者・慶大をはじめ1部上位校と互角の戦いを演じた。 明大 5−6● (9−7〇)
早大 8−10● (2―14●)
東大 7−9● (2−14●)
法大 10−6〇 (3−13●)
慶大 9−12● (6−13●)


#3 伊藤光祐(理3)
5戦15得点!!SAINTS誇る理系ラクロッサー

   伊藤は六大学戦全試合で得点を重ね、5戦15得点。チームトップの数字をたたき出した。チームきっての点取り屋、その最大の強みはオフボール時の動きだ。「周りの選手が引き付けてくれてるから」と本人は謙遜するが、絶妙にマークを剥がし、フリーの状態でショットへとつなげる。  
   「守備型の内野手だった」。高いショット成功率は高校野球部時代の経験あってこそ。正確にボールをキャッチし、スローイングするように鋭くショットを放つ。
   特にツボにはまった時の得点力は圧巻。早大戦では4得点を記録し、会場をどよめかせた。
   「去年は上級生がいたので甘えがあった。今年は3年生である自分がやらなきゃいけないと、メラメラ燃えています」。勝負の1年。攻撃陣の柱になってみせる。



#1 山本匠(コ4) 
圧巻のスピードでごぼう抜き!!ラストイヤーに懸ける背番号「1」

   下級生時代からチームの核を担ってきた山本(コ4)が、ラストイヤーを迎える。就職活動が続く中でも、高いパフォーマンスを維持している。  
   高い敏捷性と、卓越したゴールセンスを併せ持つ。自陣から敵陣へ、相手選手をごぼう抜きし駆け上がる。そしてゴール前では、誰もが驚くような所に決める。早大戦では第4Qにゴール前に飛び込みつつショットを放つ泥臭さを見せた。得点パターンが最も多彩な選手だ。
   “局面を打開する”という面においては山本が最もエースと呼べるのかもしれない。



#9 桑原優多(社3) 
芽生えるは中心選手の自覚、殻を突き破れるか

   敵陣への切り込み、瞬時の正確なパス。高い技術と判断力を持つ桑原は、まさに司令塔である。チームの中でも突き抜けた存在だ。  
   六大学戦では攻撃だけではなく守備面でも献身的に走る姿が見受けられた。「俺がすべてに圧倒的にならなければいけないし、なりたい」。芽生えるは中心選手としての自覚と、矜持だ。
   一方で、六大学戦ではショット精度に課題が見られた。これからは味方を生かすだけでなく、自らの得点を増やすことが求められるだろう。1部昇格のためにも、殻をもう一つ突き破りたい。


   3選手のほかにも、強烈なスタンシューが光る村井(観4)、攻守にいぶし銀の活躍を見せる鈴木(コ4)、中村(社4)主将が「接点の権化」と称する弓田(社3)らもチームを牽引している。また、法大戦で2得点と勝利に貢献した町田(法3)も面白い存在となりそうだ。

   「六大学戦での反省を生かし、盤石の態勢で秋季リーグ戦に臨みたい」と上島HC。これからは全体練習に加え、各自の個性を伸ばす練習を増やしていくとのことだ。秋季リーグまであと3ヶ月余り。日々気温が上昇していく中、虎視眈々と牙を研ぎ続けていく。果たして、SAINTSを栄光へと導くエースは誰なのか――。悲願の昇格へ。男たちの、修練の夏が始まる。

(編集/5月11日 大宮慎次朗)