サイバーアジア〜ホームページ紹介(29)〜

集集大地震

 阪神淡路大震災のときに活躍した携帯電話も、台湾中部を震源とする「921集集大地震」ではしばらくのあいだ交信に支障を来したようだ。それでは、災害時の連絡手段としてインターネットは役に立つのだろうか。災害以後についていえば、援助活動の中心となったホームページのひとつに台湾震災援助行動(Big5コード中国語)があり、救援物資や被害者の情報交換などのほか、今回の災害経験を踏まえた討論も行われている。地震直後には、アメリカ、中国大陸、香港、台湾向けに登録型検索ページを開いている新浪網の、特に台湾サイト(Big5コード中国語)のオンライン会話(チャット)ページに親類知人の安否を気遣う国外からの書き込みが殺到した。台湾国内からも情報が寄せられ、しばらくは華人を中心とした世界規模の掲示板として機能していた。
 インターネットが、冷戦時代にアメリカ国防総省高等計画局(ARPA)のコンピューターネット計画からスタートしたことはよく知られているが、その目的は核戦争後も生き残った機関同士が連絡できる通信網の構築にあった。こうした中央集中型でなく分散型のネットワークによって情報基地をばらばらに置き、複数経路で情報を伝達させ、全体の機能を停止させないという発想だ。すでに世界規模でネットがはり巡らされている現在、いかなる災害にもインターネットが途切れることはないだろう。このようにサバイバルな連絡手段であるインターネットだが、あとは伝達された情報の確度を見極めることが、緊急時ほど重要になってくるだろう。

(初出:『アジアクラブマンスリー』アジアクラブ、1999.11)