サイバーアジア〜ホームページ紹介(18)〜

チャイニーズ・シンガポールワン

 シンガポールで1979年にはじまった講華語(標準中国語を話しましょう)運動も今年で20年目を迎え、このコラムでも紹介したアジア版情報スーパーハイウェー、シンガポールワン上に「華総網」(チャイニーズ・シンガポールワン)が作成された。トップページの項目は華語を使った商業貿易、社団、学校、文学、教育、漫画、マスコミ、マルチメディアなど多岐に渡るが、中でも驚かされるのが結婚に関するページ、婚姻閣(GBコード中国語、Big5コード中国語)である。

 結婚費用のアドバイスや日柄の暦、結婚についての法律から参考文献まで、情報提供の側面は奇異には映らない。貸衣装、写真館、式場から結婚用品店の検索、リストもまだわかる。しかしリアルプレイヤー動画でネット上の結婚式実況中継となると首をひねりたくなる。さらに結婚写真のjpeg画像を募り、寄せられた中から毎月10枚選び、ネットに掲載後、人気投票上位3組にカメラをプレゼント、となると唸ってしまう。

 確かに華人はボーダレスに血縁関係を展開していて、カナダやオーストラリアの親戚でシンガポールまで来られない人には便利だろう。一ヶ月間掲載されているから、ビデオのように繰り返し楽しめもする。ネット上のお墓とか初詣が日本でも話題になったが、この「網上結婚式」は華人たち独特のプライバシー意識と自己顕示がないまぜになった、実に民族的な行事の一形態ではないだろうか。世界共通文化を生むかに見えたインターネットさえ、当然のごとく多文化並立状況に突入して行く現実が実感される。

(初出:『アジアクラブマンスリー』アジアクラブ、1999.1)