陸上競技部

金晩秋の日光でつないだ襷


  11月30日、栃木県日光市にて第1回日光いろは坂女子駅伝大会が開催された。二荒山神社、日光東照宮ならびに輪王寺からなる『二社一寺』が世界遺産登録15周年を迎えたことを記念して創始されたこの大会。日光の地域活性化に加え、学生を中心とした女性ランナーの聖地として男子の箱根駅伝に匹敵する大会となることを目指して行われる。エントリーしたすべての選手が招待選手として歓迎され、日光市から手厚いもてなしを受けた。

  いろは坂駅伝は、日光だいや川公園〜日光二荒山神社中宮祠までの6区間23.4kmのコースを舞台に行われ、スタート地点とゴール地点の標高差は約875mにも及ぶ。そしていろは坂といえば、日光市街地と奥日光を結ぶつづら折りの坂道。急な勾配とカーブが続くこのコースは、女子選手にとっては非常に難しいコースとなる。出場チームは関東・関西の大学を中心とした全14チーム。記念すべき第1回大会でどのチームが栄冠を手にし、始まったばかりの歴史にその名を刻むのか、注目が集まった。

  立大のオーダーは、渡邊(理1)―田巻(コ2)―村上(理2)―藤森(営4)―藤ノ木(文4)―本山(コ1)。1区から3区は、スタート地点の日光だいや川公園から日光市街地を駆け抜け、いろは坂の入り口まで襷を運ぶ区間。4区・5区で6.5kmのいろは坂を駆け上がり、6区は最も標高の高い区間で襷をゴールまで届ける。本格的にいろは坂を上る4区と5区は4年生の2人に任せられた。
4区・藤森から5区・藤ノ木への襷リレー【提供・サトーカメラ株式会社】


  渡邊は高校駅伝以来の1区。もともと1区が得意ではないという彼女は、周囲の大学の選手の持ちタイムの速さもあり緊張を抱えて臨んだ。2kmから3kmにかけてタイムが落ち、後方でスタミナをセーブしていた選手に吸収されてしまう。ラスト100mのところで抜かされ、7位・8位とそれぞれ1秒差の9位で2区の田巻につないだ。2区は5.2kmの最長区間。田巻は「全力を出し切れず不完全燃焼で終わってしまった」と悔しがったが、前を走るチームをひとつ抜かし順位を8位に上げる。3区の村上は前方との差を詰めるものの順位を落とし立大は10位に。

  3区のラスト1kmあたりから始まるいろは坂の上りは、いよいよ4区で本格的なものとなる。平たんな道が全くないコースで坂をひたすら上るなか、藤森は後方に迫っていた松蔭大に抜かされ襷は11位で5区藤ノ木へ。5区もカーブばかりの坂道が続く。リズムを意識した走りで藤ノ木は区間3位の好走を見せ、前を走る2チームをとらえる。順位を9位に押し上げ、8位との差も5秒にまで縮めた。アンカーを務めた本山は、大学に入学してから初めての駅伝。単独走を予想していたが、目の前に8位の国士大が見えていたことで目標を定めることができ、流れをつかむ。落ちてきた相手を2.5km地点で抜かし、総合8位でゴールテープを切った。

  この結果について、監督・コーチを含めチーム全員が納得の表情を見せた。強豪校も出場している中でのこの順位は今のチームにとって十分な成果である。また、楽しんで走れたと語る選手も多く見られた。4年生は急きょ出場した形だったが、この大会で正式に引退。藤ノ木は「力もあると思うので、次は来年9月の関東女子駅伝でしっかり全国を目指せるように毎日着実に練習をこなしてほしい」と後輩にエールを送った。来年もいろは坂駅伝が立大にとって次へのジャンプアップにつながる大会となることを願いたい。
(12月15日・添田美月)











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