サイバーアジア〜ホームページ紹介(19)〜

オンライン大学

 1996年にマレーシアで発表された情報産業誘致のマルチメディアスーパーコリドー(MSC)構想については以前触れたが、この超回廊上に建設中の情報都市サイバージャヤでは、外国からのハイテク技術者の獲得と自国民のハイテク教育という両面から充実が図られている。そして後者の中心となるのがマレーシア・テレコムを経営母胎とするマルチメディア大学(英語、マレーシア語)である。1999年以降、マルチメディア、デジタルアート、経営と情報技術の4つの学部が開設される予定で、2000年には6000人の学生数を目指している。アメリカのMIT〜スタンフォード〜シリコンバレーをモデルに、マルチメディア大学〜MSCという組み合わせで「技術文明」を創造していくという。媒介言語を英語としているのもマレー人優先政策下ではめずらしく、さらに他の国民、たとえば華人を悩ませる民族毎の入学定員割当(クオータ)からも自由だという。またオンライン講義も構想の延長線上で当然出てくる形態だろう。
 日本ではオンライン大学の試みとしてインターネット学部、SOIが「いつでもどこでも学べる大学、 だれでもが学生になれて、世界中の先生から授業が受けられる大学」 を掲げて進行中だが、インターネット中継や衛星利用まで広げれば、こうした取り組みを行っている大学は少なくない。
 アメリカにはフェニックス大(英語)のようにオンライン課程である程度学位取得可能な高等教育機関も存在する。こうしたシステムをアジアの教育機関がどのように取り入れていくか。テクノロジーは最先端のものから移植されるという傾向によれば、本格的なオンライン大学の誕生もそう遠くないのかもしれない。

(初出:『アジアクラブマンスリー』アジアクラブ、1999.1)