サイバーアジア〜ホームページ紹介(21)〜

Sojourner

 黒人奴隷に代わってアジアのヨーロッパ植民地の労働力となった苦力らの「華工」。今世紀初頭以来の中国革命を支援し続けた海外の愛国「華僑」。脱植民地を果たした各居住地の国籍を持つ「華人」。オーバーシーズ・チャイニーズは時代によって姿形を変えてきた。1979年の中国の改革開放政策以来、新移民、特に高い教育を受けた人々の出国と海外定住が急増している。すでに移民して数世代を経た華僑華人たちも、同じくエリート層を中心に第三国への帰国を予定しない出国に躊躇しない。ネット上の超優良企業Yahoo!(英語)の創業者の一人がジェリー・楊であることや、1997年から二年続けて中国系アメリカ人がノーベル物理学賞を受けたことは偶然ではない。
 主に永住権を持たない定住者で、近20年の知的労働移民をSojourner(逗留者)と呼ぶことがある。チャイニーズであることからすれば「華裔」と言えるが、こうした人たちを中心に、1991年シンガポール大会以降、97年にバンクーバーで四回目の会合を開いた世界華商大会(GB/Big5コード中国語、英語)があり、1993年に結成され95年に香港で、98年にマニラで大会を開いた世界海外華人研究学会がある。コンピュータの世界では在米華裔学生の互助組織 IFCSSを中心に1992年に結成されたチャイニーズコミュニティインフォメーションセンター(CCIC)(英語)が上げられる。世界中にミラーサイトを持つCCIC運営のFTPサーバー(英語)は圧巻で、そこに集うあらゆる土地から集まった様々な中国語ソフト群は、華裔たちの知と技術とアイデンティティの結晶である。

(初出:『アジアクラブマンスリー』アジアクラブ、1999.3)