明日インカレ開幕、3人が “自分史上最高の夏”へ挑む



   全日本学生選手権(インカレ)の開幕を28日に控え、調整を続ける立大レスリング部を24日、取材した。

宮川の今年の目標


   主将・宮川(法4)が練習の序盤に突然、半袖のシャツに2枚の長袖を重ね着した。外気温は30℃を越える。室内で扇風機が回ってるとはいえ、見ているだけでも汗が噴き出すのにも関わらず、である。そんな中、季節外れの着膨れした格好で1時間30分激しい練習をこなした。「めっちゃ暑いよ、熱出してるみたいに。ムワットします」。27日の計量へ向け、7〜8s落とす必要があるという。汗を大量に出して減量している最中だった。練習の合間にタオルを首にかけて暑さと向き合う表情は、獣のように険しかった。

   宮川は、最後の全国大会へ臨む。目指すは、8強入り。大学3年間で、全国での最高成績はベスト16。今年こそは8強以上に入ると決意した。そのために、大きな改革を施した。題して、立教病からの脱却。 内に引きこもって練習を重ね、強くなった気でいたこれまでを、彼らは立教病と呼ぶ。その悪しき伝統の克服を目指した。この春、宮川が主将に就任して以来、練習方法を一新。強くなるため、試合で勝つために出稽古を重ねた。半年間で国士大、日体大、日大、明大、東農大などの1部校に10回以上も出向いた。明大、大東大とは8月に富山で合同合宿を行った。走りこみやスパーリングなどで強豪校の選手と共に汗を流した。さらに外に出るだけでなく、来客者も積極的に呼び込んだ。OBのつながり、豊島区レスリング協会の人など、一人でも多い人数で練習するために常に門を開いた。時には、知らないおじさんがいきなりやってきて練習したこともある。それでも、「レスリングは人数が多ければ多いほどいいんですよ」と笑う。さらに、出稽古の意図をこう説明した。 「インカレで当たるのは1部校。インカレはリーグ戦と違って2部を相手にしてればいいわけではなくて、格上の選手に勝たないと絶対に上にはいけない。だから出稽古とかで練習をやったほうがいいと思った。実際にそういう練習をした方が面白くて、こんな立大の練習場で引きこもっててもしょーもない。井の中の蛙で、外いって負けましたじゃなくて。ここだけで強くなった気がして負けるんじゃ意味がない」  効果は表れている。「OBとスパーリングして、OBに『合宿前より強くなったな』と評価してもらえた」と宮川。芝(法2)も「上のレベルに近づいていってるなというのは分かる。遠くはない存在だな」と自信の成長を実感している。 男たちはこの夏、ほぼ無休で練習している。完全なオフはたったの3日だけ。宮川は後輩から「どうかしてますよ」と冗談交じりで言われた。それも、自分のわがままで突き通す。全ては、16の壁を破り、ベスト8以上に入るため。果たして、貫いてきた男道は、目標へとつながっているのか――。

タックルをする宮川


昨年、初戦敗退だった芝は足を動かして一勝をもぎ取る。「今まで足が止まってることが多くて、一発攻撃したらそこで終わってた。それを一発終わったら、また追撃するみたいなことを宮川さんに言われた。そうすると、足の動きが大事になって来るから、足を動かして、どんな攻撃でも反応できるようにしている。練習では、スパーリングとかで常に足を動かすことを意識している。インカレでもそれを忘れずに、一個は勝ちたい」。2年目、一つは勝ちたい。

   横田(法1)は、初めてのインカレに向け、「一勝でも多く勝ちたい」と力を込めた。入学以来、技を増やすことを意識してきた。特に出稽古は、大きな学習機会だった。そこで衝撃を受けた選手がいる。明大の二ノ宮寛人選手(2年)だ。世界ジュニア選手権にも出場するほどの実力者で、体格とスピード共に桁違いで歯が立たなかったという。そういった強敵を教材にした。「他の大学の選手の技を見て、いいなと思ったのをやったりすることはあります。同世代や、年齢の近い選手には負けたくない」。インカレという大舞台で、その技を発揮できれば勝利は近づくはずだ。

芝(左)と横田は組み合い





     宮川がグレコローマンスタイル71s級及びフリースタイル70s級、芝と横田はグレコローマンスタイル85s級及びフリースタイル86s級にそれぞれ出場する。 3人にとって“自分史上最高の夏”が、始まる。



(8月27日・浅野光青)





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