2015年度あとがき
疋田
ようやく、最後の共同研究論文が形になった。共同研究とはいっても、財政危機・少子化・再生可能エネルギーという3部の相互連関はあまり密ではない。「持続可能な成長」というフレーズで括れる範囲で、それぞれが関心を持つテーマを選び、絞り込んだといってもよい。メンバーがこれにどのように取り組んだかは、それぞれの「あとがき」に述べられている。 最初は、テーマについての関心の深さはまちまちであったろうが、調べていくうちに問題の重要性が理解でき、次々に疑問・問題意識が発展して新たな発見に結びついていくものである。重要性の一定程度の理解に達するかどうかが、主体的な取組に至れるかどうかの分かれ目になる。初めはいやいやながらでも課題に取り組まなければ、この分岐点には至れない。そして、重要だとの認識は、自分との関係を意識すればより早く持ちやすい。少し視野を広げれば、経済問題はみな自分に関わるものであることはすぐ分かる。 関心の展開・発展においては、法則との照らし合わせが重要である。一般論で説明できる問題は少ない。現実には、様々な特殊要因が重なるのだが、この特殊性も、準一般・準特殊ともいえるような段階性を持っている。専門的な先行研究による問題の解明を、この観点から整理していけば、先行研究の不十分さも見えてきて、自分の研究のオリジナリティの発見につながる。この点では、今回の共同論文は、当然ながら教養経済学のレベルにとどまっている。経済学だけではないが、法則を試験勉強のための知識としてのみ学んでいると現実の問題に迫ることはできないので、データの収集・整理・分析・解釈に適用することが、その法則の限界性を含めた理解につながる。 なお、他者の検証に耐えられなければ論文とは言えない。その検証が迅速・正確にできるよう、データや先行研究の典拠、データの加工方法や分析方法、解釈の仕方の妥当性などを適宜説明しなければならない。しかし、出典表記の不十分さは、今年も極めて多かった。根拠を示して自分の主張を述べる、根拠と具体的な内容を確認しながら他者の主張を聴く、ということをしっかり身につけなければ、自立した社会人にはなれない。 今回の経験を卒論で是非活かして欲しい。 |
3年生
けんじ
共同研究では電力自由化についての論文を書いていきました。他班と比べ人数が少なかった分、一人当たりの課題量も多く大変だと感じるときもありました。また私は今回が始めての共同研究であったためチームのメンバーにも迷惑をかけた分も多かったが、自分としては最後までやりきることもできたのでその点はよかったです。論文自体は、用いるグラフなどまだまだつめが甘い部分多く、先生からの指摘も多くもらいました。この一年間の共同研究で自分としても成長することができました。卒論でも今回の共同研究で学んだ部分を生かして書いていきたいです。 |
けんた
私の班は人口という切り口から、特に少子高齢化の緩和・解決によって持続的成長を促すという趣旨で執筆しました。特に私のパートではデータを用い人口動態の変遷や人口と経済成長の関係を分析しました。しかし、計量的な分析が思いのほか進まなかったので、もう少し余裕をもってスケジュールを組む必要性を痛感しました。昨年と違い上級生がおらず自分たちだけで論文を執筆するのは思いのほか難しく、先輩の大きさを実感させられる一年でした。インナー大会では、自分の担当は少なかったものの相手に合わせたつもりが私にはなかった色々な視点を得られ大変勉強になりました。 これから卒業論文を執筆するにあたり一人でまとめられるのか不安も大きいですが社会に出るまであと一年自分の集大成になるので、頑張っていきたいと思います。 |
こうせい
今回の共同研究では、まずテーマ設定の時点でテーマの定義が不明確で、そこからの各班のテーマをすり合わせることがなかったので全体としてはややまとまりがなかったように感じます。私はエネルギー班でしたが、そこでも同じで、特に仮説を立てず、見切り発車で論文作成が進んでしまったことで途中自分たちが進むべき方向を完全に見失っていたのではないかと感じます。班員の二人のおかげで何とか論文として形になりなったことを感謝すると共に、自分の未熟さを感じています。 個人的には、仮説を立てるための下調べが少なく、論文が仮説を立てるところまでしかできなかったのが心残りです。卒業論文では仮説を立て実証していく形態の構成で執筆できたらと思います。 |
