西武新宿線第2事件



第九回公判傍聴記   written by NA
12月19日13:40〜16:10   515号法廷
  実写ビデオと再現ビデオについて、関連性なしを理由に検察官が不同意。
関連性を立証するために、富澤弁護人を証人申請して認められる。鳥海弁護
人が主尋問を行う。ここまでは筋書き通り。
 検察官の反対尋問がとても細かく、オリジナルテープの本数とか、実写時
の混雑率とか、想定していなかった質問が相次いだ。テープが採用されて、
それらを映写しつつ、富澤弁護人に説明を求める方式で、証人尋問が続行さ
れた。
 検察官による反対尋問が、また細かい。犯人が詰め襟学生と想定すると、
被害者が犯人の手を掴んだときに被害者の手が後方にあり、袖口は見えない
ので、被害者供述と合わないなど。ビデオ撮影時に被害者役は左からの手と
認識しているので、犯人役の手を掴むべく後ろに手を回してしまうのは当然。
やらせで作成した映像ではなく、大雑把な状況説明だけで再現してみたから
こそ価値があるのだ。事件当日の被害者調書には、手を掴んだが引き抜かれ
たという記述のみで袖口が見えたという記述はなく、この点は、詰め襟学生
犯人説を否定すべく、取調べの経過で付け加えられた可能性が大きい。
 鳥海弁護人が、学生の手はスカートの中であり見えないとフォローしたこ
とを、この趣旨と理解すべきであろう。
 被告人質問に移る。主質問は富澤弁護人が20分間行った。再現ビデオに
ついて、詰め襟学生役が手を引いたことに気付かなかった、周囲の人々も気
付かなかったと供述させた時に、検察官が異議を述べなかったのはラッキー
であった。
 検察官は反対質問で、被害者から声をかけられたときに低い姿勢だった筈
であり、その実験はしなかったのかと、いやらしい質問。弟8回公判で被告
人が初めて言いだしたことを、事前にフォローして再現できる訳がない。
 被害者供述によれば、被害を受けたときに被害者の尻が犯人と密着してい
たので、再現ビデオにおけるような詰め襟学生が犯人である可能性は無いと
いう質問。この点も、詰め襟学生犯人説を否定すべく、捜査過程で付け加え
られた記憶であろう。あまりにもおかしい甲9号証の実況見分を、警察に行
わせてその補強としていることが、その傍証である。そもそも揺れる車内で
密着し続けうる訳は無いのである。
 裁判官による補充質問。左陪席による質問は、再現ビデオがやらせである
ことを前提として、詰め襟学生役の動きを問題としていた。しかし、その痴
漢行為は、途中からのものでしかないので、当初から割り込みを始めてそれ
を係属していないのは当然である。
 裁判長による質問は、被告人の痔に関するもの。そもそも痔であるという
診断を受けたことがあるのか。健康診断では痔の診断まではしない。この点
について被告人の回答は分かりにくかった。40度の熱が出ると言ったのに、
熱を計ったことがないなど、…。薬局を転々という説明は分かるものの、薬
品名を幾つか挙げてと尋ねられて、「バローナ」一つしか思い出せなかった
のは…。もし、一つも思い出せなかったら、コートの裾を引き抜こうとした
理由である痔の話全体が、虚偽と認定されるところだった。
 コートの裾を引き抜こうとしている姿勢のときに、被告人の右手はドアの
ところにある。すなわち、犯人ではありえない。この点を裁判長が確認して
くれたのは、良い兆候かも知れない。
 詰め襟学生以外に本件の加害者はいないと考えるかとの質問に、再現実験
の結果を踏まえると、誰でもできるし、誰がやっても分からないと答えたの
は、詰め襟学生犯人説でない評決可能性を残す回答であり、良かった。
 その後に証拠整理を行い、証拠調べを終えた。今後の日程について、論告
・求刑が1月30日(金)1時半〜、弁論と最終陳述が3月12日(金)1
0時半〜と告知された。
 なお、弾劾証拠の申請と取調べが行われていないことに弁護団が気付き、
1月30日に冒頭にそれらが行われる予定である。

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