札幌地下鉄南北線事件



【第3回公判記録】2005年4月14日 13:30-15:00 札幌地裁第6号法廷
                         written by T.S

 3回目の公判、女性Aの反対尋問です。前回の主尋問でのAは、見ている誰もが唖然
とするくらい、どんな質問にも自信に溢れた口調で、それも「ほぼ即答」といった感じ
で受け答えをしていました。後で振り返ってみると、内容に関しては不自然・不合理な
点が多々見られるのですが、その場ではそれを感じている暇がないほど、テキパキと進
められていたことが印象強く残っています(しかし、今回はさすがにそこまでの受け答
えはできてはいませんでした)。そして、検事が代わっていました(転勤になったとい
うことらしいです)。
 13時30分が近づき、例によって慌ただしさに襲われるものと覚悟していましたが、3
回目ともなれば被告人も傍聴する方も慣れてきたのか(慣れたくはないですが)、比較
的落ちついて法廷に入ることができました。傍聴席には被告人の親族や同僚、そして勾
留中に同室だった「戦友」も駆けつけ、ほぼ満席状態となりました。

1.証人尋問(女性A)反対尋問

 まずはAがどのような被害を受けたのかについて聞き出していきました。調書同様に、
Aはお尻に当たっているものが何か、直接目視してはおらず、左隣の男(犯人?)の右
腕については、二の腕の半分くらいのところまでしか見ていないということでした。そ
して大きな疑問としては、Aと男の位置関係および、A証言による両者の肩の前後関係
から考えて、男による犯行が可能かどうかでした(人体の構造上不可能です。男の肘が
複雑に曲がるか、それとも右腕が2本あれば可能かもしれませんが・・・)。また、本
当にその位置関係であれば、男の腕を容易に掴むことも可能だったと思われます。
 次に、Aが当時、痴漢の有無および形態(かなり細かい)については臀部の感触のみ
であったことが確認されたのですが、当日の服装に関しては調書段階で答えている以上
に厚着をしていたことが判明しました。A自身は、着ていたものの生地が薄かったとい
うことを盛んに言っていたのですが、2回目の公判で実物を見た限りは厚いものである
ことは誰の目にも明らかでしたが・・・。それほどまでに被告人を犯人にしたいのでし
ょうか。
 更に、Aが左隣の男の顔を確認した主要な方法として、窓ガラスに映った顔(顔と言
っても正面ではなく斜め)を見たと言っていましたが、周囲の乗客の存在については完
全に無視しているのです。特に、左隣の男のすぐ前方にも乗客がいたと言っているのに
も関わらず男の顔はハッキリと見え、前方の乗客については映っていたかどうかの記憶
がないと・・・。
 また、ABの証言では、痴漢行為があった場所が「地下鉄車内」で、女性ABが被告
人を捕まえようと確認したのが「地下連絡通路」、実際に捕まえたのが「地上」という
ことになっていますが、「A」「B」「男(犯人)」「被告人」の位置関係について、
AB間の対立点が出てきました。Bの証言では、被告人のことを犯人だと認識してすぐ
後ろを付けて歩いていた時に、さらに前方を歩いているAを見つけたので、そこまで走
っていって相談したことになっています。そして、相談している間に被告人が2人を追
い越したので、2人で追いかけ捕まえたというのです。しかしAの証言では、自分に痴
漢をした男は先に地下鉄から降車しており、自分より前を歩いていることが「当然」だ
と言っているのです。つまり降車後から地下連絡通路を歩行中の位置関係として、男、
A、Bの順番が当然だと言うのです。そうであれば、被告人と男(犯人)が同一人物で
ないことは明白です(そもそも、本当に犯人がいたとしても、逆方向へ逃走していると
か、同じ方向でもAやBのすぐ近くを歩いているわけがないと思っていますが・・・)。
 そしてさらに、Aまでが降車後に携帯電話でメールを打ちながら歩いていたことが判
明。結局、2人の女性が2人ともに、車内から犯人を連続して見続けていたわけではな
いばかりではなく、意識して犯人を捜そうとしていたとも思えないことがわかりました。
 他にも、女性AとBが逮捕直後に2人同時に事情聴取を受けたという事実も明らかに
なりました。この事実が示すのは、警察が当初から女性に関しては信用しており、何ら
疑いを持っていなかったということが分かりました(ちなみに、女性の調書を追ってい
くと、逮捕直後は見事に一致する部分ばかりにもかかわらず、その後は異なる部分や対
立する部分が出てきています)。被告人は、「2人が同じことを言っている」からこそ、
逮捕され勾留までされたはずです。しかしこれでは・・・。
 最後に、今回の公判において最も印象的な場面は、Aの証言を聞いて傍聴していた人
のほぼ全ての人(あるいは法廷内のほぼ全ての人)が苦笑する場面がありました。しか
し被告人は全く笑ってはいませんでした。当然だと思います。逆に、笑われているはず
のA自身が笑っていたのを見て、ことの重大さを認識しているのか疑問を感じざるを得
ませんでした。

2.書証等の証拠採用について

 以前、不同意となっている証拠について、再度確認(弁護側・検察側ともに、不同意
を維持)。
 閉廷後に裁判官と弁護団、検事で詳しい打ち合わせを行うことを確認し閉廷。

 以上が第3回目の傍聴記録です。それにしても反対尋問の間、検事が何度か寝ている
様子であったのには驚きました。信じられません。
STOP!痴漢えん罪!

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