じゅんや
二年次の輪読は一年次にざっくりと理解した戦後の日本経済の変遷を政策提言者の意図を汲み、理解しようと心掛けた。復興金融公庫、公団、重要産業、民間銀行などのつながりは複雑であったために、後ろの黒板を必ず用いて全体の構図を描いて理解しようと心掛けた。また、班には去年までいた上の学年の先輩がいなかったために去年より主体的に輪読に参加し意見した。 共同研究では、財政班の租税回避行動に対する政府の法体系の整備、高額所得者に対する適切な課税を担当した。その中でもタックス・ヘイブンに関する課税の現状を調べた。前知識がゼロであったため、当初は理解に苦戦したが、データを集めていくうちにタックス・ヘイブンによる租税回避行動がいかに国にとって大きな問題であるかということを知った。 また、企業の節税について調べていく中で租税特別減免措置などこれから削減すべき課題を見つけることができた。 |
ゆか
2年目のゼミの活動は輪読と共同論文が同時並行であったこともあり、とにかく辛かったです。輪読では、去年は経済用語を覚えることに必死でしたが、今年は政策とそれによる効果の関連性の理解等に多くの時間を割くことができたと思います。去年は「意味不明」等のお言葉を多くいただいた個人カードも、接続詞・副詞の意味に気を付けながら“コンパクト”にまとめることを意識しました。 共同研究では現象の原因・結果を解明するために多様な統計データを分析しました。データを利用することで説得力のある論文を書くことができたかと思います。また論文の読み手側も見やすいように、取得したデータの適切な使い方を考えつつ使用することができました。しかし一方で、班員が書いてくれた文章のパーツを論文全体の整合性を整えながら組み合わせることにすごく苦労しました。先生・先輩方のアドバイスを頼りに今の構成に仕上げることができました。ありがとうございます。まだまだ苦手ではありますが、全体を俯瞰して論理性を整える力を少し身に着けることができたことは本年度ゼミの一番の成長であると思います。来年度の卒論ゼミではこの力をもっと伸ばします。それと同時にすえつぐワールドに存在する言葉でなく、現実の世界に存在する言葉を使うことに気を付けます。 そして最後に、ゼミ生の誰よりも苦労のかかる奴だとは十分承知しておりますが、来年も先生を頼りにする予定ですので、元気でいてください。 |
こうすけ
去年よりも全体の人数が少ないので、少し寂しかったです。また、不真面目な自分に対しても丁寧に指導してくださった疋田先生には感謝の言葉しかないです。本当に有難うございます。 あと、今年の共同研究論文は、特に末次の努力が目立っていたと思います。お疲れ様でした。ありがとうございました。 |
ようすけ
財政という題について、今までは深く学ぶこともその機会もなかったので、今回共同論文という形で触れることができて非常にためになった。また共同論文の作成に関しても、去年とは異なり主体的に意見し参加することができたので充実したものとなった。討論大会では、自分の意見を伝えることの難しさを感じたが、積極的に参加することで、課題を発見できたのでためになった。総じて、共同論文というものに去年よりも、主体的に参加することができたので、知識だけでなく様々な面で成長できた。 |
りょうへい
昨年度に引き続き、今年度も輪読と共同研究を行ったが、自らの実感としてかなり負担が減った気がした。半年ぶりに「現代日本経済論」を読んだにも関わらず、昨年苦労してレジュメや個人カードを作成しただけあって、スムーズに課題をこなせた。共同研究に関しても、「持続可能な経済成長」というテーマを自分の興味のあった農業という面から分析できて大変有意義なものとなった。しかし、結論や根拠となるデータも不足していると感じた部分もあります。卒業論文に向けて、形式や出典の書き方等を基本的なところから改めて学んだので、共同研究の経験を活かして、先生が納得してくださる論文に仕上げたいと思います。 |
たかひろ
