サイバーアジア〜ホームページ紹介(4)〜

世界華商網絡

 グレーターチャイナとか華人ネットワークとか相変わらず囂しいが、実感できる機会は多くないだろう。中国語が通じるもの同士と考えればわかりやすいが、広東、福建など方言と幇(方言集団)の多様さを考えれば、かえってチャイニーズ同士の方がつきあいが難しいこともあるのは推測できる。第一方言集団内ではるか昔の先祖の出身地によって「同郷」と言っているのは不思議な気がする。歴史を引っぱり出してつながりを強める作用があるのはわかるが、実際華人たちは場面によって村とか県とか所属のヒエラルキーを切り替えて使っているようだ。
 単純に網状と思えない華人ネットワークだが、輻湊する地縁血縁をインターネットの接続手順、TCP/IPに例えれば、個別情報を収めたサーバーコンピュータはさながら同郷会館や中華総商会などの社団だろう。こうしたこじつけを補強(?)するかのように、実際ネット上で展開する華人ネットワークが世界華商網絡(World Chinese Business Network)(GBコード中国語、Big5コード中国語、英語)である。
 世界華商網絡は大小華人公司のデータベースである。以前はネット上での登録も容易に行えたが、よほど情報が寄せられたのか現在自動登録は行っていないようだ。「全球商家」の貿易と投資の機会の促進を謳い、シンガポールからイエメンまで50ヶ国以上の検索肢が飛び出す様は圧巻で、「海水至る所華人あり」を地で行く。その他ビジネス関連のリンクも地域ごとで至れり尽せり。この試みが世界華商大会でのリークアンユーの呼びかけをきっかけとして生まれたという経緯もあり、1991年シンガポール大会から1997年カナダ、バンクーバー大会までの世界華商大会の概略も付されている。

(初出:『アジアクラブマンスリー』アジアクラブ、1997.10)