サイバーアジア(39)

多言語ドメイン名の実用化

 アジアクラブのホームページは「http://www.asianclub.or.jp」と入力するが、こうした英数字のドメイン名を日本語や中国語、朝鮮語、タイ語、タミル語などで表記する試みが始まっている。「http://www〜」の代わりに「アジアクラブ.日本」などと入力するわけだが、台湾で今年5月にサービスが開始され、香港、タイ、インドなどでも実用化されている。
 多言語ドメイン名の登録に関しては、日本のJPNIC(日本ネットワークインフォメーションセンター)に当たる組織、たとえば台湾では台湾網絡資訊中心<http://www.twnic.net.tw>、中国大陸では中国互聯網絡信息中心<http://www.cnnic.net.cn>がそれぞれ受付、試験運用を行っている。
 一方、各言語表記から既存の英数字ドメイン名に転送することで多言語化を実現する商用サービスを、i-DNS.net<http://www.i-DNS.net>や米NSI Registry<http://www.nsol.com/>などが行っている。こうした試みはASCII互換エンコードに準拠し、UTF-5、UTF-8、RACEなどのエンコード方式に対応している。
 従来アジア諸国ではコンピューターを英語で使う傾向があったが、ことネットに関しては爆発的な普及に伴い、現地語化の圧力が強いようだ。たとえば中国語では「格力高」(グリコ)、「三得利」(サントリー)のように外来語も必ず漢字で表記し、アルファベット表記そのままで使うことは少ない。こうした言語世界の住民にとって、英数字の文字列より現地語の方が直感的で便利であることは間違いない。ネットだから共通語は英語、という制限が許されないほど家電化が進んだとも言える。しかしこうした地域化が、特定言語を解さないユーザーのアクセスを阻害する懸念もあり、Multilingual Internet Names Consortium<http://www.minc.org/>などでの調整の結果が待たれる。

(初出:『アジアクラブマンスリー』アジアクラブ、2000.9)