私は、厳しさや大変さといった要素が皆無だった山田ゼミを思い切ってやめ、今年度から疋田ゼミに入りました。前期は『現代日本経済論』の輪読、後期は共同研究を行いました。輪読では、自分の知識と理解力が足りないことを思い知らされましたが、先生や班員に助けられながら、なんとかついていくことができました。しかし、今振り返ると毎週個人カードの作成に追われてテキストの読み込みが不十分であったと感じるので、その点は反省すべきところだと思います。 共同研究では、財政面から見た日本の持続可能な経済成長について執筆しました。最初私は財政の知識がほとんど無く、基礎知識をつけることに苦労しました。また、執筆するにあたって最適な資料が見つからなかったり、古いデータで考察してしまったりと思うように進めることができませんでした。必要な情報の抽出をスムーズに行うことができていれば、より多くの文献を読み込んで論文の内容を充実させることができたと思います。この反省を生かして卒業論文に取り組みたいと考えています。 |
えりこ
今年度、私は「持続的な経済成長」の「少子化」に焦点を当てて研究し、論文を執筆しました。短い期間の中で書き上げなければならなかったため、情報資料の選定には苦労しましたが、昨年度よりも自身の持てる知識や情報収集能力が向上したこともあり、昨年度の自身担当箇所よりもはるかに質の高い論文に仕上げられたと思います。これは、個人では到底成し得ませんでした。論文の執筆にあたって多くの情報提供やご指導をしてくださった疋田先生や大津先生をはじめ、より質の高い論文のために共に推敲を重ねてくれたゼミ生など多くの方に感謝しています。ありがとうございました。 |
ともみ
今年度の共同研究は、昨年よりも人数も少なく、また、1から自分たちで考え作らなければならないということで初めからしっかりと組み立てることを意識して進めていきました。私は昨年度に引き続き、エネルギーに関わる分野を担当して、中でも自分が最も興味のある、原子力発電所について分析できてよかったです。討論大会当日では、昨年の反省を踏まえて、中心となる議論をきちんと進められるように準備をして、昨年度よりも理解度が上がり、有意義な時間だったと思います。 しかし、データや先行研究を探す際に、必要な情報と異なるものを使ってしまったり、なかなかほしい情報が出てこなかったりと、苦労することも多かったです。今回の経験を活かして、卒論作成の資料収集は確実にできるようにしていきたいと思います。 |
さとし
今年度の共同研究のB班の大きなテーマは日本の少子高齢化をどうすれば解決できるかでした。そこで私は少子化が起こった原因と現在政府や地方公共団体がどのような政策を打ち出してどのような成果を上げているのか分析しました。論文の信憑性を高めるデータやグラフは他の班員の協力もあり去年より充実した論文ができたと思います。しかし少子化の解決のところで大都市圏の待機児童の問題を追いすぎたため、地方での若者の減少をどうすれば解決できるかなど日本全体の少子化解決につながる分析ができていなかったと思います。そこは今後の反省として考えなければならない課題だと感じています。 自分は遊ぶ体力はありますが、勉強する体力が非常に乏しくゼミに入ったころから先生に厳しいお言葉をいただいていると思います。今年度から卒論も始まり、そして就活も間近に控えています。卒論を充実させるためにも、また就活において自分の行きたい業界・業種をしっかり見定めて進めていくためにも今まで研究してきた「現代日本経済論」の知識を生かしながら頑張りたいと思いますので今後ともご指導、ご鞭撻よろしくお願いします。 |
さき
今回の共同論文では、財政という自分の苦手な分野に挑戦しました。論の主張は当初自分が考えたものと類似した方向の結論となりましたが、論文作成を進めるにあたって、それを実現するための障壁がいかに多いかを具体的に知ることができました。 また、自分で執筆していく中では、データを探していると類似したものばかり出てきたり、欲しい年度のものが見つからなかったり、意外に苦労しました。普段自分が何気なく見ている様々な情報についても、自分の中で勝手に拡大解釈している部分が多くあるのではないかと気づかされました。卒論作成の際や、ニュースなどで他者の主張を聞く際にも、主張とその根拠となるデータが合致しているのかどうかを注意して考察しようと思います。 |
あきひで
今回の論文では主に財政に関わりました。日本の財政の健全化において問題点を見極めることとその解決法を練りだすのは簡単なことではなく、研究を重ねていく上で見えてくる少しの可能性をその都度考えていきました。また、研究をしていくにあたり、ただ財政を勉強していくだけでなく、様々な面から考えることが重要であったことも研究の幅を広げ、苦労しました。 |