西武新宿線事件



第一回公判傍聴記録

第二回公判傍聴記録
第三回公判傍聴記録
第四回公判傍聴記録逆転無罪判決
西武新宿線事件の概要と特徴 1 事件と訴訟経過の概要 (1) 被疑事実の概要 本件は、西武新宿線の鷺ノ宮駅から高田馬場にいたる走行中の電車内において、容疑 者が被害を申告する女性の右手首をつかんで同女の右手を自己の勃起した陰部に擦り 付けるなどの強制猥褻行為を行ったというものであり、被害申告の内容がいわゆる痴 漢事件の中でも異常・特異なものである。 (2) 容疑者の対応 容疑者は、捜査の初期段階から今日に至るまで、およそ3月の身柄拘束を含めて1年 半以上にわたり一貫して無実を主張し続けている。 (3) 訴訟の経緯  1審の審理はおよそ1年間に及び、その間、旧友を中心とした支援の輪も広まり再現 実験をはじめとした本格的な弁護側立証を行ったが、後に指摘するとおり、きわめて 特異な判断手法によって有罪の実刑判決を受けた。 2 1審の判断の特徴 1審の判断には看過できない特徴があるが、そのうちのいくつかを指摘すると次のと おりである。すなわち、 本件事実との関係で言えば、第1に、事件当時容疑者は前開きの部分が開閉困難なボ タン式の厚手のコーディロイのズボンを履き、ひざのすぐ上まで垂れ下がってくる丈 の長い厚手のダウンジャケットを着ていたのであるが、このような服装で申告された 加害行為を行おうとすれば、ダウンジャケットのすれる音がしたり一見異様な動作を 取らなければとてもできるものではないにもかかわらず、このような事実がなんら示 されていない。 第2に、容疑者は鷺宮以前から問題の電車に乗車していたが、鷺宮における客の乗降 に伴って車内の乗客が多かれ少なかれ従前の位置を移動するものであることが確認さ れているにもかかわらず、自称被害者の周りの乗客の位置変化はまったくなかったと いう同女の申告を鵜呑みにして犯人性をきわめて安易に肯定している。 また、その事実認定手法という点から考えても、1審判決は主観的・印象的・全体的 判断に強く傾き、この恣意的な判断(結論)に個別の論点を強引に整合させようと腐 心し、その結果弁護人の提示した各論点と真摯に向き合うことを放棄してしまってい る。したがって、犯罪の存在や犯人性について数々の合理的疑いが残るにもかかわら ず、1審判決は極めて安易に事実を認定し、刑事裁判の鉄則である「疑わしきは被告 人の利益に」の原則を放棄してしまっている。 3 控訴審における闘い  現在、弁護団が拡充され、控訴審における審理が始まろうとしている。控訴審弁 護団は1審の到達点を踏まえ、事実と証拠の洗い直しを徹底的に行い、主張の構成を 吟味し現時点で考えられる最良の控訴理由書を提出したと自負している。しかしなが ら、刑事裁判実務は決して甘いものではなく、今後の努力が結論を左右する。このよ うな時期に痴漢冤罪の被害者がネットワークを設立してお互いに励ましあい、情報を 交換し合い、日本の刑事裁判のあり方に警鐘を鳴らしてゆくのは誠に意義深いことだ と思う。 [追記]  2002年12月5日の逆転無罪判決は、12月20日の午前0時に確定しました。 

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