サイバーアジア〜ホームページ紹介(20)〜

ネット規制

 この欄では情報サイトそのものを扱うことが多かったが、今回はサイバーアジア情報の出所である各国のインターネット事情について「規制」をキーワードにチェックしておこう。
 ベトナムでは1998年5月、インターネット規制委員会が設立され、ゲートウエイを郵政局が、11月になって一般を含めた利用者窓口としてプロバイダー(ISP)4社が認可され、年末に利用が開始された。これに伴って利用者が殺到した南部では、早速ホーチミン市が利用実態についての会合を開き、インターネット利用状況の改善を決議したという。ベトナムのネット利用については1994年からベトナム情報技術研究所(Netnam)(英語)が国際機関やNGOなどを対象に接続サービスを行ってきたが、ここに来てようやく解禁といったところだろうか。
 一方中国は1995年に北京電報局などによってインターネットの一般利用が開始されている。こちらも現在の中国教育・科学研究コンピュータネットワーク(CERNET)(英語)による学術利用が80年代からはじめられていたが、利用者100万人突破など爆発的な伸びを見せたのはここ数年の状況だ。これに対して中国国務院は1996年、ネット管理を打ち出し、国益にかかわる情報の取り扱いを禁じた。北京でプロバイダー契約するとき書かされる電報局CHINANETの利用誓約書にも、国内法、国際慣例の遵守の他、国家機密漏洩の禁止など6項目が並んでいる。実際上海で中国人メールアドレスの国外流出をめぐって、国家転覆容疑が適用されると言う。
 衛星放送普及期には上記ベトナム、中国やシンガポールでパラボラ禁止が打ち出されたが、これらの国々はインターネットに対しても同様な対応を行っているように見える。こうした「ボーダレス」に抵触するメディアへの規制の網は、今後のアジアの国民国家のあり方を捉える上で一つの指標となるだろう。

(初出:『アジアクラブマンスリー』アジアクラブ、1999.2)