背番号「12」を継いだ"新熱男"福田博之

今春から「12」を背負う福田博之(法3)
市野(17年度卒)のいないフィールドは考えられなかった。誰よりも吠える男がチームから去るとどうなるのか。毎朝見ている情報番組から目当ての女子アナウンサーが卒業してしまうような…そんな物足りなさを感じると思っていた。――違った。


"イッチチルドレン"として
  頼もしい男が増えた。今春から市野の背番号「12」を背負ったのは福田博之(法3)。俊足を武器に1年次からメンバー入りを続けるFWの要だ。リーグ戦開幕前には中田主将(文4)から「お前が(チームを)引っ張れよ」と太鼓判を押されるほどの存在感。本人も「キャプテンに認められるようになりたい」と気合十分に構える。

  愛が溢れている。福田は自ら認める”市野チルドレン”だ。背番号「12」も「イッチさん(市野の愛称)、僕に12番くださいよ」と直談判した。
  「俺が1年生の3月、本気で部活を辞めようと思ってたんだよね。それでも春合宿の時、イッチさんは就活で疲れているのに夜中の3時まで話を聞いてくれて…めちゃめちゃ熱く語ってくれるの。なんて後輩思いなんだって思ったよ。お父さんみたいな感じなんだよね」。


17年春季リーグ入れ替え戦に大黒柱の影を見た
  忘れられない姿がある。昨年の6月に行われた1部入れ替え戦、対学習院大。最大の目標である1部昇格をかけたこの試合において、惜しくも1―2で敗北した。学習院大の選手たちがお祭り騒ぎをする横で肩を落とす立大だった――が、その場に福田の顔はなかった。他の場所に目をやる。まだ「12」ではなく「27」をつけた背中はグラウンドから離れた、人通りの少ない道の隅で小さくなっていた。我々に気づくと真っ赤にした目をこちらに向け、ポツリとこぼした。「ごめんな。今日は来てくれてありがとうな」。

  自分が悔しがる姿を仲間や先輩たちに見せたくなかったのだろうか。心底悔しい思いをした男は、開口一番そんな言葉を発することができるだろうか。当時出場メンバーでは一番年下の男に、未来の大黒柱の影を感じた。


現役生活も折り返し。残り2年でどこまで存在感を増すか
坂東(コ2)のリーグ戦初得点に誰よりも喜ぶ福田(写真中央)
  “パパ活”は引き継ぐ姿勢だ。今年の春合宿では同じ部屋のメンバー全員に計2万円相当の寿司を奢った。今春季リーグ成城大戦、弟分・坂東(コ2)の初得点に誰よりも喜んだのも背番号「12」だった。面倒見の良さはピカイチだ。

  「グラウンドをもっと広く見て、後輩とかにも声をかけられるようにしたいね。静かな子が多めの部活だから、1人騒ぐ奴がいれば変わるかなと思う」。

  「西洋に追いつけ追い越せ」。文明開化が起きた明治時代の日本は西洋列強の文化を取り入れ、急速に国力を高めたという。さて、「12」に憧れ、背負った男はどうだろうか。かつての熱男に追いつけるか。残り2年で憧れを超えられるか。
「FWは結果が求められる。もっと引っ張りたい」。得点シーンは今後増えるか

(5月7日・取材/編集=小西修平)

◆プロフィール◆

 福田博之(ふくだ・ひろゆき)。1997年12月1日生まれ。法学部国際ビジネス法学科3年。立教池袋高等学校卒。小学校から立教に通う生粋の立教ボーイ。高校時代はゴルフ部に所属。愛称は「福ちゃん」。年中顔を日焼けさせるスポーツマンだが学部での成績は良好。テスト前の辛いときは王貞治氏の名言「努力は必ず報われる。もし報われない努力があるとしたらそれはまだ努力とは言えない」を思い出して自身を奮起させる。


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