サイバーアジア〜ホームページ紹介(22)〜

ミュージックチャート

 日本でも「ワールドミュージック」というジャンルが確立して久しい。アジア内に限っても相互交流は止まるところを知らない。ファイナルファンタジーのテーマソングを歌っていなくても、フェイ・ウォンの武道館コンサートは追加公演が組まれたろうし、kiroroのカバー曲がアレンジそのままに中国語圏のチャートをにぎわせたのはちょっと前のことだ。シンガポールの作曲家にとって中島みゆきは目が離せない存在だし、香港の歌手のビデオクリップを日本人映画監督が演出することもある。主に中国語圏のアジアスターについては日本で作成された亜洲明星総覧(日本語)をご覧いただきたい。
 インターネットと並ぶボーダレスメディアである衛星放送チャートをのぞいてみよう。スターTVの音楽チャンネルChannel [V](英語、Big5コード中国語)のページは両岸三地を中心とする中国語圏向けの北アジアプログラム、インドを中心とする南アジアプログラム、オーナーのメディア王マードックのお膝元、オーストラリア向けの3つに分かれており、ビルボード、チャイニーズ、コリアン、インディアン(ヒンディー語)、バハサ(マレー語)などのチャートを載せている。その他アジアントップ20では安室奈美恵とジャネット・ジャクソンが競っている。日本でスカイパーフェクTVが配信しているのは別構成の国際プログラムだが、これらのチャートももれなく入っている。
 インターネットや衛星放送が新たな紐帯を生む例として、トルコのクルド党首逮捕をボーダレスに伝えたクルド衛星チャンネルMED-TV(英語)が記憶に新しいが、こうしたメディアがポップカルチャーという強力なコンテンツと手を組んでどんなリンガ・フランカを創り出すか楽しみだ。

(初出:『アジアクラブマンスリー』アジアクラブ、1999.4)