プレスリリース



痴漢えん罪被害者ネットワーク
結成報告会宣言文

 マスコミ関係者各位へ

本日はお忙しい中、我々「痴漢えん罪被害者ネットワーク」結成報告会にお集まりい
ただきましてありがとうございます。
このたび、私たち「痴漢えん罪事件」の被害者である13名が中心となり、「痴漢えん
罪被害者ネットワーク」を立ち上げることを決断いたしました。
皆様もご承知のように、いま、痴漢犯罪は注目を集めている事件のひとつです。その
数は激増しているといわれています。主に痴漢犯罪を取り締まる都道府県条例違反で
送致された件数は、警察庁発表の資料で1990年に836件だったものが、2000年には
4595人になっています。これに、(悪質な痴漢行為と判断され)強制わいせつ罪で検挙
された人を加えると相当な数になることが予想できます。
確かに、女性に対する痴漢行為は絶対に許すことができない犯罪です。実際に卑劣極
まりない痴漢行為に泣いている女性もたくさんいることは認識しています。しかし、
その一方で、私たちのように無実の人たちが痴漢に間違われて逮捕・勾留され、裁判
ののち、無実の罪で犯罪者とされてしまっているのも事実です。
私たちは断言します! 
私たちは「本当に痴漢行為はヤッていません」。金銭的なことはもちろん、時間や精
神的ストレス、そして、多くの方々の支援に対して真実がなく、ただ「ヤッていな
い」という主張を貫き通すことは出来ません! 私たちには余りにも多くの失うもの
があります。それは、社会的な地位、職場、家族など、当事者たちにとっては人生の
正義を賭けた闘いです。この点だけは、ご理解いただきたいと思います。

【結成趣旨と結成に至った経緯】

会を結成するに至った経緯は、たまたま満員電車の中などで、痴漢行為をされたであ
ろう被害者女性の直近にいただけで、証拠も目撃証言もないまま、長期間勾留され、
起訴され、裁判にかけられる理不尽を正すために闘ってまいりました。
一般社会の常識(=裁判所の非常識)に照らして有罪(実刑)になり得ないのに、証拠
も証人も無いのにどうして、ただ、「やろうと思えば出来た」という裁判官の心象の
みで、訴えた女性の証言を唯一の「証拠」として、有罪(実刑)判決を受けなければな
らないのか。現代の裁判制度に疑問を抱きつつ孤独な裁判闘争を続けてまいりまし
た。
この間、あるときは、こんな不幸は自分だけだと思い、全てに嫌気がさし、自殺まで
考えたことも1度や2度ではありません。またあるときは、マスコミ各社の報道によ
り、こんな境遇になっているのは自分だけではないことを知り、励まされても来まし
た。
そして、昨年の12月に「全国痴漢えん罪弁護団」という痴漢えん罪を担当した(担当
している)弁護士先生たちの横のネットワークが発足したことがひとつの大きなきっ
かけでした。
その会合に参加していた「痴漢えん罪被害者」だけで集まるようになり、裁判制度への
不満や自分たちが無知なるがゆえに、また、情報がなかったがゆえに裁判闘争を不利
にしてしまったことなどが真剣に話し合われました。
そして、今までの裁判闘争を通じて、自分たちの失敗や成功を今、闘っている人たち
に伝え、悔いを残すこと無く闘えるようにしたい。また、共に諦めないで闘うことに
より、展望を持ち、勇気と希望を与えるために、本日の結成となった次第です。

[痴漢えん罪に共通している警察・検察・裁判所の問題点]

