【軟球見聞録(2)】

佐藤・土井があのレジェンドに挑む!?


◆第21回アジアカップひろしま国際ソフトテニス大会◆
3月11〜12日 広島市翔洋テニスコートなど






   3月に行われたアジアカップ。日本中の高校生、大学生、社会人に加え、海外チームまでもが入り乱れるお祭りのような大会だ。昨年は立大Aチームが社会人王者のNTT西日本広島と戦ったり、立大Cチームが韓国代表のエース・キムドンフンをあと一歩のところまで追いつめるなど、アジアカップならではの夢の対決が実現する。 そして今年も1つ、夢の対決が実現した。立大Aチーム対高知県選抜における、佐藤(コ2)・土井(文1)ペア対横江忠彦・横江知彦ペアの一戦だ。相手は双子で、かつて日本のソフトテニス界を牽引した名選手である。忠彦氏は日本代表にも選出された経験を持つ。立大のエースペアが高知県のレジェンドプレ−ヤーを相手にどこまでやれるか。注目の一戦の背景には、前衛・土井と横江兄弟を結ぶ素敵な縁があった。

   土井は北海道北見市の出身であり、父・伸行さんは北見市役所の職員。北見市と横江兄弟のいる高知県高知市は姉妹都市に制定されており、職員の相互派遣を行っている。16年前、土井家も高知市へ住まいを移すことになった。土井家と横江家が出会ったのはこのときである。土井家が高知市を離れる平成15年3月には、横江家で送別会が開かれるほど親交は深かった。当時、横江兄弟は中学生、土井に関しては幼稚園生。そこから14年。3人は長い時を経てトッププレイヤーへの道を歩み、このアジアカップで相対することになったのだ。

   試合は、佐藤・土井が序盤にG3−1とリードするが、そこからあれよあれよと横江兄弟が流れを奪っていく。「声も出してくるし積極的に打ち込んでくるし、学生みたいなテニスだった」(佐藤)。30歳を超えた2人だが、その力強いテニスからは衰えを感じさせない。特にサーブとスマッシュの威力は、佐藤・土井を圧倒。高い技術に加え、ポイントを取った時の盛り上げ方など、メンタル面での振る舞いも一流であった。「チームにいたら絶対盛り上がるだろうなというプレーが多くて流石だなと感じました」(土井)。

   結果、G3−4で軍配は横江兄弟に。試合後、土井は「技術、メンタル、全てにおいて相手が上だった」とうなだれた。だが、必ずしもそうとは限らない。この日の夜のこと。横江知彦氏は土井の父・伸行さんとの電話でこう語っている。 「結果としてはたまたま私たちが勝ったが、あっという間にG3−1とリードされ、断然、佐藤・土井ペアのほうが強かった。2人はまだまだ強くなる」。

   レジェンドは、佐藤・土井が持つ高いポテンシャルを見抜いていた。佐藤はこれから3年生、土井は2年生。おそらく今年がこのペアの全盛期となるだろう。今後の2人がますます楽しみになった。
(3月27日/取材・編集=栗原一徳)


P.S.取材にご協力いただきました土井伸行様に心より感謝申し上げます。


Copyright (C) 立教スポーツ編集部, All Rights Reserved.