サイバーアジア〜ホームページ紹介(34)〜

Linuxアジア版

 WindowsなどのOS(オペレーティングシステム)は、パソコンを動かしている基本的な仕組みだが、中でもUNIX OSこそがインターネットの揺籃だった。UNIXはもともとワークステーション用のOSだが、パソコン用に移植されたフリーUNIXと呼ばれるOSの一つとしてLinux(リナックス)がある。Linuxはソースコードを含むすべてが無償配布されている「オープンソース」のソフトウエアであり、最近アジアでも各国語版が開発されている。Linuxはインストーラーを含む配布形態によってRedHat、Turbo Linuxなどのパッケージがあるが、そのうちの一つであるDebianは、中国語、日本語、朝鮮語などへの国際化を進めている。
 一方、中国大陸でもDebian版の中国語Linuxとして中国科学院と北大方正によって「紅旗Linux」が開発されており、Windows2000発売という世界的なOS切り替え期に当たり、Windows2000でなく「紅旗」に乗り換えるよう、中国国内の各機関への伝達が行われたようだ。広東の夕刊紙「羊城晩報」に1月5日付で掲載された同様の記事は、マイクロソフトの否定に関わらず信憑性を増しつつある。これは昨年10月に公布された「商用暗号管理規定」などの情報技術政策の一環と見られ、インターネット上の安全確保を中国政府が直接コントロールできるよう、少なくともマイクロソフト社という外国の私企業にすべてを任せている現状を打破しようというねらいがある。ネット情報などの管理を国家安全保障上の問題と捉え、基幹ソフト開発にアジアの一国が乗り出した事例として今後の展開が注目される。

(初出:『アジアクラブマンスリー』アジアクラブ、2000.4)