そもそも、訴えている女性側の主張のみで、説明に行った駅事務所や鉄道警察隊では
何も聞いてもらえず、任意なのか、現行犯逮捕なのかも曖昧なまま警察署に連れて行
かれてしまいます。一度、女性が「痴漢です」といえば、その男性は犯罪者として扱
われ、「バカヤロー!」「嘘つくんじゃねぇー」「この変態ヤロウー」「白状しろ」
と机を叩いたり、耳元で大きな声を出されるなど精神的威圧の取調べが始まります。
その一方で、警察官は「たった5万円の事件であり、交通事故にでも遭ったと思い、
この場で認めれば、会社にも家族にも分からないように処理するから」などと取引を
持ちかけてきます。
また、「認めたら出してやる」「お前が憎いんじゃない。罪が憎いんだ。男だから間
がさすことはある」と、泣き落としできます。それでも「容疑を否認する」と、その
まま留置され続け、警察と検察官、裁判所が結託し、長期間の勾留で精神的に追い詰
めていきます。
そして、女性の証言の裏取りも現場検証もせず(中には、女性の証言どおりの現場検
証をするケースもある)、証拠も自分たちに有利なものしか上げない。科学的捜査
(指紋検出や嘘発見器など)は一切されません(これも科学的捜査したケースもある)。
そして、20日間の勾留期限を迎え、犯罪捜査規範に反するような@初動捜査ミスA誤
認逮捕(現行犯は拡大解釈によるもので、本来は不当逮捕)なのにもかかわらず、痴漢
被告人として起訴されてしまいます。
最近では、警察・検察官の手口はさらに悪質になり、従来であれば条例違反扱いの事
件でさえ強制わいせつ扱いとし、300日を超える不当な長期間勾留をし、被告人サ
イドの立証計画の邪魔をします。また、条例違反でさえ100日を超える長期間勾留
の事例も報告されています。このような悪質な長期間勾留は明らかな法律違反であ
り、直にも正さなければなりません。
裁判所の問題として、証拠を無視した自由心証形成と、(何の利害関係も無い女性が
被害者として勇気を出して訴え、法廷でも証言しているのだからという先入観念によ
る)女性の証言のみを偏重して、一般常識からは考えられない偏見と矛盾に満ちた判
決により、犯罪者の烙印を押されてしまっています。
1999年の数字では、全国の迷惑防止条例違反による人員は、3639人(警察庁発表)と
なっています。このうち、無実を主張し簡易裁判所で裁判にかけられ終局を迎えたの
は61名となっていますが、無罪になった人は一人もいません。51名が有罪になり、そ
のうちの12名が上訴をしています。終局を迎えた61名はと有罪51名の差は、判決を待
たずに裁判が終了したと考えられます。(この段落の警察庁発表以外の数字は最高裁
発表)
こうしていったん痴漢に間違われたら最後、長期勾留から有罪判決までほとんどが例
外なく進んでいきます。社会的な信用を失い、多数の者が職場を追われているだけで
なく、多額の裁判費用をはじめ経済的な困窮に苦しんでいます。
また、幼少の頃から一度も前科前歴(補導歴も含む)もなく、まっとうな人生を地道
に送ってきた人が、証拠もないのに(女性の勘違いという要素は頭から排除される)実
刑判決を下され、現在、高裁、最高裁で闘争中である(最悪のケースとして、最高裁
まで闘ったのち、敗れて約10ヶ月間刑務所に行った人もいる)。

【痴漢えん罪事件と裁判所の関係】

1990年−1999年 全国の簡易裁判所に「私は痴漢をしていない」と否認して
裁判を闘った人が203名。結果は全員が有罪。
2000年−2000年 マスコミで痴漢えん罪報道が盛んになる。8件が無罪判決
を勝ち取る(うち、高裁での無罪が4件)。
2001年−2002年 マスコミの痴漢えん罪報道が下火になる。3件の無罪判決
が出る。
(2002年2月6日 毎日新聞)
「ひとつの事案を取り上げたとき、わずか3年間に無罪が多い年と少ない年がはっき
り分かれ、ブレを生じさせたことは過去に例がない」(佐藤善博弁護士)

 [まとめ]

上述のように警察・検察・裁判所の三位一体となった“痴漢犯罪者でっち上げシステ
ム”の前には、一般人は無力です。現状を踏まえると、裁判官の当りハズレによっ
て、無罪であったり、執行猶予付きであったり、実刑であったりすることは否めませ
ん。
これは、われわれ「痴漢えん罪被害者」だけの問題では決してありません。日本の司
法のあり方が問われている問題なのです。善良で地道に日常生活を送ってきた一般市
民が、ある日突然、市民としての権利を奪われ、痴漢犯罪の加害者にされてしまうの
です。この日本独特のえん罪事件が多発しているという恐ろしい状況を改めていくた
めに私たちは世に訴えていくことにいたしました。

2002年7月15日
痴漢えん罪被害者ネットワーク

[現在は、改組の上、「痴漢えん罪被害者救済ネットワーク」と改称しています。]
STOP!痴漢えん罪!

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