札幌地下鉄南北線事件



【第7回公判記録】2005年8月11日 10:20-11:05 札幌地裁第6号法廷
                         written by T.S

 今回の裁判は、予定時間が40分。短い時間しか確保できなかったため、弁護団では
弁論要旨の一部を省略することで対応するとのことでした。
 10時20分、裁判官が開廷を告げました。傍聴席には、被告人の親族や同僚のほか
に、「社会勉強の一環で来ました」という学生が数人おり、傍聴席はほぼ満員状態とな
りました。検察官は相変わらず1人のみで、女性側の関係者も確認できませんでした。


1.最終弁論

 最初に、地下鉄降車後の地下連絡通路を歩行中の被告人と女性ABの位置関係から考
えて、仮に真犯人による痴漢行為が本当にあったのだとしても、被告人が犯人とはなり
得ないという主張がなされました。被告人の証言はもちろんのことではあるが、むしろ
女性ABの証言を整理した内容で、誰が聞いてもわかりやすい内容であった(今回の裁
判では常にそうであったが、ビデオ撮影にしても、降車後の位置関係の整理にしても、
女性ABの証言をもとに整理するだけで、被告人が犯人ではないことが明らかだと思わ
れます。これらの作業を、公判でやらなければならないことに警察・検察への憤りを感
じます)。
 次いで、女性ABの証言の信用性のなさを主張。2人の証言については、今までの公
判の中ですでに信用性がないということは、傍聴している誰もが感じていたはず。物理
的に起こり得ないことを平気で言い通す女性A(公判の最後には自分の証言内容が笑わ
れているのも気付かずに、一緒になって笑っているというとんでもない振る舞いも)。
そして、明らかな嘘を更に嘘で塗り重ねていることが明らかだった女性B。彼女たちの
犯人識別供述に信用性が認められるというのであれば、「どのような供述なら信用性が
認められないのか」と、ふと考えてしまいました。
 また、犯人識別の問題点(女性Aと女性Bが単独ではなく、共同で被告人を犯人とし
て捕まえたことについて、その過程に至るまでの犯人識別の問題点や、取り調べ時にお
ける単独面通しなどの問題点)が挙げられました。
 最後に、被告人の弁解等についての弁論がなされました。被告人の弁解については、
検察側は「変遷があり、合理的ではない」と主張していますが、公判で明らかにされた
通り、被告人は当初から一環しています。
 警察側は、被告人が痴漢行為をしていないとする弁解の内容が「手にモノを持ってい
た」から「違う車両に乗っていた」と変遷していると言うが、「手にモノを持っていた
」ことを被告人は終始一貫して主張しています(手にモノを持っていなくても痴漢行為
はしないですがね)。
 また、乗った車両が何両目だったかという問いに関しては、普段地下鉄を利用しない
被告人は「数字を明確に答えることができなかったが、ホーム内で乗車した位置に関し
ては当初から伝えている」と証言しています(もし、この証言が嘘であるのなら、検察
側は取り調べ刑事を証人として出廷させるはずでは)。
 被告人によると、取り調べでの刑事は、被告人が女性と異なる証言をすると、「女性
と言っていることが違うんだよな。まあ、良いですけど」とか「それは後で録取します
」と言って録取していません。それらの中には、後に「女性の言っていることが誤って
いた」ものが出てきています。事実、起訴直前の女性Aと女性Bの取り調べ調書では
「私が思い違いをした」「警察官が勝手に勘違いした」「私が想像で話をした」「もう
一方の女性の言う通りにすれば良いと思っていた」という内容の調書ばかりが存在して
います。事件当初の取り調べが、女性の証言ばかりを信用して被告人の弁解を聞き入れ
ていなかったことが問題であるにも関わらず、その責任を被告人のせいにしようとして
いる検察官(捜査機関)への怒り、そして、終始一貫している2つの証言を異なるタイ
ミングで持ち出して「変遷している」と言う検察官(捜査機関)への諦めが同時に込み
上げてきました。

 と、ここまでの段階で、予定の40分を過ぎていました。裁判官が被告人に対して、
「最後に言いたいことがあれば、簡潔にどうぞ」と言い、被告人を証言台へ促しました
。


2.最終陳述(被告人)

 「私は、女性と同じ地下鉄には絶対に乗っていませんし、痴漢行為についても絶対に
していません。以上です。」


 これをもって、裁判が結審しました。
 裁判を通して、検察側は自称被害者である女性2人の証言があまりにも不自然かつ不
合理であるにも関わらず、また、物理的に起こり得ないことが多数含まれているにも関
わらず、その証言をもとに被告人が犯人であると立証しようとしていました。いくら立
証するための要件がほとんどないからといって、そのようなデタラメまで持ち出されて
は、弁護団としてもそれらに対する(本来は不必要な)防御にまで追われます。しかし
弁護側はそれらの点についても丁寧かつ合理的に反論していたと思います。
 また、被告人によると、女性の証言の信用性以外に女性の人柄の信用性についても怪
しいところがあるようで、女性B(専門学校生)に関しては、その友人が恋人と共に
「当たり屋」をやっているという情報もつかんでいる(女性Bが他の人に聞こえるよう
な大きな声で、話していた事実がある)とのことです。しかし、弁護団との協議の結果
、裁判の争点にはしなかったようですが。
 ここに辿り着くまで、すでに8ヵ月もの月日が経っています。内容はともかくとして
「裁判が長いもの」ということは誰もが知っていますし、多くの裁判の中にあって「8
ヵ月が長い」と言っていては、馬鹿にされてしまうかもしれません。しかし、「こんな
辛い思いをしている8ヵ月」が長く感じないわけがありません。
 無罪が出ることを祈るのみです。
STOP!痴漢えん罪!

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