札幌地下鉄南北線事件



【第1回公判記録】2005年2月17日 10:30-12:00 札幌地裁第6号法廷
                         written by T.S

 当日の被告人の心境については、多くの人がそうであると思われるように、「裁判な
ど、自分が経験するとは思ってもいませんでした。そこでは、具体的に何がどのように
行われるのか、自分はどんな姿勢で、どんな気持ちで臨むべきなのか、何も分からずに
公判の日を迎えました。」ということでした。

 公判の予定は10時です。私も裁判傍聴は初めての体験でしたが、まず驚いたのが、
法廷が開くのが開始時間直前だということです。日頃から慣れている人にとっては、
「直前まで、別の公判が行われているから当然のこと」なのかも知れません。しかし、
私にとっては「裁判というおおごとなんだから、早めに行って準備したり、心を落ち着
けておくもの」だと思っていました。それが、10分前になっても、5分前になっても
、前の公判が終わることなく続いています。また、そこで行われていた裁判が、たまた
ま社会の関心を強く集めていた裁判であったため、周辺には大勢の報道関係者がおり、
被告人も余計に動揺してしたのではないでしょうか。さらに、その公判でアクシデント
があったらしく、廊下では報道陣の様々なやり取りが繰り広げられ、公判も10時30
分からの開始となりました。

 10時30分の少し前、法廷に入りました。弁護団席の前にある長いすに被告人が1
人腰掛けます。法廷内には、被告人の家族や親戚、職場の関係者が来ており、半分以上
の席が埋まっていました。見たところ、女性の関係者と思われる人はほとんど見あたり
ませんでした。

 10時30分、奥の扉から裁判官が現れ、公判が始まりました。


1.人定質問

 被告人の氏名、住所、生年月日、職業などについて、受け答えがありました。


2.起訴状朗読

 被告人は、
 第1  走行中の地下鉄車両内において、Aに対し、着衣の上から臀部を触り、もっ
て公共の乗物にいる者に対し、著しくしゅう恥させ、かつ、不安を覚えさせるような行
為をし、
 第2  停車中の地下鉄車両内において、Bに対し、着家の上から股間部を触り、も
って公共の乗物にいる者に対し、著しくしゅう恥させ、かつ、不安を覚えさせるような
行為をしたものである。
 罪名  公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反


3.罪状認否

 裁判官が、起訴状の通りで間違いないかを尋ねたので、被告人は、「いいえ。私はそ
の時間帯の地下鉄には乗っていましたが、女性と同じ車両には乗っていませんし、痴漢
行為を一切していません。」と答えました。
 弁護団も同意見です。


4.検察側冒頭陳述(メモできた範囲です)

  1)Aが、地下鉄に乗車していたときの体勢・状況についての説明
  2)Aが、地下鉄内で、犯人の手を払いのけようとした行為についての説明
  3)Bが、地下鉄を降車する際、被害にあった状況についての説明
  4)被告人(私)が、A・Bに追跡されたときの様子


5.書証等の証拠採用について

 検察側・弁護側提出の書証に関して、証拠採用するかどうかの意見を述べ合いました
。被告人は裁判官の問いかけに対し、「弁護団と同じ意見」という旨を伝えました。
 検察側は、新たな証拠として、女性2人の証人尋問を申請し、すぐに認められました
(当日は、女性Bを証人として出廷させていました)。


6.証人尋問(女性B)1)主尋問

 予想では、女性A→Bの順番で証人尋問が行われるのではないかと思っていたのです
が、Bの尋問から始まりました。Bは、犯人がAに痴漢行為をしているのを目撃し、な
おかつ自分も痴漢行為を受けたと言っている女性です。
 Bは、逮捕直後とその半月後の取り調べでは、自分が被害にあったときの犯人識別に
関して大きく供述を変えていました。他にも、供述を変えている部分が多々あり、検察
がどうして信用しているのかが疑問でした(Bについては、検察も取り調べを何度も行
っているので、信用してはいないかも知れませんが)。
 公判では、検事による主尋問が始まり、まずはAへの痴漢行為を目撃していたことか
ら証言していきました。ここでは、車内における乗客の配置について、今までB本人が
描いていた車内図とは明らかに異なる状況が語られました(事後に確認したことは間違
いありません)。
 また、Aへの痴漢行為を目撃したときの、B自身のポジションについても変化しまし
た。しかし、このBのポジション移動に関しては、自分の都合にそった供述変更であり
、Aの供述とも対立する部分があります。
 さらに、犯人の顔の目撃についても、新たな方法が加わりました(調書では、1つの
方法しか供述してませんが、2つの方法で確認したと言いました)。突然、もう1つの
方法が登場したので驚きましたが、この方法は、Aの目撃方法と同じであることから、
AとBがお互いの情報を共有していることを確信しました。
 次いで、B自身の被害状況についての証言がありました。やはり、逮捕直後の供述と
は大きく異なり、その後の検事調べの内容と同じでした(どちらにしても、不自然なも
のではありますが)。
 そして、Bは降車後の犯人を見失っているのですが、本人は「携帯電話」をいじって
いたことが判明・・・。最初は足早に逃げる犯人を追いかけ、Aに対しては「ずっと犯
人を追ってきている」と捕まえることを持ちかけたはずが、どうなっているのでしょう
。
 全ての証言に共通して言えることは、「何もかも自分の都合の良いように、供述を変
化させたり、設定を変えたりしている」ということです。結果、「あちらを立てれば、
こちらが立たず」ということの連続で、最終的な全体像がイメージできないまま終了し
てしまいました。


7.証人尋問(女性B)2)反対尋問1回目

 続いて、弁護側による反対尋問が行われました。この中でBは、検察側提出の「実況
見分調書」のAとBの位置関係についての写真が正しくないと言いました(もともと、
Bの指示により撮影しているはずですが・・・)。
 また、車内の状況に関しては、主尋問同様に事後情報による勝手な想像や推測で受け
答えをしているように感じられました。途中で、弁護人の質問に関して、検事が「その
質問の言葉は、日本語として分からない」というようなことを言っていましたが、裁判
官は「日本語としては分かるが、証人が理解しているかどうかは分からない」と言うな
ど、やはり誰もが、Bの証言内容には疑問やもどかしさを持っていたのではないでしょ
うか。
 反対尋問は、公判の時間が30分短縮されたこともあり、途中で終了し、次回持ち越
しとなりました。


STOP!痴漢えん罪!

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