サイバーアジア(42)

華人企業の実力

 Forbes.comの世界富豪番付<http://www.forbes.com/worldsrichest>によると、1999年度調べでアジアの金持ちでは、サウジのAlsaud王子(6位)と孫正義(8位)の2人がベスト10入りしている。では、アジア各国で経済を牛耳っているとか、経済民族などと呼ばれている華僑、すなわち中国系の人々はどの辺に位置しているのだろう。
 香港最大の企業、Hutchison Whampoa(和記黄埔)やCheung Kong(長江)のオーナー李嘉誠が華人トップ(20位)なのは妥当なところだろう。香港の土地開発企業からSun Hung Kai(新鴻基)の郭兄弟(21位)とHenderson(李兆基)の李兆基(28位)がそれに迫るのが目を引く。以下、台湾の生命保険会社Cathay(国泰)の蔡ファミリー(44位)までがようやく50位以内で、その他100位までに4名が入っているに過ぎない。世界の華人を合わせても富豪番付100位内にわずか8名とは、日本一国の9名にも劣る。もっとも、アジアの中で世界富豪100に入っているのは、オイルマネー長者を除けば日本人と華人だけなのだが。
 華人の場合、上位8名は『亜州週刊』の国際華商500<http://www.yzzk.com/500.htm/>のランキングとほぼ一致する。これら"Hutchison"や"Henderson"は、アジアのビジネス界で目立つ存在であることは間違いない。Hutchisonをキーワードに最近の動向を集めてみても、系列の通信(ハチソン・テレコミニケーションズ)、コンテンツ(PCCW)企業が中国大陸や台湾を巻き込んでボーダレスに情報通信産業を展開していることなどが容易に発見できる。財力よりむしろネットワークといったところだろうか。

(初出:『アジアクラブマンスリー』アジアクラブ、2000.12)