サイバーアジア〜ホームページ紹介(10)〜

研究機関へのアクセス

 大学や国などの機関から実験が開始されたインターネットは、当初ビジネスマンや文系ユーザーに役立つ情報は少なかったが、日本でも民間プロバイダー(接続業者)の競争によって家庭から安価で安定した接続ができるようになり、利用者が増えるにつれて多様な情報が蓄積され始めた。専用のグループウエアを使うまでもなく、電子メールで意見交換し、デジタルデータを使い回してホームページに掲載すればグループ作業のポイントである「情報の共有」が果たされる。他の形態に比べ、急速に蓄積情報が拡大したのは当然のことで、既存情報の公開とともにインターネットの利点であろう。
 アジア情報について言えば、従来の寡占や独占が改善され、興味のある人が自由に情報を取り出し、専門家の記述を検証したり疑ったりできるようになった。ことに現地に行っても資格や時間の制限でふらりと立ち寄るわけにはいかなかった、アジアの文書館や研究機関へのオンラインアクセスは、前の世代の利用者にとって夢を通り越して唖然とする出来事ではないか。台湾中央研究院(英語、Big5中国語)の9200万字に登る漢籍全文資料庫などはその代表例だろう。アジアを代表する地域研究センターであるシンガポール東南アジア研究所(ISEAS)(英語)のOPAC(オンライン目録)も間近と聞く。一方インドネシア社会科学院(LIPI)(英語)のように紹介に止まっているページもあるが、プロジェクト一覧など電子メールで問い合わせる際の糸口となる情報は掲載されている。検索エンジンページと組み合わせれば調べられないことはない、というのは言い過ぎだろうか。

(初出:『アジアクラブマンスリー』アジアクラブ、1998.4)