サイバーアジア〜ホームページ紹介〜(5)

北京の消費情報

 中国で知日派の“老同志”から「50年で中国の“香港化”はすみずみまで完了します」と聞かされて自信のほどに恐れ入ったが、中国が経済的にあらゆる面で登り坂にあるのは紛れもない事実だろう。日本向け輸出専門だった会社がマーケットを中国国内市場に転換する例もよく聞くし、数パーセントがターゲットの商品ならすでに中国国内向けでも香港、台湾や日本向けでも同じであるという。
 「消費者」は今や中国の新聞、テレビ番組の再頻出用語だが、実際中国人の国内消費はどうなっているのだろう。北京の銀座通り、王府井の南北には北に世都デパート、南に百貨大楼が並ぶが、前者はブランド物を中心に高級品しか扱わないのに対して、後者は十年一日の薄暗い国営商店の典型である。ところが衣類を中心に地方出身者をターゲットにした百貨大楼は、世都はもちろんのこと、北京っ子御用達の西単デパートやパークソン、双安などを抑えて年間売り上げナンバーワンという。北京、上海、広州などの都市と、農村など地方の消費の質の差、量の違いを物語る事例だが、中国消費動向のポイントはすでに後者の底上げに移りつつあるという。
 こうした社会主義市場経済の現実を垣間見るのに、首都北京の人気紙『精品購物指南』(Shopping Guide Newspaper)(GBコード中国語)をお薦めする。新商品や新店舗情報から、ファッション、グルメ、コンピュータ、クルマ、不動産と中国人の関心の行方がよくわかる。また演劇映画情報の充実は滞在者にはありがたい。この手の情報や街ネタは北京晩報(GBコード中国語、Big5コード中国語)など各地の夕刊紙から拾うのが常だったが、「消費」に的をしぼった情報誌が登場したことは中国マーケットの新たな段階を示しているのだろう。

(初出:『アジアクラブマンスリー』アジアクラブ、1997.11)