サイバーアジア〜ホームページ紹介(28)〜

シンクタンク

 上海浦東、金茂大厦でイタリアンを食べたり、北京などにもフランチャイズを持つ大型スーパー家楽福で買い物していると、設備、品数の他、価格、サービスも含めてほとんど違和感を覚えることがない。グルメやショッピングの国際標準をクリアしているせいだが、以前はこうしたバランスのよいスポットが極めて少ないのが中国だった。外資参入というより国内消費の拡大のおかげだが、サービス業ばかりでなく製造業でのISO取得熱に見られるように、「中華人」の価値観にも若干の変化がおきているようだ。
 商慣習にも国際ルールが通用するようになるとわかりやすいのだが、少なくともビジネス情報収集についてはここ数年変化が見られる。上から下まで人治の国で、人間関係がなければ新規参入もままならないと長年言われてきたが、産官のビジネス、起業情報を集めた北京科学技術情報ネット(GBコード中国語)やそこからリンクされたシンクタンクホットライン(諮詢熱線)をながめているとわずかながら光明が差してくる。シンクタンク業は中国では新興産業の一つだが、発達は非常に早かったようだ。たとえば日本語で報告書を出せる北京のシンクタンクは3社で、実際どのような情報が提供されるかもホームページで知ることができる。こうした会社の中には中国ビジネス参入のための総合的なサポートの一貫として秘書サービスやオフィススペースを提供している会社もあり、たとえば敬業総研有限公司の日本企業向けミニオフィスサービスでは、月数万元で北京駅前にオフィススペースが持てる。このような中日貿易限定の「諮詢企業」の利用は、リスク・コスト軽減の一助となるだろう。

(初出:『アジアクラブマンスリー』アジアクラブ、1999.10)