スケート部フィギュア部門

〜全日本の先に〜


   昨年末に北海道で開催された全日本選手権。国際大会の覇者である高橋大輔(関大大学院)や羽生結弦(東北高)が出場し、世界一ハイレベルな国内戦とも言われる舞台で中村健人(営3)は会心の演技を披露し6位に輝いた。テレビ放送でその涙と笑顔を目にした人も多いのではないだろうか。その戦いから僅か2週間ほどが経った1月、彼はインカレに出場するために宇都宮のスケートリンクにいた。

   「目標は優勝」。インカレは全日本という大きな大会から日を空けずに開催されるため、調整は難しい。しかし国際大会への派遣枠を得るためにも好成績を収めようと調整に力は抜かなかった。そして臨んだショートプログラムの冒頭で、3回転−3回転のコンビネーションジャンプに挑んだが、1本目が2回転になるミスが出た。その後は動揺することなく「ミステリアス・セクシー」にと振付師から指示を受けている『Vizir』のプログラムを情緒豊かに滑り切り、1位につけた。    翌日のフリースケーティングで演じるのは昨年に引き続きサン=サーンスの『交響曲第3番オルガン付き』。中村の美しく気品のあるスケーティングとよく似合うと評判のプログラムだ。しかしここで細かいミスが続発してしまう。総合200点という大台には乗ったものの、ショートプログラム2位の佐々木彰生(明大)の気迫の演技に逆転を許してしまい、結果は2位。僅か約0.7点差で準優勝に終わった。

   大会後、中村は「もう結果とかじゃなくて、決めた要素を完璧にこなすことを目標にする」と語った。今までも自身の演技を完璧にすることにこだわり、それを良い演技をするための大前提であるとしてきたが、演技の完成度を敗因としたこの大会で、その思いを一層強めたのだろう。悔しさをにじませながらも、順位に納得していると言う中村は前を見据えていた。1月末には織田信成(関大)も出場する国体、さらに2月にはドイツで開催されるバヴァリアンオープンへの出場が決まっている。規模の大きな大会や、国際大会に出場すればそれだけ経験値は積み重なるだろう。より完成された演技を求めて、中村健人の進化は続いていく。

(1月25日・深川葉子)





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