去る者あれば、来るものあり。新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。「立教スポーツ」編集部では、日々努力を続ける体育会アスリートの皆さんを取材させていただき、年5回発行の「立教スポーツ」にて、その活躍を取り上げさせていただいています。
   今回は、そんな体育会の取り組みを皆さんに少しでもお伝えするため、「もう一つの216号」と題した本特集にて、普段は見ることができない体育会員の一面をお届けいたします。この文章を読んで、大学4年間を捧げるスポーツと出会えていただけたら嬉しいです。
   ※本特集で取り上げる部活動は、4月1日発行の「立教スポーツ」216号で活躍が取り上げられた部活動の特集が組まれております。キャンパスのいたるところで配られる紙面も是非手に取ってください!




   2017年2月。立大新座キャンパスの体育館ではいつものようにハンド部が走り回っていた。だが、もうここに4年生の姿はない。新チームが発足してから3か月あまり。立大ハンドボール部の現在を取材した。

新体制


   新チームの主将は、昆(コ4)。インカレ直後、4年生からの指名で大役を任された。「やりたい気持ちがあった」と就任以前からチームを引っ張る覚悟は出来ていたという。どのようなチームづくりをしたいか、彼に問うと力強くこう答えた。「もっと学生一人一人が自覚をもって自分で考えていけるような、強いチームにしたい」。中川監督は他に仕事をしているため、常にチームを見ているわけではない。必然的に学生主体でのチーム作りが求められる。そのような状況を鑑みたとき、昆は強いチーム構築のために各自のさらなる意識改革を訴えた。そんな彼をエース下地(コ3)はこう語る。「一人ひとりのことをしっかりと考えてくれていて、アドバイスもしっかりとかけてくれます。周りをしっかりと見て、プレーでもチームを引っ張る、背中でチームを引っ張るキャプテンですね」。絶大の信頼を寄せているようだ。笑顔がはじける元主将の金城とは対照的に、真面目でクールな新主将の昆。どんなチームになるのか、とても楽しみだ。

   「R&C〜Revive and Challenge〜」。今年のスローガンである。リバイブは再建、チャレンジは挑戦という意味で、約半世紀前の立教が強かった時代のように挑戦し強くなるという思いが込められている。この言葉を掲げ、目指すは1部中位、そして再びインカレへ進みベスト8の壁を打ち破ること。そのために彼らはどんな過程を歩んでいるのだろうか。



見つかった課題

シュートを放つ山本

    新チームが始動したのは、インカレの筑波戦から1週間のオフを挟んだ11月29日。彼らがまず取り組んだのは基礎トレーニング。厳しい寒さの中ひたすら走り込み、ウエイトトレーニングをしてパワーアップに励んだ。春、一部リーグで戦う相手は全国でも指折りの強豪校。当たりにいっても跳ね返されるような屈強な男ばかりである。小柄な立大選手が一部校と渡り合うためには、フィジカル、スピードの強化が必須だ。それを再確認したのが、2月18日に行われた法立定期戦だった。シーズン最初の公式戦として、1年を占う大事な一戦だが、一部校の力強いシュート、素早いパス回しに翻弄され27−37で敗戦。「全然ダメ」。点差以上に力の差を痛感した。さらに主将は「プレー以前のところの部分でも完全に劣っている」とメンタル面の弱さも指摘。実は、定期戦の2週間前、日大との練習試合では攻守がかみ合い善戦した。その自信が破られる結果となったが、それが良い危機感を生み、見つかった課題は飛躍への材料に。その後も基礎トレーニングに打ち込み、個人スキルのアップのための日々が続いた。そして、3月序盤には豊橋合宿へ向かった。1日8本もの試合をこなす過密日程の中、チーム全員で守備に共通意識を徹底。「サイドにシュートを打たせるまで外にボールを出そうということと、もう一つは枝をしっかり作ってキーパーと連携をとるということ」。攻撃は好不調の波があるが、守備には波がない。去年のインカレで優勝した国士大のように、強いチームは守備が安定し、守りが徹底されている中での速攻や守備の良いリズムを攻撃につなげていることを主将は感じ、一部リーグでは守備の徹底が勝利への一番の近道だと考えた。合宿の最終日には、チーム全体で徹底することを守れるようになり、連携の確認にも着手。チームの土台構築のきっかけとなる合宿となった。その直後、味の素ナショナルトレーニングセンターで行われたNTC合同練習会も大きな収穫を得る機会となった。練習会には国士大、東海大、筑波大、中大、早大などの1部校が参加し彼らのパワーやスピードに慣れながらも「何が通用出来て何がまだ足りなかったかを判断出来ていい経験になった」と手応えを得ることができた。
  

チーム一丸で
   新戦力も合流した。例年通り、強豪校から新入生が来たがその中でも面白い存在が山本(コ1=浦和学院)。180a越えの身長と、がっちりした体格で監督も大きな期待を寄せる。兄は日本代表選手であり、本人も高校時代に選抜されて日中韓の大会に出場した経験をもつ。その他にも、秋田(社1=愛知)、平仲(コ1=興南)など、楽しみな選手が多い。4年生が抜けた現有戦力に目を向けても、大きな戦力ダウンはない。新副将の比嘉栄(コ4)、黒島(営4)は最終学年に燃える。エースの下地や守備の要である松川(コ3)も上級生となり、チームをけん引するだろう。成長著しい関根(コ2)、比嘉信(コ2)、小川(済2)ら2年生の活躍も大いに期待したい。一方、守護神であった嘉陽が抜けた穴は、谷(済3)と荻原(コ2)が2人でカバーする。
   春リーグは15日が初戦。それも、筑波大から。インカレで敗れた因縁の相手だ。それでも「9試合戦っていく中の一戦で、初戦が筑波だからどうというよりかは一戦一戦、その一つにちゃんと対策を立ててゲームプランを立てて臨んでいきたい」と昆。常に、目の前の敵に集中し戦っていく意気込みだ。立大ハンドボール部は今年で70周年を迎えた。その節目の年、彼らは一戦一戦挑戦し、強くなる。いざ開幕。チーム一丸で、さあ、いこう。

(4月6日、取材・編集=浅野光青)







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