サイバーアジア〜ホームページ紹介(33)〜

春節晩会

 正月を旧暦で行う地域は日本にもあるが、アジアの中華圏も「春節」を祝うところがほとんどだ。2000年の旧暦正月は2月5日だったが、「除夕」(大みそか)夜、中国大陸の定番テレビ番組「春節晩会」の最高視聴率は97.8%だった。
 春節晩会は昨年から衛星放送で日本でも見られるようになった中国中央電視台の歌謡ショーだが、今年からネット中継にも力を入れている。龍年版は5部構成で、歌のほか漫才や伝統劇、民俗芸能など相変わらずのにぎやかさだ。年越し直前の江沢民のメッセージ以外、政治色は感じられなかったが、マカオを加えた台湾、香港など「両岸四地」の紐帯を暗示するような歌や演出はあった。第3部は1999年の大ヒット時代劇「還珠格格」のヒロイン趙薇と、台湾の先住民出身の人気歌手張惠妹(ア・メイ)の登場で、アジアのみならず世界の華人世界でも関心を集めた。
 ネット中継は中央電視台のアメリカ、中国サイトの他、北京の信息港e龍公司、Eコマースの金色双湾などチャイナ・ポータル(玄関)サイトでも行なわれた。放送中に届く祝電は通常の電報もあったが、中国語検索サイト捜孤経由でも受け付けられており、各国駐中大使館などがメッセージを寄せていた。中国時間20時から4時間のあいだに届いた電話アンケートは山東、黒龍江省からを筆頭に300万本以上だった。来年の春節は1月24日だが、視聴率や電話受付本数など、この番組に関する数値の高下は中国社会の変化を示すものではないだろうか。

(初出:『アジアクラブマンスリー』アジアクラブ、2000.3)